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第二話
「へ?」
誰かの声が聞こえたと思ったらスパイをたおそう?
どういうこと?
この国の人達はみんな僕の敵。
スパイがいることは知らないはず。
みんな僕が犯人だと思ってる。
そんな人たちが僕にそんな声をかけるはずがない。
それなら誰が。
僕はゆっくりと声のした方を向く。
「……はい??」
あれ、見間違いかな。
うん。
見間違いだね。
僕は何も見なかったことにして、近くにあった本を手に取った。
だって振り向いたら顔も手、足もあるタコスがいたんだよ。
そんなの存在するわけがない。
多分疲れてるんだな。
疲れで目が狂っちゃったんだな。
そういうことにしておこう。
「おい、無視すんな。」
六人居たタコスのうちの一人がキレ気味に話す。
そのタコスのおでこあたりにはしわが寄っているように見えた。
聞き間違い、見間違いではなさそう。
「え〜と、その……。」
僕はタコスたちから目をそらす。
気まずくなっちゃって。
ここからどうしよう。