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第17話 ポイズントード×たくさん

 キングポイズントードをストレージにしまい、沼に振り返るとポイズントード()()が俺たちに注目していた。


 沼で浮いてたポイズントードたちもだ。


「み、見られていますわね」


「う、うん。キングだし、この群れのリーダー的な存在だったと思うしこのまま見逃して――」


 沼で浮いていたポイズントードたちは、のっしのっしと陸に上がってくる。


 紫の花を食べていたものたちも、咀嚼(そしゃく)しながら。見張りのものたちも一緒にペタンペタンと近づいてくる。


 じわりじわりと沼から離れるようにバックしているが、同じ歩数だけ距離を積めてくる。


 このまま逃がしてもらえたら良いなとちょっとは思っていたけど、やっぱりそんなに甘くはなかったようだ。


 一番手前のポイズントードがぐぐっとかがんだかと思った瞬間、俺たちに向かって飛んできた。


「――くれませんよねえー! ファイアーボール!」


「やっぱり来ましたわー! ファイアーボールですの!」


 左手でファイアーボールを放ち、右手の短剣で――


 サクッ――


 ――は? 手応えが軽い!


「ファイアーボール! ドライ! カエルさん! 弱い! ですわ!」


「俺も! そう思う! レベルが! 上がった! のかも!」


「ですわね! これなら! 魔法は! 必要ありませんわ! てや!」


「だな! 沼から! 離すように! 下がりながら! 倒して! いこう!」


「わかり! ましたわ! とう!」


 魔法を止め、剣術だけでポイズントードを切り捨て、ストレージに収納していく。


 次から次へと飛びかかってくるし、じわじわと左右に、そして後ろにも回られ取り囲まれてしまった。


「リズ! 背中合わせで戦うぞ!」


「はいですわ! えい!」


 あっ、またポイズントードを切る感触が軽くなった。って考えてる場合じゃない!


 こんなときは暴れ○坊将軍の時に松○健さんと一緒にちょっとだけ教えてもらった殺陣(たて)を思い出すんだ!


 二人で八人を相手取る。飛びかかってくるポイズントードは一度に三匹程度、やれないはずはない!


 あのときよく言われていた気合の入るたった一言の台詞――





      『○○! 成敗!!!』










「お わ り ま し た わー」


「疲れたぁ~。いっぱいいすぎだよポイズントード」


 次から次へと湧いて来るように沼から上がってくる追加のポイズントード。


 見えてる沼のサイズを考えると、違うところから出てきたんじゃないかと思ったほどだ。


 倒してはストレージに収納していたから足元に転がるものは無いが、よく入ったものだよな。


 途中から囲まれ、背中合わせで戦っていたままその場に座り込み、お互いの背を預けて休憩だ。


「ドライ、途中でレベル上がってましたわね」


「うん。俺は今レベル12だな。あ、剣術が剣術Ⅱになってる」


「わたくしもレベル12ですわ。剣術もⅡとドライ、お揃いですわね」


 一気にレベルが上がった。疲れたけど。


「ですがおかしいですわね、このようにレベルが上がるはずありませんのに」


「どう言うこと?」


「レベル5まではみなさんすぐに上がりますの。次のレベル6に上げようとしますと、早い人でも数日。遅い人だと一ヶ月は頑張らないとなりませんの」


「それなのに俺もリズも7つ上がってるもんな」


「ですの。キングさんが関係しているのかも知れませんわね」


「それはあり得そう……ん?」


 ステータスの超越者が気になる。なぜかわからないけど。


 固有スキルの超越者をタップして、説明文を開くと、前にはなかった項目が増えていた。


 必要経験値固定(固定値100)

  ┣パーティー内必要経験値固定

  ┗パーティー内経験値均等分配

    ※ 分配率は任意で変更可能

 ◆パーティー(2/3)

 ・エリザベス・フォン・イルミンスール

 ・ファラフェル・フォン・グリフィン


 マジか! この感じなら、経験値100ごとにレベルが上がるってことだよな? それもリズとファラも同じように。


 ……これ、すごくね? いつの間にパーティーになったのかわからないけど、みんなが強くなれるんだ、ならストーリーが始まるまでに強くなっておくことも当然可能だ。


 そしてこれもバグってると思う。


 超越者とは、あらゆる才能があり、あらゆるスキルを取得することができる。


 また、パーティーとなった者にも一部適用


 うん。一部とはいっても、映画やドラマといった物語によくあるご都合主義の塊だ。一部だけど。


 ああ~、そうか、これが仕事したからリズもファラも回復魔法が簡単に覚えられたんだな。


 超越者すげぇ……神様ありがとう。転生させてくれたのが神様かどうかわからないけど、本当にありがとう。


「リズ。レベル上がった謎が解けたよ。それにスキルを覚えた訳も」


「そうなのですか?」


「ああ。俺の固有スキルの――」


 超越者のスキルを説明していく。そうすると――


「でしたら聖魔法をもっともっと上げたいですの!」


「えっと今使えるのが浄化だよね」


「そうですわ。暇さえあれば使っておりますの」


 それなのにレベルが上がったり、次の魔法を覚えたりしないってことはどう言うことだ?


「なぁ、浄化って生活魔法のクリーンとよく似た魔法だよね?」


「その通りですわよ。後は実体の無い魔物、レイスや、アンデッドにもよく効くと聞きますわね」


 なるほど。たぶんだけどクリーンではキレイにできない菌とかは浄化で消せるんだろうな。


 それに霊やアンデッド系にも効く。そのあたりはRPGの敵キャラの弱点と一緒のようだ。


「ん~、もしかしたら毒も消せそうじゃない?」


「毒? 消せると聞いたことありませんが、でしたら試してみれば良いのではなくて? ポイズントードさんの毒がたくさん有りますわよね」


「だな。もう少し休憩もしたいし、座りながらやってみるか」


 で、当然のごとく俺は聖魔法を覚え、覚えた浄化で毒も消せることがわかった。


 うん。チートだわ。

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