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神の器  作者: ハルサメ
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第22話

《いやそれがさぁ、今日俺も仕事に出ちゃって、縁もネットのオフ会があるとかであの子の事見て上げられないんだよね。だからってうちで一人にしておくのは可哀そうだろ? じゃあもうお前んちに行ってもらうしかないじゃないか》


 社の言葉を聞いて、誠は電話をソファーに叩き付けた。


 その様子を、テレビを見ていたイオがキッと睨みつける。静かにしろという訴えだ。


「今のどこに家主である俺の許可があった!?」


《大家の許可はあっただろ?》


 名義上、誠の自宅マンションは白木重工のものである。


「だからこいつに合鍵を渡しても問題ないとか思ってんのか? 経営者としてどうなんだ、訴えんぞコラァ!」


《別に出たければ出てもこっちは別に構わんぞ? 何気にうちのマンション入居希望者多いらしいんだ》


「マジすんませんでしたっ! 何も問題無いっす!」


 払うべき家賃を、学生神託団に所属するという条件で免除されている側としては、上手に出れない。


 生きていけないわけではないが、流石に家なき子にはなりたくはない。


《もともとお前が首突っ込んだ件なんだから、これぐらい当然の話だろ》


「あぁそのことなんだが、あれから院のほうで何かあったか?」


 誠はテレビに映っているニュースを見る。昨日院では神器戦闘が行われるほどの騒ぎが起きた。


 だがテレビではその事件に関する報道は一切されていない。


 代わりに今映し出されているのは、アメリカの別の研究所が襲撃にあったという報道だ。


 その襲撃犯として報道されているのは四聖天という、構成員たったの四人の組織だ。その全員が十二神将と同等、もしくはそれ以上の力を備えており、世界中の神器施設の破壊活動をしている。


 その行為にはあの五大神託団や軍も手を焼いており、四聖天襲撃の際には相容れないはずのそれらの組織が手を組むことさえあるほどだ。


 誠としても幼い頃に四聖天討伐を任された父親が、満身創痍になりながらも惜しくも逃亡を許してしまったのを真直で見ており、その脅威は十分知っている。


《規制がかかったみたいだな。どこも軍が怖いんだよ。んで院の状態なんだけど、知り合いが言うには、昨日の騒ぎで研究内容がいくつか盗み出されたらしい。それも超極秘の》


「コンストラシオンがやったってのは分かってんのか?」


《いや、神器戦闘の最中も、どこの神託団かは掴めなかったらしい。流石にあっちも軍との正面衝突は避けたかったのか、証拠らしい証拠は残さなかったみたいだな。だから今のところ、その情報はお前がアイブリンガーを見たってだけで、目下調査中って話だ》


 小さな島国の組織とはいえ、そして五大神託団であろうとも軍を警戒している。それほど軍の影響力は強い。


 所有する十二神将を現場に送り出す点でもその本気が伺える。


《まぁ彼女も色々見て回りたいらしいから、外に連れてってあげなよ》


「まさかこれって今日だけだよな? 夜になったらお前んちに送ればいいんだよな?」


《……》


「何とか言えよ! ふざけんな、俺は絶対認めねえかんな!」


《実際のところ、まぁ言葉は悪いが、状況的に彼女も院の研究内容の一つの可能性が高い。こっちには立場上、院の関係者も出入りしてるし、都合が悪いんだよ》


「ならあいつ突き出して終わりでいいじゃねえか!」


《素直に従ってくれると思うか?》


「絶対に無理。断言できる。こっちが痛い目に遭う」


《だろ?こっちも院との関係は壊したくはないが、嫌がるのを実力行使でって事もしたくないんだ。それに俺かなり嫌われてるっぽいし。しばらくお前の家で居候ってことで》


「俺が嫌がるのは、完全無視か?」


《野郎のご機嫌とって何が旨いんだ?》


「そりゃ確かに」


 答えながら諦めたようにため息をつく。納得はいかないが、状況的に逃げられるとも思えない。


 イオの侵入を許してしまった時点で、誠の負けなのだ。


《色々問題はあるだろうが、拾った責任 だ。頑張ってくれ。あ、あとそうだ。この前お前が叩きのめした不良集団、レッドヘッドテイルとか言ったっけ? それが昨日の晩に、根城ごと壊滅させられたって話なんだが何か知ってるか?》


「……いや、俺はなぁんにもしらねえな」


《そうか。なんでもその場に指名手配犯がいたらしく、報奨金が》


「今から白状しても間に合いますか?」


《無理に決まってんだろバーカ》


 ツーツーツー


「……静かにしてくれませんか?」


 本日二度目の電話叩きつけに、イオが鬼の形相で睨んできた。

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