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第六話

今日も読みに来てくれて、ありがとうございます☆彡

そろそろ毎日の更新がキツイです★ミ


バーソロミューのセリフを少し変えました。


「君はとても、賢く優しい令嬢ですね」


 ちょっと!

 何故ですの?こちらからは一切攻略していないのに、相手が勝手に行動を起こすのは、やっぱりゲームの強制力ですの?


「ヒメネス男爵令嬢は博学でいらっしゃる。非常に興味深い……」


 ひぃ~!

 そんな顔で見ないでください!


「博学だなどと、恥ずかしいですわ……」


 何でこの人がこんなところに居るのよ!

 わたくしが居るのもどうかと思いますけど、ここは学食の裏手ですわよ!


「謙虚ですね。令嬢の鑑の様な人だ」

「いえ、本当に恐れ多いですわ」


 関わりたくない、全力で関わりたくありません!

 イベント発生の条件も満たしていないのに、何で近づいてくるんですか!


「動物に人間用に調理した物を与えてはいけないなんて、あまり知られていない事ですからね」

「聞きかじった程度の事ですの……お恥ずかしいですわ」


 食堂の残り物をそのまま学院内の猫に与えていたので注意したのですが、そこをバーソロミュー様に見られてしまったのです。

 だって、猫が腎臓病になり易いとか、今の医学水準では解らない事ですものね。


「そういった事柄を心に留める事が、賢さだと思いますよ?」


 笑顔が怖いです。


「怖がらせてしまいましたか?」

「そのような事ございませんわ」


 何を考えているのか今一つ解らないとか、腹黒とか、笑顔で人が殺せるとか、コミュで散々言われていた笑顔が今ここに~~~~。


「ですが、こんな場所にいつまでも留まるのは良くないですね」

「お恥ずかしいところをお見せいたしました」


 猫が見たかっただけですのに、ついてませんわ……。


「送りましょう」

「はぅ、ありがとうございます」


 紳士然と手を差し出されてしまえば、取らないのも失礼と言うものです。

 細身の体をグレーのカッターウェイ・コートで包んだバーソロミュー様の腕に手を添えてエスコートしてもらいます。


 水色のストレートヘアを、顎のあたりで切りそろえたボブヘアが風に揺れる。グレーの目が涼しい美男子。エスコートされているのはピンクブロンドの緩い巻き毛をハーフアップにした令嬢。


 離れたところから眺めるなら目福と言えそうなシーンですけど、当事者としては心底心臓に悪いです。


「綺麗な髪ですね?何か秘訣でもあるのでしょうか?」

「かっ髪、ですか?……特には何も…………」


 前世でも湯シャンだと言うと、不潔だと指摘されたことがありました。殿方に堂々と言わない方が良いですわよね……。


「本当ですか?」


 なんですの!

 何かを探るような、何も見落とさないぞと言わんばかりの視線は!


「ラモス商会の新製品でも、使っているのかと思ったのですが……」


 スッと伸びた手がわたくしの髪を???


「失礼、あまりに綺麗だったのでつい」

「お戯れが過ぎますわ……」


 本当に勘弁してください!


「この辺で退散させてもらいます。それではまた」

「ごきげんよう」


 また?もう遭遇したくないですわ!

 ドレスだって違いますのに何でですの~~~~~~!



 ***


「バーソロミュー様を釣り上げられたの?」

「人聞きが悪いですわ!」


 大急ぎで部屋に逃げ込んで、グロリアーナ様と連絡を取りました。

 電話があるんですの、便利ですわよね。

 すぐに部屋に来るように言っていただけて、本当にありがたいです。


「至急会いたいなんて連絡がありましたから、てっきりアレクシア殿下がやらかしたのかと思いましたけど……やはり、強制力ですかしら?」

「考えたくありませんけど……」


 こちらから動いていないのに、二人目の攻略対象者から声を掛けられるなんて普通じゃありません。


「わたくしの髪を気になさっていおいででした」

「まあ♡」

「グロリアーナ様!」

「失礼……つい」


 でも、ゲームではそんな描写ありませんでしたわ……。


「ラモス商会の商品が気になったのかしら?」

「どういう事ですの?」



「なるほど……シャンプーとリンスが欲しいと」

「そう結論付けるのは早計だと思いますけど……」


 祖父に当たる方が転生者だとしたら、どうして製品化されなかったのかしら?

 殿方だから気になさらなかった?


「作れなかったのではありませんの?」

「いずれ誰かが開発すると、家族に伝えていたと?」


 そうなのでしょうか?

 三年前までご存命だったなら、孫のバーソロミュー様が色々聞いていても不思議はありませんわね……。


「そうであれば気持ちが軽くなるのですけれど……」

「初対面で髪を褒めるだなんて、腹黒公子らしからぬ振舞ですわよね」

「そうですわよね!わたくし、話しかけられた所から気が動転してしまって」


 まともに話せなかった気がいたします……。とても失礼な態度をとってしまったのではないかしら?


