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微笑みの春  作者: 蔵人藻袮
8/23

第8話 はじまりの見え方

期末試験が終了し、まもなく夏休みに入る。しかし、3年生にはその前に、あるイベントが待っていた。

 着ようと思っていた服のありかがわからない時、いろんなところを探しては、汗ばんできて、せっかくシャワー浴びたのにとなることもしばしば。

「母さん、シャツどこー?」

「ソファーの上っ」

昨日のうちに荷造りを終えておいてよかった。こういうことがあって、電車を1本逃すなんてこともしばしばあるからだ。

「行ってきます」

集合時間も7時と早めだった。それも、学校ではなく駅に集合。

 7月になると、3年生は我が校伝統の博物館研修に行かなければならない。文化事業の一環で、東京の博物館に行くのだ。

 博物館研修のために、テスト明けの7月4日から7月7日まで普通の授業はない。AグループからDグループに分かれていて、それぞれ日程が違う。僕らのクラスはAグループだった。

 修学旅行は修学旅行であるんだ。2年生の時にあった。3年も、それも受験を控えた7月にどうして泊まりの学校行事があるんだよと思うのは誰もが同じ。でも、先輩たちからこの研修についての悪い話は聞いてないから、内心、楽しみにしている。


「次の列車は、ひかり632号東京行きです。自由席は1号車から4号車……………………」


 ひかり……。脳裏に焼きついたこの言葉。不思議だ。不思議とあの顔貌(かおかたち)が浮かんできた。最近会ってないからな、と思った。それはつまり、寂しいということなのかもしれない。

 もしそうだとして、どうだと言うのか……。

 アナウンスが終わると、列車が入ってきた。


 ひかり632号東京行き、その列車は僕らAグループの生徒が全員乗り終えると、間も無く出発した。

 僕はクラスの4班だ。この班は1週間ほど前のくじ引きで決まった。班員は柿くんと前田と横田さんと成美さんの5人。なぜだろうか、柿くんとは2年生の時から、席替えの時に席が近くなったり、グループ分けで同じグループになったりする確率が高い。


 1日目は東京国立博物館をまわり、国立科学博物館を見学し、その日程を終了した。館内は空調によって保たれていが、1歩外に出ればアスファルトの照り返す熱気に頭を悩ませていた。

 

 ホテルは、上野のビジネスホテルだった。部屋は2人分のベットが|設〈しつらえ〉てあった。例のごとく、僕は柿くんと同じ部屋だった。世界7不思議だ。

「俺、先シャワー浴びるから」

「へ〜い」

彼はシャワーを浴び終えたようだ。着替えを用意して、自分もシャワーを浴びた。熱を帯びたままシャワーから上がると、荷物の整理を始める。

 東京国立博物館では、実にさまざまなミュージアムグッズが用意されていた。その中から数点を選ぶのも難しい。


 2日目は、バスツアーだった。東京駅の丸の内駅舎の前を通り、お濠を眺めていた。やがて桜田門の警視庁の前を通り過ぎ、永田町の国会議事堂の前を通り過ぎ……。

 未来科学館や品川台場を見学したのち、品川で新幹線に乗車した。バスガイドさんのお決まりの挨拶を聞いた後で……。


つづく

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