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◆第10.5話 クリーク家の面々(次男ツヴァイ視点+オマケ)

「アイン兄上。ドライのところにまたエリザベスが」


「なら良いが……。だかツヴァイよ、行くとしても午後だ。午前は父上と共に隣国からの客を向かえねばならん。それが午後まで長引けば無理だな」


 そうであった。ドライのことなど放って置いても会わねばならん。


 年の頃はドライと同じではあるが、たわわと実った豊満な胸を見ずしてなんとしよう。


 愛しのファラフェル・フォン・グリフィン第八王女。


 兄上との婚約を父上が調整しているようですが、そんなものは先に寝屋を共にすれば覆ると言うもの。


 クリーク家の家督は譲りますので、ファラフェル王女はいただきますよアイン兄上。


「そうでしたね。今回も第八王女が訪問と聞きましたが、お泊まりでしょうか?」


 泊まりでしたら、決行は今夜でも問題ないのですが……。


「どうだろうな。私の婚約者候補として正式に発表はされてはいないが、飛竜を連れてきているとはいえ、おそらくお泊まりになるであろうな。どうしたツヴァイ。お前まさかファラフェルに懸想(けそう)しているのか?」


「いえいえ。お泊まりでしたら少しばかりお話し相手にでもなって差し上げようかと思いましてね。兄上は外交の話を父上と共になさるでしょう?」


 ちっ。懸想なんて難しい言葉を使いおって。手篭めにしたいかしたくないかだ。


「うむ。さすがにツヴァイをその席に着かせるわけには行かんからな。その時は相手をしてやってくれ。未来の義姉のためにな」






「お帰りになる?」


 聞きたくなかった言葉に、ワイングラスをテーブルに強く叩きつけるように置いてしまった。


 グラスが割れ、テーブルがにワインがこぼれようが今は関係ない。


 そんなことよりなぜ泊っていかないのだ! 


 横に離れて座るファラフェルを見る。


「え、ええ。今回は急ぎのようで」


 なんてことだ! それでは今宵の寝屋はなんとする!


 そういえば新人のメイドが入ったと聞いたな……。ではそちらの味見で我慢するしかないではないか。


 いや。目の前にファラフェル王女がいてこの部屋は密談用の盗聴防止の魔法がかかり外へは音は漏れない。


 ならばこの場で手篭めにしてしまってもなんの問題もなかろう。なに、兄上は怒るだろうが、グリフィン王国との繋がりはできるのだから娶るものが私に代わろうが構わない。


「それは仕方ありませんな。次回、ゆるりと時間があるときにでもこの続きをお話しさせてもらいましょう」


 たぎり始めた股間を見せるように足を開き、横にいるファラフェル王女にすり付け、その小さな手を取る。


 くひっ。男なれしてない反応だ。震えて可愛いのう。このまま押し倒して――しまおう! ファラフェル王女!


「ひぃ。え、ええ、う、うそ、ツヴァイ様何を!」


「ファラフェル王女様。兄上の婚約者候補で未来のお義姉(おねえ)様。実はお義姉様のことを懸想しております。どうかこの想いをお受けして――」


「嫌っ! 離れなさい! ツヴァイ様お戯れを! これは外交問題に! いや、止めて! だ! 誰か!」


「そんなに暴れずとも大丈夫です。この部屋は外に音は漏れませぬ。安心して可愛いお声を沢山お聞かせくだされ。ファラフェル王女様」


「ツヴァイ様! このようなことをすればグリフィン王国とカサブランカ王国の和平が! 嫌っ! 触らないで! 気持ち悪いの!」


「そんなものは父上と兄上が上手くやってくれます。さあドレスを脱がしてあげましょう」


 ソファーへ押さえつけ、その豊満な胸に手を伸ばしたその時。入口が、開けられメイドが入ってきた。


「会談が終わりました。こちらのご当主様がお二人を呼ぶようにと」


 なんだと! これからというときに! ……仕方あるまい。


「わかった。すぐ参る……おい、ファラフェル王女様の座って乱れたドレスを直せ。すぐにだ」


「……かしこまりました」


「王女様、この事はご内密に」


 くくっ、震えて声も出ぬか。可愛いものよ。


 ならば今夜は……ぬ? このメイド、見ぬ顔だな。それに体つきも……良いではないか。


「おい」


「はい。ツヴァイ様、なんでしょうか? ファラフェル王女様の身支度をしますので、お部屋を出てお待ちしていただきたいのですが」


「ふむ。そうだな、わかった。後で話があるから私のところに来るように」


「はい? わたくしはファラフェル王女様付のメイドですが、なに用でございますか?」


「チッ、我が家のメイドではないのでか……いや、用はない」


 ファラフェル王女とメイドを残し部屋を出る。


「ぷひゅー。クソッ! まったく兄上たちはなんと間の悪い」


 良さそうなメイドだったが確保もできないとは! この苛立ちはドライで晴らさねばならんようだ。


 そうだ。ヤツの目の前でエリザベスを……ふひひひひっ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 sideファラフェル


 なんなのですかあのブクブクの肉だるまは! このわたくしにこのような真似をしてただで済ますもんですか!


「ファラフェル王女様。助けに入るのが遅くなり申し訳ありません」


「え? あ、なた……そういえばわたくし付と聞こえたのだけど……」


 そういえばメイドが残っていました……。声を荒げてしまいましたが、……見たことありませんね。


「グリフィン王国カーバンクル伯爵家の者でございます。クリーク家に忍び込み、見張りと、その実態を暴くよう王家より遣わされた密偵です」


 なるほど。メイド姿なら、見つかったとしてもパッと見ただけでは身バレする可能性も低い。


「さすがカーバンクル伯爵様です。本当に助かりました。ではあの肉……者のわたくしにした無礼は、そちらにお任せした方が良いのでしょうか?」


 思わず肉と言ってしまったわ。


「はい。カサブランカの王都や、ここクリーク領の民からは三男が全ての悪事の元凶と流れていますが……あの肉――失礼」


「ふふ。わたくしも肉と言いましたから大丈夫ですよ」


「ありがとうございます。クリーク家について色々と調べていて、あの肉をはじめ嫡子のアイン。それに次男のツヴァイ、さらには当主も聞いていたこととまったく違うようです」


 あなたもう完全に肉になってますよ! いえ、さすが私つきといった所……ね。ん? 三男?


「えっと三男と聞こえたけど? んと、王家の者として、来たくもないのですが何度もクリーク家には来てますのに、今まで一度もお会いしたことも、ご挨拶もありませんわね……何者?」


「このクリーク家で唯一まともな思考を持つ者でした」


「でしたら……その者にすぐにでもお会いして協力を打診し無くてはなりませんね」


「はい。現状のクリーク家のすべてを調べ、報告を上げられる資料も揃いましたのでこの後は本来の王女様付き兼護衛につきま、す? ――あの、王女様? お聞きしてますか?」


 今回の肉の兄も噂とはまったく違うというなら、この国境の領地を任されているクリーク家と縁を結ぶわたくしの相手は、そのまともな三男が最適だと思うの。


「……その三男はどちらにおいでなの?」


 こうなれば絶対会って確かめるしかないわ!

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