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第24話 浄化

「やっ! たあ! えい!」


 カン――カンカン!


 ツヴァイ兄さんを待つ間、リズと修行を続けている。


『リズそこよ! あっ! おしい! そう! そこで突き!』


「やー!」


 イスがリズにアドバイスを送ってくれるので、格段に動きが良くなっているんだよな。ガチで負けそうなくらい。


「くっ! これは、スゴく、ピンチ、だよ!」


 バックステップで取った間合いを一気に詰めるよう、大きく飛び込むように突きを繰り出してきた。


 だけど、なんとか間に合った。剣の柄の所で剣先をそらすことができた。が――


「「『あ!』」」


 飛び込んできた勢いのままリズは体ごと突っ込んできたので、俺にぶつかり、絡み合うようにゴロゴロと二人で転がった。


 ちょっと勢いがありすぎたのか、何回転も転がり、やっと止まったと思ったらリズが上に乗っていた。


 目を開け、ピントが合うと目の前にリズのキレイなピンクの瞳があった。そして唇に柔らかな物が押し当てられている。


 これって――


『リズとドライがちゅーしちゃってるー! は、早く離れなきゃ赤ちゃんができちゃうわよ!』


 いや、キスじゃ赤ちゃんはできないから! ってつっこんでる場合じゃない!


 そっとリズの肩に手を伸ばして押し上げ……押し……リズ、そんなに力一杯抱きつかれたらって、さらに強く唇を押し付けてきた……。


 顔を赤く染めて。


 五分ほど見つめ合ったままキスを続け、ようやく俺の上で体を起したリズ。


「ふふふ。これだけキスすれば私のお腹にはドライとの愛の結晶が……うふふ。ふふふ。うふふふふふ……」


 馬乗りのまま、愛おしそうに自分のお腹を撫でながら、幸せそうに笑っている。


 下から見上げると、ピンクブロンドが透けて快晴の青空が見えた。まるで天使が舞い降りたと錯覚してしまいそうなくらい綺麗だ。


 だけどリズ……キスじゃ赤ちゃんはできないんだよ。


『ドライ、これはもう責任取らなきゃ駄目よ、完全に赤ちゃんできちゃってるからね』


「いや、リズ、イスもさ、最初から責任というか、リズにはお嫁さんになって欲しいと思っていたから責任は大丈夫なんだけど、キスじゃ――」


「ドライ! 嬉しいですわ! 一緒にこの子を幸せにいたしましょう! よかったですわね~」


 そういってお腹に話しかけ始めたリズ。スゴく幸せそうだ。


 ……今すぐは誤解を解くのはやめておこうかな。自分で気づくまで、は長すぎるけど、しばらく見守っておこう。今日一日くらいは。






『あら、お客さんが来るわよ、なら私はまた小さくなればいいのよね?』


 幸せそうなリズと休憩を挟み、今度は魔法の威力を上げられるとイスに教えてもらった、魔力操作の修行をしていた。


 体の中の魔力を感じ取ってぐるぐる回したり、体の隅々まで動かしたり、体の表面に膜を張るようにしたりと、色々やっていたら誰か来たようだ。


 ほぼ間違いなくツヴァイ兄さんがアイン兄さんを連れて来たんだと思うけど、ほんの少しだけ警戒はしておこう。


「はい! イス様こちらにどうぞ!」


 待っていましたとばかりリズは服の首もとを大きく開けてイスに入れとアピール。


 イスも『またやるのね! 任せて!』とチラリと見えた微かな膨らみに向かって飛び込んだ。


 ……巨乳リズに大変身だね。俺は別にそこはリズのまま普通に成長してくれたら大小気にしなくても大丈夫だよ?


 巨乳になり、ドヤ顔で胸の膨らみを俺の方へ付き出してくるリズ。


 うん。スゴく大きいよ……頭を撫でておこう。


 巨乳リズの頭を撫で始めて間もなく、シャキシャキ歩くツヴァイ兄さんの姿が見えた。


 そして少し遅れ、『ふひゅー、ふひゅー』と荒い呼吸のアイン兄さんが切り株広場にやって来た。


 その姿を見て、昨日なにかおかしいと思っていた疑問が解けた。


 そうだよ、ツヴァイ兄さんが息切れしてない。一昨日までは『ぷひゅー』を脳内変換で聞こえないことにしていたけど、今は変換しなくても大丈夫だ 。


 どういうことだ? 洗脳中は息切れするんだろうか? あ、そうだ、忘れてた!


 ズンズン近づいてくるツヴァイ兄さんを鑑定する。もしかしたらまた洗脳されているかもしれない。


 鑑定! っ! 微毒! ツヴァイ兄さんも毒入りの食べてるの!?


 ……でもとりあえず元気そうだし、毒耐性(中)と、俺より上位互換の耐性も持ってるから大丈夫……だと思う。


 ……一応毒を浄化しておこう。浄化! よしよし、微毒が消えた。そして……本命のアイン兄さんの鑑定だ!


 有った……状態異常に微毒と洗脳が……。毒耐性もツヴァイ兄さんと同じ中だ。


『リズ、イス、思ってたとおり、アイン兄さんは洗脳されてるよ。ついでに毒も盛られてる』


 念話で二人に知らせたあと、ツヴァイ兄さんに頷いて見せる。


 ツヴァイ兄さんは、俺の頷きを理解したのか、ほんの少しだけ眉間にシワをよせただけで、小さく頷く。


『じゃあ~、二人の浄化でキレイさっぱりやっちゃいなさい!』


『うん! せーので行こう!』


『はいですわ!』


『『『せーの』』』


イスは聖魔法使えないはずなのに、一緒に掛け声をかけてくれる。


『『『浄化!』』』

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