第98話 限界。そして決意
ゾンビの襲撃から三日後。俺は諸々の報告や書類仕事を片付けてソファに体を沈めていた。
体中が悲鳴を上げる中、鎧兵を通して王都の様子をうかがう。土木関係の人間達が紙を広げて復興のための今後の予定を話し合っている。
破壊された王都を見ると心が痛む。紙一重だった。北方騎士団の団員にケガ人を出し、馬も負傷させてしまった。何かが噛み合わなければ死人が出ていただろう。
「……やはり、やるしかないか」
ワンオペってのはいずれ崩壊する。俺一人で巨獣から国を守り続けるのは不可能だ。トマティナとオイチに手伝って貰ったとしても俺が死ねば全てが終わるこの状況は変えなくてはならない。
蚊の巨獣、空飛ぶゾンビ。次に飛行タイプが群れで現れたらどうなるか分からない。
だから俺は別の方法で世界を変える。
「今日は二人に大事な話がある」
俺は二人の彼女、トマティナとオイチを自分の屋敷に呼んでいた。二人は黙って俺の話に耳を傾けている。
「今回の襲撃で気付かされたことがある。今の俺達は少し頑丈な鳥籠に入っているに過ぎなくて、いつ巨獣に食べられてもおかしくない状況にいる。次にゾンビよりももっと強力な巨獣が現れたらどうなるか分からない」
ゆっくりと頷く二人。俺は話を続ける。
「だからこれから巨獣自体を滅ぼすために行動しようと思う。夢物語かも知れないけど、ひとつだけ希望があるんだ。それは十の宝玉“セフィラ”。十個すべて集めたら世界が平和になるといわれている希望の宝だ。紫ゾンビと光ゾンビからそれぞれ一個ずつ出てきたから残りは四個。不可能な数ではないし、集めるしかないと思っている」
正直なところ、雲を掴むような話ではある。でも、この世界には俺の魔法ワンオペみたいな不思議な現象が多数あるし、妄想と片付けるのはよろしくない。少なくとも希望があるのならば挑戦すべきだろう。
「シロが選んだ道なら手助けするわ」
「同じくですわ。どこまでもお供いたします」
二人が優しく微笑みながら答えた。
「ありがとう二人とも」
もう消極的な行動は終わりだ。セフィラを集め、必ず世界を平和にしてみせる。
俺は静かに覚悟の炎を心に灯した。
【第3章 王都防衛編】 —終—




