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第十一話

今日も読みに来てくれて、ありがとうございます☆彡

残暑無しでいきなり肌寒いので、風邪とか気を付けてくださいね。

(=゜ω゜)ノ



フローラも所詮はオタク・・・★ミ

 アレクシア殿下による、拉致及び置き去り未遂事件以降、寮外でのわたくしの側には、常にグロリアーナ様が付いてくださっています。

 幸い学年も同じで男女別でクラスは一つしかありませんから、一緒に行動するのは容易なのです。

 同学年にはドミンゲス派の有力令嬢が居ないのも都合が良いのです。


「廊下ですれ違った時のアーシュラ様、いつもながら目が笑っていませんでしたわね……」

「貴女をアレクシア様に近づける事は親からの指示なのでしょうけれど、本音では面白くないのでしょうね」


 派閥の天秤を自陣に引き寄せる為とは言え、本音では平民生まれの婚外子なんて皇太子妃にしたくないでしょうからね……。


 授業はすべて英語で行われます。

 十五歳で就学するにあたって自宅で一定以上の学習をしているので、読み書きに関する授業は一切ございません。

 グロリアーナ様は前世が文系で英語もお得意だったようですから、色々アドバンテージがおありですけど、わたくしは理系でしたから辛いですわ。


――子供のころに記憶が戻っていたら、苦手意識で苦労したでしょうね。


 教師が黒板に書き込む音と、ノートを取るペンの音だけが教室に響きます。

 学院の授業スタイルは知識を暗記する日本式ですが、ナバール卿から聞いた話では、ラーン学園はディスカッションやレポート提出が多い、自らが考えて学ぶスタイルでの描写だと伺いました。

 こちらでもそうなら、学園出身者の方が実践的な能力を身に着けている事になるので、将来的に国の実行権力はあちらの卒業生に移りそうですわね。


 それでも、わたくしとしてはこちらのスタイルの方が楽ですわ。

 ただでさえ苦手なのに、大学時代のように何枚ものレポートを出すなんてゾッとします。

 今でも辛いと思っていますのよ。

 得意ではない歴史の授業を、苦手だった英語で受けるなんて……。

 つい意識が授業からそれてしまうのも、仕方ないですわよね。

 ジーンとの自習の為にノートは懸命に取りますけど、気が付くとぼんやりと教室を眺めていることがあります。


 教室は貴族子息の修練場だった頃に、彼らが寝起きする部屋を改装して使われているという話で、飾りも少なく重厚です。

 窓はそれほど大きくありませんが、白熱灯がいくつも灯されているので、暗さを感じることはありません。

 広さは公立中学の教室と同じくらいに感じますけれど、猫足の大きな机が十二台並べられているのでかなりゆったりしています。距離があり過ぎて、授業中にお隣とおしゃべりなど出来ないのが残念ですわ。

 広くて余ってしまう後ろの半分は、丸テーブルが五卓配置されています。

 侍女たちは繋がっている隣の部屋で待機しており、休憩時間にお茶を運んできてくれるので、テーブル席で喉を潤すのです。


――教室内のテーブルでお茶を飲むだなんて、前世の感覚だと変ですわね。


「フローラ様、放課後にこちらのサロンに付き合っていただけるかしら?」


 ジーン達が運んでくれたお茶を飲みながらくつろいでいると、グロリアーナ様にそうささやかれました。


「分かりました。ありがとうございます」


 事前に打ち合わせが出来ていたわたくしも、軽く頷くと小さく返事を返します。

 ドミンゲス派が全くいないわけではありませんから、気を付ける必要がありますものね。 



 ***


「初めまして、フローラ嬢。カール・ゴメスです」

「初めましてカール様。ご面倒をおかけして申し訳ありません」


 校舎のサロンで引き合わされたカール侯爵令息は、スチルもかくやと言う美少年ぶりです!

 臙脂のカッターウェイ・コートに、銀の髪が映えますわ!

 生身ですわよね?

 なんですの、この可愛らしい貴公子は!


「はっ!グロリアーナ様は見てはダメです!」


 思わず貴腐人様の視線を遮っていました。

 腐臭可光線に晒されたら大変なことになりますわ!


「カールは、わたくしの弟ですのよ」

「だって、グロリアーナ様の視線が腐臭を漂わせてますわ!」


 こんなにキラキラした無垢な貴公子を、腐臭可光線に晒すなんて、「ダメ、絶対!」ですわ!


「えっと……姉上達は、何を遊んでいるの?」


 じゃれる様にカール様を巡る攻防を続けるわたくしたちに、若干の呆れをにじませた声が届きます。


――ああっ、この声!あの声優さんと同じ声!


 カール生ボイス!

 この世界に生まれてよかったぁ!


「手を握り締めて天を仰ぐとか、事情を知らないと怖いだけですわよ」

「はっ!」


 カール様が呆れていらっしゃいます……。


「申し訳ありません……」


 くくくっっと堪えきれない忍び笑いが漏れてますわ。


「失礼、でも姉とそんな風に仲良くしてくれる令嬢がいてうれしいですよ」


 カール様、神ですわ!


「グロリアーナ様には、いつも良くして頂いております」


 本当ですから、グロリアーナ様がいなかったらどうなっていた事か!


