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【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。  作者: いな@
第一章 始まり以前

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第31話 謎は謎のまま

『ドライ、イス様のことどういたしましょう』


『そうなんだよね、今回は敵が強すぎて、そこまでは考えてなかったんだけど……』


『従魔? ああ、使い魔のことね。別にいいわよ? まあ切り株を食べ終えてからならだけど』


 いいんだ……それでも切り株の方が優先なのはブレないね。


『じゃあ、イス、これからよろしくね』


『イス様よろしくお願いいたしますわ。これで伝説の勇者様のように聖女……あら? 聖女の聖魔法はわたくしも使えますし……これはもしやドライが勇者――』


 うん。リズの妄想が暴走しているけど俺は勇者じゃなくて死に役だからね……。勇者、主人公は学園に行ったら出会うんだよ。たぶん……。


 考えると原作のスタート時点の状況とはだいぶ変わってきてるけど、いるよね主人公くん……。


 俺たち二人とイスで相談している間にミラさんがまだ残っていた装備品を首輪以外すべて取り除き、裸にしてしまっている。


 ……残すはパンツのみの襲撃者。あっ、脱がすんですね。声から男性だと思っていたけどこれは……切り取られている。


 とりあえず、物がないけどリズには見せたくないのでストレージからタオルを取り出してかけておく。


「なるほど、教国の者ですね。話の流れ的にそうだとは思っていましたが」


「ふむ。教国であるならば、コヤツ、あるいは親族の誰かが犯罪を犯したのであるな」


「本人のようです、額に刺青(いれずみ)が入っておりますので。それより止血をしてしまいましょう」


 ミラさんは生活魔法のファイアで傷口を焼いていく。叫び声はイスがまだ口をふさいでるし聴こえないが、バタンバタンと手足の無い身体で跳ね回る。


 止血が終わった後、やっと暴れ終わったと思ったら今度はビクンビクンと痙攣し始めた。何でだ? 血を流しすぎたのか……。


「ドライ、この方イス様が顔に張り付いておりますし……息できませんわよね?」


「それだ! イス、そこからどいて! 話を聞く前に死んじゃうよ」


『あら? そう言えば人族って空気がないと死んじゃうんだったわね。ユートにやっちゃって怒られたのすっかり忘れていたわ』


 そう言ってポヨンと襲撃者を解放した。


「ブファッ――ヒューヒュー、はぁぁ……」


 うん生きててよかったよ。それより勇者さんも苦労したんだね。俺も従魔にしちゃったみたいだから気を付けよう。


「くっ、なんたる失態! これでは……」


 あ、そうだ、鑑定しておかなきゃな。


 鑑定結果をみんなにも知ってもらおうと読み上げる。


「名前は、――? 名無し? ()内のベオ・バッタードが名前なのか? まあそれはいいけどレベルが32……強い。俺とリズが今12だから倍以上だよ」


「キサマ鑑定が使えるのか……そのような情報は聞いていない。それにその強さに加え聖魔法も使っていた……なぜだ……」


 結構調べられてたんだね……まあ俺が転生してきてからのことは知らなかったみたいだけど。


 そしてステータスを全部読み上げると、リズが何かを思い出したように、イスがいなくなった胸の前でポンと手を叩いた。


「教国の犯罪者、それも凄く悪いことをした人は名を消されると聞きますわ」


「うむ。エリザベス嬢、その通りであるな。刺青の紋様から読み取れば貴族の子女子息に手を出したと見て間違いないであろう」


「そんなことまで刺青で分かるんですか。あ、続けますね、年齢は29歳で、スキルが――」


 暗殺術や隠密、軽身術といった暗殺に役立ちそうなスキルが高レベルで習得していることがわかった。


 それから……洗脳はされておらず、気になっていたミラさんが外さず放置していた首輪が隷属(れいぞく)の首輪だとわかった。


 犯罪を牢屋に閉じ込めるだけじゃなく、こうやって使うんならそりゃ奴隷にして、やることとやっちゃ駄目なことを命令しておけば安心だよな。


「ツヴァイ兄さん、隷属されているし話を聞けないってことですか?」


「であろうな。ゲヒルンが口を滑らせた事より詳しく聞けることはなかろうな」


「ですがツヴァイ様。私が聞けるところまで聞いてみましょう」


 だけど、その後聞けたのは、予想していた通り、誰が黒幕かも、教国の仕業だと聞いても縦にも横にも首すらふらなかった。


 わかったことは、生け贄の負の感情を高め殺すことが目的だってことだけだった。


 ゲヒルンの死が悔やまれるな。コイツもこれだけの強さがあるのに俺たちじゃなく、仲間であるゲヒルンを真っ先に殺してしまったくらい重要な事を知っていたはずなのに。


「ふむ。これ以上は聞くこともできんようであるな。ミラ」


「はい。ですのでもう始末しておきました」


 早っ! なに! どうやったの!


 見た感じどこにも怪我は増えていないのにガクリと力が抜け、手足の無い人形のようになってしまった。


「このような者は手足が無くともなにをしでかすか分かりません。もしツヴァイ様に……ツヴァイ様()()に何かあってからでは遅いですので」


 うん。言い直したけど、ミラさんはツヴァイ兄さんにベタ惚れだね……ちょっと怖いくらい。


「そ、そうであるか、よくやったのである」


 ほら、ツヴァイ兄さんも分かってるのか、顔がひきつってるし。でもリズもちょっと似た雰囲気があるんだよね……。うん。今は考えないことにしよう。


「この部屋は兵に片付けさせましょう。私たちは当主様と、他の執事、使用人たちを見てまわった方がよいのでは?」


「そう、だよね。精神支配の魔道具があるから、それがゲヒルンだけとは考えられないし、やるなら早い方がいいよね」


「ですわね。その後はボッタクリーノ商会ですわよ」


 そうだよリズ。よく覚えてたね、襲撃ですっかり忘れていたよ……。

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