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神の器  作者: ハルサメ
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第41話

「少し話を戻します。南極で彼らを見つけた調査隊は、今私がしたのと同じ話を彼女から聞きました。そして彼女は彼を八神翔に託すと、そのまま姿が消え去りました。長時間彼に触れ続けた彼女の体には、もう実体を維持する神力が残されていなかったのです。そして彼女が消え去った瞬間、彼は無意識のうちに神撃を放ちました。母親の神力を吸収し続け、それが今で言われるネオビッグバンの正体です」


「ちょっと待てください。誠がネオビッグバンを起こしたと?」


「彼の能力はこちら側でも手に余る代物だったのです。だからこそ、八神翔は彼の能力を封印することにした。そのために使われたのが、想像するものを創造する神器。名をオルフェウスといい、そして私たち姉妹の父でもあります。翔はそれを使い誠の存在を神ではなく、人間へと引き下げました。それにより誠は圧倒的な神力と神撃を扱えはするものの、神としての能力を大幅に失いました。能力破壊、そして神器が発動できない体質は、その神としての能力の片鱗。以上が私の知っている、誠の情報になります」


 イネーヴァの話した内容は飛鳥にとって信じがたいものだったが、しかし簡単に一蹴する事が出来ないものであった。


「何かしら厄介なことだとは思っていましたが、これほどとは……」


 いつも誠の近くにいて、冗談交じりに本当に人間なのかを疑い続けてきた。


 それが本当に人間では無いと分かっても、はいそうですか、と飲み込めるものではなかった。

 飛鳥は横になっている誠を見る。


 検査では体調、神力とも何も問題は無い。


 寧ろ神力に関しては飛鳥が知っているものよりも、桁違いの数字をたたき出している。


 だが誠は一向に目を覚ます様子は無い。


「今、誠はどうなっているのですか?」


「今はまだオルフェウスにより人間であったはずの彼が、サンクチュアリの効果を受けた。それは元々能力を打ち消す体質だったこともあり、封印にヒビが入っていた。そこにサンクチュアリを受けたことで、それが一気に瓦解してしまった。おそらく今、彼の中では存在の再構築が行われいるはずです。人間と神の狭間、それが今の彼です」


 神と人間。目の前にいるイネーヴァを見ても、外見的に何の違いも存在しない。


「目は……覚めるんですか?」


「直に目は覚めるとは思います。ただ……」

 

 そこでイネーヴァは不吉そうに表情を暗くする。


「目を覚ますのが、誠なのかどうなのか。それは分かりません」

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