「とりあえず座りませんこと?」


 グロリアーナ様に促されて席に着きます。

 校舎のサロンは随分と重厚なつくりなのですね。可憐さが漂う女子寮とは全く違います。

 今いる個室はもちろん、通過してきた大部屋も重みのある内装と家具で、教室同様に、貴族子息を鍛える為の施設だった頃の面影が色濃く残っています。


「本当によろしいのでしょうか?」

「もちろんですよ、僕はまだ婚約者はいませんから気がねをする相手もいませんし、フローラ嬢の様な可愛らしい方のパートナーになれるのは名誉ですよ」


 結局、グロリアーナ様の提案通りにカール様にパートナーをお願いすることになったのです。

 カールルートでのダンスシーンで見たスチルは、お気に入りの一枚でしたわ。

 グロリアーナ様と同じ銀の髪と紫の目をしているのに、とても可愛らしくて優しい印象を与えるこの方と、ダンスに興じるなんて夢のようです。

 淡い灰色の光沢のあるドレスに、紫のアクセサリーを付けたフローラと、紫がかったテールコートのカールが微笑みあっているあのスチル~~~!

 もちろん、ドレスは持っていますわ!


「今日のフローラ様は普段とは印象が違いますわね」

「そうなんですか?」

「申し訳ありません、わたくし兄弟がいないもので……」


 ついついヒートアップしてしまう心の内を、必死で隠しているつもりが結構隠せていない姿に、グロリアーナ様までが呆れてしまわれました。

 興味深そうなカール様の様子に、とりあえず誤魔化してみましたが苦しいですわよね。ラモス家には弟がいますもの……。


 それにしても、年子で同学年のご姉弟きょうだいとは言え、老け顔のグロリアーナ様と童顔のカール様では三歳以上年が離れて見えます。


「フローラ様、また何か失礼なことを考えていませんこと?」

「ひゃっ!いえ、何も考えてませんわ!」


 グロリアーナ様の笑顔が怖いです!


「まったく……」


 軽く睨み直したグロリアーナ様が、運ばれてきたクッキーを口に運びます。絞り出しタイプの小ぶりな物ですから、上品に食べることができますわね。


「美味しい」


 サクッと軽い歯触りで、甘さも控えめなところが良いですわ。


「僕としては、もう少しボリュームが欲しいね」

「殿方には物足りないかもしれませんわね」


 カール様も十五歳の男子ですものね。わたくしも二年くらい前はお腹がすいて仕方がない時期がございましたわ。

 前世でも、中学生の頃は異様な量を食べていた気がします。


「こちらもお食べになって下さい」


 あっという間に一皿を平らげる姿に、自分の分のクッキーを差し出します。


「ありがとう、うれしいな」


 ああ、この素直な反応が可愛いんですわ~♡


「男性の利用も多いサロンですのに、ボリュームのある軽食が出ませんのね?」

「ケーク・サレとか良さそうですわよね?」


 グロリアーナ様のつぶやきに同意して続けますと、カール様が不思議そうに聞いてきます。


「けーくされ?」


 この世界には無い単語でしたかしら?


「甘さを抑えて塩気を効かせた、野菜や加工肉を加えたケーキですわ」

「それは美味しそうだ」

「今度、コックに頼んで作らせますわ」


 前世でしたら自分で作って持ってくると言うところでしょうが、令嬢がお菓子であろうとも自ら作るだなんてありえませんもの。

 作れないからでは、ありませんわよ……作れませんけど…………。


「フローラ様は、カールと話が弾んでいますわね」


 「わたくし、お邪魔かしら」だなんて、意味深な視線でおっしゃらないでください!


「何をおっしゃいますの、グロリアーナ様がいらして下さるから、こうして話が出来ますのに……」


 うん、不味いですわよね。

 カール様は攻略対象、こんなに話を弾ませたらいけませんよね。


――カール・ルートって、別名餌付けルートでしたものね!


「姉さまはいつも一緒に過ごしているんでしょ?僕は女子寮の美味しいお菓子を堪能している二人がうらやましいな」


――うっ!鼻血が出そう!


 軽く顎を引いて、上目遣いで唇を突き出した不機嫌顔が可愛い!!!


――写メ、写メしたい!


 スクショが無い現実を、これほど呪う日が来るだなんて!


「今度、僕にもごちそうしてくれますか?」

「もちろんですわ」


 首をかしげて微笑まれて、否やはございませんわ!



「フローラ様はカール・ルートに入ると認識して、よろしいのね」

「へ?」


 寮に戻り、打ち合わせをするためにグロリアーナ様の部屋へ行くと、二人になった途端にそんなことを言われました。


「何をおっしゃいますの、ありえませんわ!」


 リアル攻略なんて考えていませんもの!


「確かに、今日は少しはしゃいでしまったと反省しておりますけど、侯爵令息を攻略するなんて考えておりません」


 だから怒らないでください……。


「それもアリなのではと思い始めておりますの」

「えっええ?」


 何を言ってらっしゃいますの、グロリアーナ様がご乱心ですわ!


「将来の王妃にと考えると、少々どころではなく問題ですわよ。でも、父方の血筋は問題のない令嬢ですからね」


 悪役フェイスに冷淡な笑みを張り付けながら、「ラモス家の将来性を考えても、ゴメス家には悪くない縁談だと思いますの」だなんて、そんな恐ろしい事をおっしゃらないでください!


「無事に、わたくしが追放された時には、義姉の行く末に気を配ってくださいますわよね?」


 無事追放って何ですか、なんとなく解りますけどいろいろ怖いですわ!


「義理の姉妹にならなくても、不自由のないようにサポートいたしますから」

「ほほほ、義姉思いの可愛い義妹ですわね」


――ひぃぃぃぃぃぃ!


 冗談ですわよね!

 グロリアーナ様ぁ!

悪役令嬢が、ヒロインをロックオン☆彡。

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