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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第3章 王都防衛編

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第97話 和解

 ゾンビ達を倒して数時間後。燃え広がった火をどうにか鎮火(ちんか)して一息ついた。


 頃合いを見計らってか、ルシフェルとグレイプニルがこちらにやって来た。


「お前達すげぇよ。でも全員無事なのか?」


 グレイが心配そうな表情で(たず)ねてきた。


「もちろん。無敵の聖騎士団だからな」


「……聖騎士団が使っているのは魔法か?」


 やはり気になるよな。


「いや、ただの手品だよ」


 苦しい言い訳だ。


 グレイは察したように笑う。


「ま、そういうことにしとくか。薄々気付いていたけどな。たった百人で巨獣と戦い続けるなんて常人には不可能だ」


「この事は変に広めないで欲しい」


「分かってるよ。手品と聞いたらタネを見たくなるもんな。誰にも言わねぇさ。俺の手下どもも上手く誤魔化しといてやるよ。アイツら酒でも入れときゃあすぐ忘れるし問題ないだろ」


「すまない。ありがとう」


「でもさ、いつかは明るみに出るってこと、覚えておいた方がいいぜ?」


「ああ、重々承知している。その時が来たら色々と話すよ」


「それとさ、なんか悪かったな。お前達の邪魔しちまって。王都の方で轟音(ごうおん)が響くのを聞いてたら居ても立っても居られなくなってさ」


「いや、結果的にだが助かった。グレイ達が来てくれなかったら市民に被害が出ていたと思う」


「俺からしたらルシフェルさんのかっこいい所を見れただけでお釣りを渡したいくらいだよ」


 そのルシフェルに視線が集まる。腰まで届きそうな長い金髪に、首元から見える蛇の入れ墨。全てがゾンビと戦う前より十割増しでカッコよく見える。彼のお陰で死人が出なかったと言っても過言ではないし、当然だよな。


「ルシフェルさんもありがとうございました」


「ああ」


「素晴らしい指揮に感服(かんぷく)しました。いずれご教示(きょうじ)願いたいものです」


「うむ」


 口数少ないな、と思ったが普段はこんなものなので特に気にしないことにした。


「何か言っておきたいことありますか?」


「言いたいことはグレイが話した。私から特に言うことはないが、ヘラクレスよ、落ち着いたら虫さん採集に行こう」


 急にお鉢が回ってきた虫騎士隊長ヘラクレスに俺は慌てて操作を切り替えた。まだ一人で百役演じているのはバレていないようだ。


「分かったカブト!」


「あ、ずりぃ! 俺も連れて行ってくれよ! ヘラクレス! 虫取りに行こうぜ!」


 グレイが慌てて会話に割り込んできた。


 たく、男っつーのはいつまで経ってもガキだよなぁ……俺が一番大きい虫をとってやるぜ!


 それから少し虫談義で盛り上がった後、二人と別れた。


 一度、屋敷へ戻ろうとしていると。


 王都の外で声が掛かった。


「おい」


 巨獣加工屋のクローザだ。あ、まずい。火薬庫破壊してから会ってなかったんだよな。とりあえず土色鎧のNo.4ドロダンゴを前に出した。


「あ、クローザ殿。無事でごわすか?」


「お前達こそ全員無事か?」


「大丈夫でごわすよ。それより火薬庫を壊してしまって申し訳ないでごわす」


「はぁ? そんなのどうでもいいだろ。また作ればいいんだし」


「そう言って貰えると助かるでごわす。今度、建て直すでごわす」


「ホント、心配かけんなよ。お前達が居ないと商売上がったりなんだからなっ!」


 彼女の笑顔が心に()みる。


 失わなくてよかった。本当に。


「ああそうだ、グレイを見なかったか?」


「聖地の方に戻ったと思うでごわすよ」


「チッ、入れ違いか」


「何か用事があったでごわすか?」


「グレイに渡した鎧は試作品だから常人が着るには負荷が大きくてさ、使用後は多分体中に痛みが走ると思うんだよ。それを警告してやろうとしたのさ」


 異常な速度でてたしな。


 その後、グレイの激痛の叫びが王国中に響いたことは言うまでもない。

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