ジュリアさんフカシ話「雪女」③
雪女編完結。
春。
真梨造は一人になってしまったが、すぐに一人の女と出会った。雪のように白い肌と、銀色の腰まで届く長い髪をした美しい女で、その名前は樹里といった。
意に沿わない結婚から逃げてきたという樹里は、行き倒れかけていたところを真梨造と出会って休ませてもらい、そのまま真梨造の家に居続けることになり、数年後には子どもを二人設けていた。
そんな幸せな日々が続く、ある年の冬のこと。
その日は雪が積もる程に降っていた。真梨造と樹里は子供たちが寝付いた後、藁を編んだり、縫い物をしたりと過ごしていた。
ふと真梨造は藁を持つ手を止め、何かを思い出すような遠くを見る目をした。
「ああ、そう言えばアレを見たのは、ちょうどこんな雪の日だったなあ」
呟くような真梨造の声に、樹里は顔を上げた。
「お前さん、アレってなんのことです」
「いや、これをお前に言っていいものかな」
「いいじゃないですか、気になります」
「そうだなあ、まあお前になら言ってもいいだろう」
樹里はその目に剣呑な恐ろしい光を宿していたが、真梨造は気付かずに話を続けた。
囲炉裏の火がぱちりと爆ぜ、二人の影を揺らした。
「アレを見たのは、お前がこの家に来る前のことだ。その頃はまだお父が生きていてな、二人で隣の村に物を売りに行った帰りだったか。
その日も雪が降っていてな、オラたちはどこかで休めるところがないかと探しながら歩いていただ」
再び火が爆ぜ、家の中の影が濃くなった気がした。
二人の立てる衣摺れの音、床板の軋む音が響いた。
「そうすっと、オラたちの目の前に明かりが見えてきただ。最初は山小屋の明かりかと思っただが、近づいて行くとどうも何かがおかしい気がしただ」
「……?」
「すると突然、その明かりは浮かび上がって、色が赤や青、オレンジに変わりながらどんどん高く浮かんでいっただ」
「……??」
「やがてその明かりは急にスピードをあげて空の向こうへ飛んで行っただ。アレは間違いない、UFOだったとオラ思ってるべ」
「なんじゃそりゃあーー!!?」
樹里は大きな声を出してツッコんだ。
「おおう、いきなり大声出したら驚くべ」
「ツッコミ役はわたしのキャラじゃないですよー!!」
翌年の冬。
その日は雪が積もる程に降っていた。真梨造と樹里は子供たちが寝付いた後、藁を編んだり、縫い物をしたりと過ごしていた。
ふと真梨造は藁を持つ手を止め、何かを思い出すような遠くを見る目をした。
「ああ、そう言えばアレを見たのは、ちょうどこんな雪の日だったなあ」
呟くような真梨造の声に、樹里は顔を上げた
「お前さん、アレって何のことです」
「アレを見たのは、お前がこの家に来る前のことだ。その頃はまだお父が生きていてな、(中略)あの白い体は間違いない、イエティだったとオラ信じてるべ」
「日本にイエティは居ませんよ!?」
さらに翌年。
「アレは絶対チュパカブラだったべ」
「だから日本には居ませんってーーー!!!」
その次の年。
「アレは竜巻に乗ったサメの群れ、サメ台風だったべ」
「早く楽にしてーー!!!」
ストック切れには注意しないと……。




