第46話
惨状の原因である二人がいなくなったロビー。その静寂した場に新たな人影が姿を現す。
誠たちを向かい撃ったコンステラシオンの構成員、彼らは確かに誠たちに向けて襲撃を行ったが、彼らの本当の任務は違和感なく二人をビルの中に入れることだった。
それが頭首であるオルテガからの命令、オルテガは誠と飛鳥が単身で乗り込んでくることを予想し、わざと誘い出した後、退路を断たせる考えに出た。
またこの後に来るであろう軍の襲撃に備え、戦力の温存という意味も込められていた。
「あとはアイブリンガー様に任せるとして……」
エレベーターの上昇する数字を目で追っていた男たちは、再びロビーに目を向けた。
そこにあるのは誠が乗り捨てた白木製のバイクであった。
「これは回収して、後に解析に回すぞ」
わざと突破を許すとしても、まさかこれ一台であそこまであっけなく突破されるとは誰も思っていなかった。
危険性を感じたため、直ぐに数人がバイクを運び出そうとするが―
「あぁ触らないでくれないかな。それはこっちで回収するから」
そこで場に不釣合いな陽気な声が響いた。
完全武装している男たちに対して、その少年―いや青年は黒のスーツ姿でこの焼け野原に姿を現した。
「それうちの商品なんだよね。しかも極秘の。だから触ったら痛い目見るよ?」
眼鏡の奥に見える相貌は笑っているが、そこから分かる感情は決して楽では無い。
「あぁそれと、うちの妹をぶん殴った人ってこの中にいるかな?」
悪魔の笑みを浮かべながら、社は男たちに尋ねた。
「まぁ誰だって良いんだけどね。どうせ、全員9割9分9厘殺しだからさ」




