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ジュリアさんが来た  作者: 安良久 理生
18/20

真梨子

 翌朝。

 如何にも眠りが足りていない顔をして、武志と真梨子はコーヒーの入ったマグカップを前にリビングのテーブルに顔を埋めていた。


「おはよー」

 昨夜のことを何も知らない翔はすでに朝から元気そうにしている。少し遅れて、真由もリビングに入ってきた。


「二人とも、おはようございます」

 ジュリアはいつもと同じく、笑顔で二人を迎えた。


「……おはよう、マ……、おか……、ジュリア」

 夜にあったことを意識していたせいか、真由は何度も言い間違いをして顔を赤くした。しかしジュリアはそれを見逃さなかった。


「あらやだ、ママだなんて〜」

 朝食作りの途中だったため片手におたまを持ったまま、その手を頬に添えてジュリアも顔を赤くしてみせた。

「こら、あまりからかうんじゃない」

 武志が言うと、ジュリアはずいっと武志に顔を近付けた。

「じゃあ、本当のママになるために既成事実を作りましょう、武志さん」


 マグカップを口につけてコーヒーを飲みかけていた真梨子は、それを聞いて思わず口からコーヒーを噴き出していた。

 武志はどこからともなく、紙でできたハリセンを取り出すとスパーンと豪快な音を立ててジュリアの頭をはたいた。


「ちょっ、武志さん、イタイです、っというか、それどこから出したんですか」

 ジュリアはわざとらしく叩かれた場所を手で押さえ、涙目をした。

「子供がいる場所でそんなことを言うんじゃありません」

 武志はそう言ったが、子供たちはよく理解していないため、不思議そうな顔をしていた。

「それなら、真梨子さんが既成事実を作りますか?」

「なっ!!」


 しばらくむせていた真梨子は、ジュリアの爆弾発言を聞いて、今度は顔を真っ赤に染めて固まってしまった。

 そこにもう一度、スパーンという音が響いた。


「ほら、真梨子も困っているだろうが」

「ふふっ、そんなことは無いですよね、真梨子さん」

 ジュリアは何か悪戯っぽい笑顔を浮かべて真梨子を見た。


「い、いやその、あの……、それはどうでもいいから、朝ご飯はまだ?」

「あら、わたしとしたことが、申し訳ありません。すぐにお持ちしますね」

 ジュリアはそそくさとキッチンに戻っていった。真梨子は頰に手をやり、自分の顔が赤くなっているであろうことを確かめつつ、そっと武志を見てため息をついた。


(あれって、ジュリアなりに背中を押してるのかなあ。わたしが兄さんのことを好きだって気づいていて。だったら、わたしも覚悟を決めないといけないか)

今週中には完結に持っていけるかな?

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