ジュリアさんの秘密兵器
「なーんだ、ロボットなんだ」
「……」
「わかってもらえて嬉しいよ」
武志は無駄な疲労感を覚えながら言うと、子供たちは興味深そうに近づいてジュリアを見上げた。一見すると、彼女は人間そっくりであり、にこにこと笑顔を浮かべる顔立ちは可愛らしく整い、背中まで届く銀髪も美しい。
人型ロボット、つまりアンドロイドは何年も前から軍事用を始め介護医療用やサービス分野に広まっており、ここ数年は一般家庭にも用途が広まりつつあった。武志が購入したのも、庶民の手が届きやすい価格帯で販売されているモデルの中でも、ある事情で値引きされていたものである。
「ねーねージュリアー」
「はい、なんでしょうか」
「ジュリアってミサイルとかレーザーとか撃てるのー?」
「……(フンフン)」
翔がジュリアに尋ねると、真由も無言のまま息を荒くして目を輝かせていた。
「おいおい、ジュリアは家政婦ロボだぞ、そんなもの撃てるわけがーー」
武志が苦笑しながら息子に教えようとする言葉にかぶせるように、ジュリアがにこやかに口を開いた。
「はい、出せますよー」
「無いだろ、って……え、マジ?」
武志が思わずジュリアを凝視すると、彼女は笑って答えた。
「もちろんウソです」
それを聞いて武志はほっと胸をなでおろした。
「だよなー、良かった。しかしお前、ウソとかつけるのか」
「はい。そういう建前は大事ですから」
「え、建前? それってどういう……」
「うふふふふふ」
武志の問いに返ってきたのは、ただただ邪気の無い笑顔であり、それ以上は何も答える気は無いという表情。
「えーーーー! どっちなんだよーーーー!!」