「恥ずかしいですわ。変な令嬢だと思われたでしょうか?」

「変だと思って離れてくだされば、それはまた良しと言えるのではありませんの?」

「確かにそうですわ!この際、フラグが立たないなら良しとします」


 令嬢としてはかなり恥ずかしい事ですが、この際です変な人と思われても我慢します。


「でも、そこが魅力的だとか思われたり」

「やめてください、縁起でもないですわ!」

「そうは言われても、ありがちではありませんか?」

「ううううう……」


 この手の話の定番が、毛色の変わったヒロインを気に入ってしまって、と言うやつですものね……。


「失敗しましたかしら……」

「普通に考えれば、公爵家の跡取りで順調なら次代の宰相となられる方が、選ぶ女性には該当しませんわよね」

「穴があったら入りたいですわ……」


 両手で顔を覆って俯いてしまいます。攻略する気が無くても、貴族として生きる気が無くても、令嬢として恥ずべき振舞だったのは事実ですもの~~~!



「ところで、作れない物なのですか?」

「え?あの、日本で使っていたシャンプーの事でしょうか?」

「湯シャンも悪くありませんが、しっかり洗いたい時もありますでしょ?」

「髪を結い上げるのに油を使った時などは、石鹸で落とす以外ありませんものね」


 この国の技術力や化学水準なら、作れると思います。全体的にビクトリア時代を彷彿とさせるのに、一部電化されて部屋を灯す明かりは白熱灯ですし、学院内は上下水道や電話も完備されています。


「作れそうな科学者の方に依頼すれば、開発してくださるとは思いますが……」

「気乗りされていませんわね?」


 怪訝な顔でのぞき込まれます。


「高レベルのアルコールを使うので、頭皮によくありませんのよ」


 俗に高級アルコールシャンプーと言われる品は、洗浄力が強い反面頭皮を痛めてしまい、痒みや薄毛の原因になると言われていました……。

 痒みに悩まされた前世のわたくしも、それで湯シャンを勧められたのですわ。


「あの痒みは、シャンプーが犯人でしたの!」

「すべての原因とは言えないかもしれませんが、わたくしは良くなりましたわ。それに、滑らかな洗い上がりを実現するなら、高純度の鉱物油が不可欠ですもの、この世界の技術力で作るシャンプーでは、グロリアーナ様は満足できないと思いますわ」

「ラノベでは簡単に入手できていますのに、現実は難しいものですわね」

「ああいった都合のいい展開も、ラノベの魅力のですわ」


 現実はそうはいきませんわね……。

 本当に手に入るものならミネラルオイルが欲しいですわ……。


「本当にシャンプーを望まれているだけでしょうか?」

腹黒あのバーソロミュー様ですものね。何を考えているか分かりませんわよね」


 怖いですわ。

 アレクシア殿下の時以上に得体のしれない怖さを感じるのは、キャラクターに持っている先入観だけでしょうか?


「今は、様子を見る他ありませんわね」

「もう出てきませんわよね?」

「次が出たら、お互いに気合を入れ直さなければなりませんわね」

「王族やそれに縁のある、名門貴族に嫁入りなんて嫌ですわ!」

「追放エンドはもっと嫌ですわよ!」


 グロリアーナ様の方が深刻ですわね。

 何としても友情エンド……あら?


「グロリアーナ様?友情エンドでも追放されていましたわよね?」

「おっしゃらないでください!」


 ああ、胃を押さえていらっしゃるわ。

 何も悪い事はしていらっしゃらないのに、強制力が働いた場合はどうなるのか予測が付きませんものね……。


「追放エンドの時には、わたくしが責任をもって植民地での生活をお守りしますわ!」

「縁起でもないと言いたいところですが、もしもの時にはお願いしますわ」

「出来る限りの準備をいたします」

「準備しておくのはアリですわね……記憶が戻った時にも、さっさと逃げてしまおうかと考えましたわ」


 皇太子殿下の婚約者が、いきなり植民地に移住したら大問題ですけどね。


「追放先はどちらなんでしょうね?」


 我が国は前公爵様の内政チートによって、ビクトリア時代の大英帝国以上の力を持っています。そんな中でいきなり貴族令嬢が国を出奔なんて、できる訳がありません。自主的に逃げるのはあきらめて頂くとして、最悪の場合を想定して準備は怠れませんわ。


「スチルに書かれた船名を頼りに調べさせたところ、おそらくゼノビア号に乗せられるのだと思いますわ」

「そうなると、クピタニアでしょうか?……って、流刑地ではありませんか!」


 地球でオーストラリアのように扱われているところです。侯爵令嬢が行く場所ではありませんわ!


「開拓民も二世代前から移り住んでいますし、普通の移民扱いだとは思いますが、厳しい暮らしを余儀なくされますわね……」


 いくら庶民の記憶があるとはいえ、二十一世紀の日本でサラリーマンの夫と大学生の娘を持つ専業主婦では、スキルが生かせるとは思えません。


「だっ大丈夫ですわ!ラモス商会はあちらでも力を持っております」

「心強いですわ……」

「何よりも追放エンドの回避を一番に考えましょう!」


 日ごろは萌えが足りないなんてふざけて見せていても、本心では理不尽な末路に怯えていらっしゃるんですわね。

 気丈に背筋を伸ばして毅然と上げた顔はわずかに青ざめて、よく見れば手も震えている……。


「グロリアーナ様、必ずお守りします!」

「フローラ様……」


 絶対にあのアレクシアラスボスを倒して見せます!

ここから先は、不定期になると思います・・・★ミ

(´・ω・`)

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