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第18話 冒険者登録

 これがラノベで有名な冒険者のギルドかぁ……デカい。それに小さなダンジョンと、魔物の森も近くにあるから冒険者も多いんだな。


「ドライ、あまりキョロキョロしてますと人にぶつかりますわよ」


「あ、うん。そうだね。ところで小さなダンジョンのこともっと教えてよ」


「わたくしもあまり詳しくはありませんのよ? 確か十階層まであって、スライムさんにゴブリンさん。そうそう美味しいお肉を落としてくれますオークさんもいるそうですわ」


「ほほう」


 ゴブリンやオークも定番のモンスターだよな。人形だから少し不安が……。


 ん? そういえばスライムは置いておいて、ホーンラビットもポイズントードを倒してもなにも感じなかったよな……。


 元の世界では生き物なんて()とかハエくらいしか殺したことなかったのに。普通なら胸が痛んだりしそうなもんだけど、これも超越者の仕業なのか?


 それとも転生したときに倫理観がこの世界用へ書き換えられた?


 でもダンジョンで人形のゴブリンやオークも倒す予定だからその方が楽と言えば楽なんだけど……。


 うん。考えるのは後だ。今は冒険者に登録して、倒してきたモンスターの魔石とホーンラビットの角と毛皮、ポイズントードを売らないとな。


「ドライはダンジョンにもぐりたいのですわね」


「うん。屋敷の裏だと相当奥に行かないとあの三種類の魔物しか出ないそうなんだ」


「そうなのですね。でしたらダンジョンの方がレベルは上げやすいと思いますわ」


「少しでも上げておけばリズのお母さんだって早く治せるかも知れないだろ?」


 もしかすると、リズはストーリーが始まるときのレベルをすでに越えてる可能性もあるんだよね。


 俺の超越者で一気にレベルアップしたのと、これからの五年間で上がるレベルでは、今の方が格段に早いはずだもんな。


「ドライ。ありがとう。うん。ダンジョン頑張りますわ! ほらほら入りますわよ!」


 手を繋ぎ扉の無い出入口をくぐると、むわっとお酒の匂いが充満していた。


「おしゃけくしゃいですわ」


 繋いでない手で鼻をつまむリズ。うん。クランクアップで出席した、お祝いの席で嗅いだ匂いのキツいバージョンだ。


 これは嗅いでるだけでお酒の弱い人は酔っぱらうかも……。さっさと登録してしまうのが正解だな。


「冒険者の登録はここでできますか?」


 受付の列に並び、ラノベを読んで想像していた通りの冒険者ギルドに感動しながら、お酒の匂いにもなれた頃、俺たちの順番がまわってきた。


「はい。こちらでできますよ。登録は十歳からですけど大丈夫?」


 マジか! 年齢制限のこと完全に忘れていたけどちょうど十歳だがクリアだ。


「はい、俺もリズも十歳なので大丈夫です」


「ですわ」


 ドレスじゃなくて、俺の服を着てるリズが腰に手を当て胸を張り、ふんすと鼻息荒く返事したのを見て――


「ふふっ。そうなのですね。では、こちらの紙に名前と、スキルは任意、書いても書かなくても大丈夫です。それから二人はパーティーは組みますか?」


 ――笑われたけど、俺も見ていて笑顔になりました。


「もちろんですわ」


「はい。よろしくお願いします」


 サラサラと名前を書き込み、スキルは書かずにパーティー名か……なにがいいかな。


「リズ、パーティー名どうしようか」


「わたくしもそこで止まりましたの。どういたしましょうか……あ、超越者にいたしませんか?」


 超越者か、いいね。


「うん。それで行こう……超越者っと。これでお願いします」


「ドライ君に、エリザベスちゃんね。すぐに登録できるから少しだけ待ってくださいね」



 登録が終わり、銀色のギルドカードを受けとると、さっそく買い取りのカウンターに向かうことにした。


 本当はGと浮き出たギルドカードを手にした喜びを堪能したかったけど、売ったあとにダンジョンを覗きに行くので我慢した。


「買い取りお願いします」


「……はい、ではこちらに出してもらえますか」


 買い取りの受付お兄さんが俺たちを見て一瞬顔をしかめたが、なんなんだろう。もしかして子供だからか?


「ここだと置ききれませんが、小分けに出す感じかな?」


「ですわね。ここだとポイズントードさんを二匹置いたらいっぱいですわ」


「え? ポイズントード? その言い方だと二匹以上ですか? でしたらここでは無理ですね」


 今度は疑わしい目を向けてくる。


「そうですか……どうしよう、ここじゃ駄目みたいだ」


「困りましたわね」


「なので奥の解体場に行きましょう。私が案内するので、ついてきてください(どうせあってもストレージに入る程度、二人で十匹と言ったところだな)」


 あ、買い取りはしてくれるんだ。ってこのくだり読んだラノベにもあったな。それは冒険者たちが見てる前で出して驚かれていた。


 ……しまった! なら出しちゃえばそのテンプレを経験できたんじゃ! ……ちょっともったいないことしたかな。


 少し落ち込みながらお兄さんの背中をリズと二人で追いかけることにした。




「こちらです。今後も多くの買い取り希望の場合はこちらに直接来てください」


 そういうと、さっさと両開きの大扉を押し開け中に入っていった。


 俺たちも続き、中に入って驚いたのは、めちゃくちゃ広いってことだ。バスケットのコートが軽く六面は取れるだろうって広さだ。だから思わず――


「広っ! てか冒険者ギルドの建物よりデカいだろ!」


 ――と、叫んでしまった。リズはまた違うところに驚いていたみたいだけど。


「まあ! これは空間拡張魔法の部屋なのですわね!」


「ポイズントードですから毒物を取り扱う職人のところに行きますよ」


 俺たちが驚いているのを見て、『ふふん』と鼻で笑いながら奥に向かって歩き出した。


 リズの言ってた空間拡張魔法か、これ使いたいよな。俺の部屋に使えれば、雨の日とかの剣術訓練とかも余裕でできそうだし。


 ……うん、これは覚えなきゃな。後で聞いてみよう。

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