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ブレイブバレット ―決死の弾丸―  作者: 天野鉄心
五章 スクランブル
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⑤ 特攻

「カリーリ! そいつを引っ込めろ!」


 サブマシンガンを掃射しながら敵を引き込むように後退するゲンドウは、キールに癒やしの祈りを始めたカリーリを叱っていた。


 この世界では、もといた世界のように魔法や祈りが使えないとニコライに断言されていたし、残った敵が一体とはいえその銃口がカリーリとキールに向けば、治癒の祈りのかいなく二人の命運は尽きてしまう。


 付け加えるなら、サブマシンガンの軽さゆえの射撃精度の低さからとどめをさせない苛立ちもある。

 グァンダインも遠く離れた場所からの狙撃で、この場の危機をひっくり返さねばと焦って本来の精度を発揮できていない。


 そして何より敵がゲンドウの誘いに乗ってこないことがもどかしいのだ。


「カリーリ! どけ!

 アイツは俺が仕留める!」


 キールの腹に両手をかざし、淡い光を浴びせるカリーリにキールが吠える。

 マガジンチェンジを終えたのに、カリーリのしゃがみこんだ位置が敵と重なっているのだ。


「もう少し。あっ!」


 カリーリがキールの足の治癒に移ったタイミングでゲンドウのサブマシンガンから銃声が途絶え、キールは我慢ならなくなってカリーリを突き飛ばしてアサルトライフルを連射する。


 だが仰向けに寝そべったままでは狙いが甘く、当たりはしても致命傷にはならない。


「キール!」


 カリーリは、ゲンドウのサブマシンガンとキールのアサルトライフルに挟撃されてなお倒れないデ・ミニオンの打たれ強さに恐怖しつつ、間もなく撃ち尽くしてしまうであろうキールの残弾を案じて名前を叫ぶ。


 カリーリの耳にカチリッと金属同士が噛み合う音が聞こえ、キールの銃撃がやみ、少し離れたところからゲンドウの罵声も聞こえた。


「クソッタレ!」


 右手のサブマシンガンと左手のハンドガンを投げ捨てて腰からナイフを抜くゲンドウ。

 アサルトライフルをカリーリに押し付けるようにしてハンドガンをまさぐるキール。


 キールへと狙いを定める敵の銃口。


 その時、轟音とともにデ・ミニオンの頭がぜた。


 続いて起こった轟音でデ・ミニオンの胸に血潮が弾け、さらに三度響いた轟音の後には人型ではなくなったデ・ミニオンがゆっくりと横倒しになった。


「危機一髪、であったな」


「ゴルディ……。グッドジョブ!」


 ショットガンを構えたゴルディへゲンドウは親指を立てて感謝と功績を称え、カリーリは脱力してキールの胸の上へと倒れ込んだ。


「キール小隊。

 西の敵部隊を撃滅、オーバー。

 ……ゴルディ。悪ぃが他の奴にとどめを頼むわ。

 俺とキールは弾切れなんだ」


「了解した」


 指揮者に無線連絡をしたあと、ゲンドウはその場にへたりこんでゴルディに事後処理を指示し、長く息を吐いた。

 ゴルディは廃墟の大路に伏せている残り四体のデ・ミニオンの頭部を吹き飛ばし、ようやく辺りは静けさを取り戻した。


「……情けない」


カリーリを胸の上に乗せたまま仰向けに寝そべるキールは、カリーリにも聞こえないほど小さな声で己の無力さを嘆いた。

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