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第53話 飛んでるわ!

 飛び立って城の上空を旋回したあと北にある隣町、バッハの町にやってきた。


 旋回のあと、一気に加速してものの数分で隣町に到着したのには驚きしかない。


 そのスピードならグリフィンの王都を数時間で行き来できるのも納得だ。


「早かったですわね。でも思ったより怖くありませんでしたし、楽しかったですわ」


「ホントそれね。もう少しはじめての空の旅を堪能したかったくらいだ」


「でしょ? 珍しくお父様がスエキチを貸し出してくれたことに感謝ね。私でさえ中々乗らせてもらえないもの」


「そうなんだ」


「ええ。スエキチ、他の飛龍は乗ったからわかると思うけど、羽で飛んでる訳じゃないの――」


 そうなのだ。バサバサと翼をはためかせて飛ぶんじゃない。翼は広げるだけで、フワリと飛び上がっていたもんな。


 だから振動も揺れもほとんど感じない。それに飛龍の背に取り付けられた鞍は魔道具で、風の影響がまったくなくなる優れものだった。


「でもスエキチだけなのよね。鞍を着けてくれる飛龍って。だから普段は人が乗った馬車みたいなものに乗り込むのよね」


「じゃあ、外とか全然見たりできないよな」


「もったいないですわ」


「でしょ、私のなんて小さな小窓が付いているだけ。御者をすればいいんだけど、これでも一応王女だから中々、ね」


 そりゃそうだ。王女が馬車だろうが飛龍だろうが、御者台に座ることなんてあり得ないもんな。


 そんな話をしている内に、スエキチを預ける手続きが終わったようだ。


「お待たせいたしました。スエキチは無事預けられました。入門いたしましょう」


 門前にスエキチを残し俺たちはバッハの町に入り、さっそく目の前にある教会へ向かう。


 ここはラファエル派の教会だ。小さな町だけど、それでも二つの教会と孤児院が一つある。


 さっさと中に入る前に、入口のところで石像を鑑定するが、呪いの触媒ではないことがわかる。


 なら入る必要もないので、隣に併設されている孤児院も覗いて確認したが大丈夫だった。


 もちろん孤児院には寄付してきました。今回はちゃんとポイズントードとホーンラビットを換金したお金も持ってきたからね。


 もちろんミラさんにも返金済み、追加で父さんがお小遣い(全部銅貨にしてもらった)もくれたからそれも持ってきている。


「教会は小さいから入るまでもなかったですわね。それにここの子供たちも凄く元気でしたわ」


 本当に元気だった。何人かは俺に飛び付き、石像を覗きに行くまでぶら下がってきたほどだ。


 リズたちも手を引かれ走らされてたもんな。


「あんなに走らされたのは久しぶりよ。でも、浄化するところ見たかったな。最初のところだったから、どうやってるのか見るのを期待していたんだけど、肩透かしね」


「王女様、無い方が良いことですよ。これから各地をまわります。そのことを考えますと、何もない方が良いのでは?」


「それもそうね。肩透かしとか言ってごめんなさい。それとカイラ、わたくしのことはファラと呼びなさい。誰が聴いているかわかりませんわ」


「ではファラ様と」


「話がまとまったし、この感じで進められるなら、今日中に結構な町や村をまわれるし、行こうか」


 そう言いながら門を出てスエキチのところに戻り、さっさと乗り込んで教会がある門へ飛んで移動した。


 あらかじめ教会のある門まで調べてくれたカイラさんに感謝だな。


 再び別の門から入門した俺たちはアザゼル派の教会に入ると、やっぱり石像は呪いの触媒だった。


『当たりですね。さっさと浄化しちゃいましょう』


『やはりアザゼル派が元凶のようですわね。でしたら作戦通り全員でお祈りのフリをいたしましょう』


『そうね、ドライの話の内容ですと呪いの耐性が付く可能性があるのよね?』


『信じられませんが、もし、それが本当ならファラフェル王女様にとって大変良いことです。それにわたくしも王女様のお側でお仕えしておりますので、あると心配ごとが一つ減りますので』


 二人には超越者の可能性について少しだけ話してある。俺のパーティーに入ればその人の才能次第だけど、スキルを覚えられるかもしれないと。


 それに今回の狙いは呪い耐性だ。才能うんぬんじゃなく、毒なんかと同じで、繰り返し呪いを受けていたら付くんじゃないかと思ったわけだ。


 それに超越者に出てる今のパーティーメンバーは――


 必要経験値固定(固定値100)

  ┣ パーティー内必要経験値固定

  ┗パーティー内経験値均等分配

    ※ 分配率は任意で変更可能

 ◆パーティー(3/3)

 ・エリザベス・フォン・イルミンスール

 ・ファラフェル・フォン・グリフィン

 ・カイラ・フォン・カーバンクル


 カイラさんが追加されてるのだ。これは冒険者ギルドでパーティーを組んだときに追加された。


 ……ファラが最初から入っていたのはちょっと不思議だ。もしかすると、死ぬ運命だったファラを助けたからか?


 ……謎だな。


 そんなことを考えながら石像まで進み、四人で同時に石像に触れお祈りの体勢に入る。


 念話でリズと息を合わせて浄化をすると、呪いが消えた。


『もういいよ。二人にも浄化してしまうね』


 呪いが消えたことを確認してから自分達にも浄化をかけて呪いを消してしまう。


『おしまいっと。じゃあ次の町に向かおう』


『簡単、ね。聞いていましたけど、光もせずにこれだけで呪いを消せるとか……ホント凄いわねあなたたち』


『はい。聖魔法をわたくしたちも覚えられれば二手にわかれて教会を回れるのでしょうが、さすがに無理、でしょうね』


『う~ん。聖魔法は無理かもしれないね、でも、こうやって何度もしていたら覚えたりしてね』






 と、そんなことを言ってた時期もありました。約一週間一緒に浄化の旅を続けていると、呪い耐性が全員に生えた。それと――













『ぬほほほほほ! 飛んでるわ! ひゃっほーい!』


 イス……ファラとカイラさんが覚えられなかった聖魔法もビックリだったけど、飛行スキルも生えたのか……。


 スエキチ君のスキルを覚えたってことだよな……。


 いや、聖魔法もだけどさ、インフィニティスライム……最強じゃ……。

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