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考えても分からないこと

ノンアルコールの飲み物を探すのに手間取ってしまった慌ててお姉さまの所に向かう。


この国では基本的にお酒は18からだけど、パーティでは無礼講となっている。でもお姉さまは両親から飲酒は禁止されているのだ。私もお姉さまに酒を飲ませるのは怖い。


裏口から会場を出た瞬間、誰かにぶつかりそうになって立ち止まった。


「っと、申し訳ありません。」


気配無かったんだけど…

相手の服装から貴族の人間だと判断し謝罪する。


「あれ?君アリア嬢のところのメイドさん?」


「ソルガ…様」


げえ、最悪。なんでコイツがこんな所に…


「今日も可愛いね。こんな所で何してんの?」


ニッコリ笑ってソルガは聞いてくる。


「アリアお嬢様に飲み物を届けに行く途中です。」


こちらも微笑んで返す。


「え、アリア嬢一人で外出てんの?せっかくのパーティなのに」


「殿下が何処ぞの男爵令嬢と踊ってらっしゃったのでお暇だったのでしょう。」


私の言葉にソルガは苦笑いを浮かべた。


「もしかしなくても、遠回しに俺を責めてる?」


「なんのことでしょうか?」


「ソフィーちゃんと殿下を引き合わせたのが俺だから。見てたでしょ?」


私は黙って微笑んだ。


「言い訳するつもりじゃないけど、俺ちょっとやる事があってその間ソフィーちゃんが一人じゃ可哀想だから殿下に預けただけだから。今から回収してくるよ」


頭をかきながら決まり悪そうにソルガが言う。


「なら、お早めになさった方がいいですよ」


私の言葉にキョトンとするソルガ。


「先ほどから殿下を探し回ってソフィー様が会場を歩き回ってるのを見かけましたので」


げ、とソルガは苦虫を噛み潰したような顔をした。


「じゃあ、俺行くわ。またね、メイドさん」


そう行って足早に去って行くソルガから、微かに甘い匂いがした。


…女物の香水?


裏口の真正面は隣の棟の壁。左手に行けば庭園に通じてるけどソルガはお姉さまが外に出てる事を知らなかったから庭園には行っていない。ってことは、右か。


お姉さまに悪いと思いつつ、好奇心の赴くままに右に進んだ。

この学園の大ホール(今パーティをやってる場所)は敷地の奥の方にある。その手前には普段授業をしている棟があるのだ。


私が進んだ右手の方はその授業用の棟がある方。今は明かりがついているはずのないその棟の一室に明かりが灯っているのに気づいた。


明かりのついている部屋は医務室で窓から覗き込むと中では数人の使用人がバタバタと動き回っていた。


原因は恐らく、ベットの上で眠っているご令嬢。たしか、模擬戦の日にソルガの周りに群れてた女子の一人だ。


ふむ…


私はしばらく考えてから医務室のドアを開けた。


「あのー、レイフィールド家の侍女です。こちらを手伝うよう言われて来ました」


もちろん大嘘だ。

だが、レイフィールド家と聞いて使用人たちは安心したような表情を浮かべた。


「アリア様が派遣して下さったんですね。ありがとうございます。今、校医が出張中で…私たちは医術に明るくないので困っていたのです」


なんだか、申し訳ない。

でも、騎士団の一員として医術も多少の心得はある。


「分かりました。少し看てみますね」


令嬢の枕元に行き、まずは脈を測る。ふわり、と香ったのは予想通り、ソルガからした香水の匂いだった。

診察もどきを進めて行くけど特に異常はなさそうだ。ただ、口から強いアルコールの匂いがしたので飲み過ぎたんだと判断する。


「ただの飲み過ぎですね」


酔っ払いの世話なら慣れている。

使用人たちに指示を出すと、流石は貴族たちの通う学園の人間といったところか、あっという間に仕事に移ってくれた。


ソルガがこの令嬢を飲ませまくった…?

それとも、偶然酔っていたところを発見して医務室まで運んだのだろうか?


それに令嬢からした酒の匂いに引っかかりを感じた。あの匂い、何処かで…


あーダメだ。思い出せない。

私はお姉さまと違って頭は常人並だからなあ…


考えてもどうしようもない事をグルグル考えつつ、看病をしながら憂鬱なパーティの夜は更けていったのだった。


更新が遅くなってしまってすみません!

来週くらいからまた元のペースに戻せるように頑張ります!

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