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第113話 教国潜入&威力偵察?

「ここが前に教皇が転移してきたところ?」


『そうよ。どうする? この大きなアザゼル像ぶっ壊す?』


 名もなき島にあったアザゼル像と変わらない大きさ。見上げるようなアザゼル像が、ドーム型の部屋の真ん中にある。


 というか、アザゼルの心臓になってるんだけど……どう言うこと?


 まさか邪神アザゼルの封印って、よくある体をバラバラに分けて封印、ってことなのか?


 いや、でも当たりかも……名もなき島にあったものはただのアザゼルだったし……。


 でも、そう考えると、この心臓はなんとかしてここで潰したいよな……神剣無いけど。


 アザゼル像の鑑定結果にある、アザゼルの心臓をさらに詳しく鑑定してみる。


 ほほう。想像通り、三つに分けられて封印されてるみたいだな。


 名もなき島にあるのが体。

 ここのは心臓。

 あと、目がどこかにあるようだ。


 目、か。……それも探した方がいいよな。この教国にあると楽なんだけど……。


『ドライ? 聞いてる? どうしたの? おーい……駄目ね、考え込んじゃってるわ。なら勝手にぶっ壊しておくね。えい!』


 ペチと力の抜ける音のあと、ガラガラという音でと崩れていくアザゼル像が目に入り深く考え事をしていた意識が浮かび上がった。


「は? なにやってんの!?」


『あれ? 駄目だった?』


「あ、いや、駄目じゃないけど、って、アレか」


『何あれ、ドクドク動いて気持ち悪いわね』


「アザゼルの心臓だよ。アレを潰したいんだけど、武器がなぁ」


 ストレージからグリフォン騒ぎのときにアーシュが持っていた聖剣を取り出す。


 アーシュ……手入れしてないだろ……サビが浮いてるし、刃こぼれもあるし、ヒビまであるよ! こんなので切ったらすぐ折れちゃうでしょ!


『分けて封印されてるとか初耳なんだけど……ねえ、それで攻撃とかしたら、すぐ折れちゃわない?』


「だよね……一応この心臓は、勇者と聖剣()弱点だけど、これじゃ……切れないよなぁ……」


『駄目ならこの心臓は持って帰って、マオーに殴ってもらえばいいじゃない? 勇者だし』


「最悪それでいいか。まあ、期待はできないけど試しに突いて見るよ」


 瓦礫の上で脈打つ真っ赤な肉の塊のところまで、飛行スキルで浮き上がる。


 心臓の大きさは、小学校の頃、運動会でやった大玉ころがしの玉くらいの大きさしかない。


 名前や名もなき島にあった体に比べると、小さいとさえ思えるサイズだ。


「じゃあ……つついてみるか。はっ!」


 脈打つ肉の塊にボロボロの聖剣の切先が触れ、刺さり、根本まですんなりと刺さり混んだ。


『あら、脆いわね』


「ほんとだ。どんどんHPが減っていってるから、このまま刺しておけばよさそうだね」


『それより、お客さんが来たみたいよ』


 お客さん? と振り返ると、このドームに入る大扉が開き、真っ白な鎧で、剣や槍を持った兵士が現れた。


 鑑定の結果、全員アザゼル派の聖騎士となっている。なら倒しちゃってもいいよね。


「なんということだ! アザゼル神様の像が! キサマらは何者だ! キサマらが像を壊したのか!」


 色々聞いてくるけど、素直に壊しましたでは許してくれないよな。


 どうせ最後は攻撃してくるだろうし……その前に、ちょっと聞くだけ聞いてみるか。


「あのですね、カサブランカ王国から逃げ出した教皇たちを捕まえに来たものです。どこにいるか教えてくれますか?」


「教皇様が逃げ出した? 何を言っている! そのようなことはあるはずがない! よく聞け! 教皇様は先ほど勇者様を連れて凱旋されたところだ!」


 おお、受け答えしてくれるんだ。もう勇者じゃないんだけど、鑑定とかしないのかな?


 捕まえて帰る予定だし、構わないんだけどね。


「逃げ出したのは本当のことですよ。それで、教皇や、カサブランカのヒエン王子はどこにいますか?」


『馬鹿ね、教えてくれるわけないでしょ?』


 まあ、俺も教えてくれるとは思ってないけどさ。


 向こうからすれば、俺って砕けたアザゼル像の上で浮いてる怪しすぎる不審者だもんね。


 次々と増え続ける聖騎士たちを鑑定で見ていくと、すべてアザゼル派だ。


 さすが一番大きな派閥と言うことか。それとも聖騎士は全員アザゼル派なのかな。


『ドライ、それよりさ、こっちの心臓はどうなの? ピクピクし始めたけど』


『そろそろだね。あと一分もしないで0になりそうなんだよ。このまますんなりとやっつけられると楽なんだけど……』


 じわりじわりと包囲網をせばめてくる聖騎士のことは一旦置いといて、心臓のHPに意識を移す。


「……ヒエン殿下が来られたことを知っているとは怪しい奴め。もう良い。捕まえてから聞けば良いだけのこと! かかれ!」


「答えるのかよ……」


 あきれながらも、観察中の心臓のHPが4まで減ったとき、ピクピクだったものが、ブルルルと震えだす。


 真っ赤な玉からウニのようにトゲが四方八方に伸びて来た。


「「「ギャアアアアア!」」」


 取り囲もうと、瓦礫を登ろうとしていた聖騎士たちは、鎧を装備しているにも関わらず、トゲに串刺しになり、転げ落ちていく。


『最後のあがき? ちょっとチクチクするんだけど』


 イスの言うとおり、俺もちょっとチクチクするけど、傷を負うまでもない。


 トゲは体に当たるけど、ポキポキおれてしまってるし、攻撃力も耐久性も俺たちの防御力を貫くほどは高くはないようだ。


 そして心臓は、ドクンと最後に大きく脈動したあと、動かなくなった。


『……終わった、かな。HPは0になったし。迫っていた聖騎士たちを倒してくれた形になったね』


『じゃあ、さっさとその気持ち悪いのストレージに入れて探しに行きましょ。一応元勇者の気配は覚えてるから、案内できるし』


 いや、それ、早く言ってよ……。聞いた俺、間抜けじゃん。


「「「「ギガアアアアッ!」」」」


 は? なに?

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