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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第3章 王都防衛編

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第88話 赤青橙ゾンビ戦1・剣、盾、大砲

 雨上がりの湿った匂いの残る中、俺達とゾンビ共はほぼ同時に動き始めた。


 まずは雑魚巨獣を(したが)えながら三体のゾンビが進攻してくる。ゾンビの色は剣持ちの赤、盾持ちの青、大砲持ちの(だいだい)だ。


「ほぼ予想通りだな」


 その三体は最初に動き出すと思っていた。なぜなら剣、盾はいかにも前線で戦うタイプだし、大砲は遠距離とはいえ森の木々が邪魔になるので、もう少し前に出て援護すると考えたからだ。少し前に戦った同じ能力持ちのウェアラットも似た感じの立ち回りだったというのもある。


 さらに言うと能力付与の虹色、回復持ちの黄色、毒霧吐きの紫は支援特化で前線に出るタイプではなさそうだった。


 唯一(ゆいいつ)、透明になる緑がどちらに転んでもおかしくなかったが、どうやら今のところ防御に回るようだ。


「緑の動きに注意してくれ。いつ攻勢に転じるか分からない」


「分かったわ」

「了解ですわ」


 トマティナとオイチには俺の屋敷から魔法のモニターを使って戦闘の支援を頼んでいる。


 俺本体は神樹の下で五千の鎧兵を引き連れて待ち構えていた。


「さぁ、始めようか」


 まずは雑魚巨獣が群れを成して突進してくる。


「アーチャー隊を前へ!」


 俺が号令をかけるとトマティナ、オイチが弓を持った鎧兵の部隊を前に出した。その鎧兵達が雑魚巨獣へ向けて矢を放つ。


 何十本もの矢が敵に直撃する。すると、数秒後に急に雑魚巨獣達が苦しみ出した。


「よし、上手くいった」


 矢にはある毒が塗られていた。それは“ゾンビ巨獣の血液”だ。


 戦闘の始まる前、蚊の巨獣を見た時に一つの違和感を覚えた。なぜ“同じ個体に能力を二つ以上与えないのか”と。


 巨獣一体に付き全部のゾンビの能力を渡せば強力な個体が作れるのになぜやらないのか。


 たどり着いた答えが“血液型”だ。いくつもの違う種類の血を混ぜると拒絶反応が起きて体に弊害が生じるのではと考えた。ゾンビの血なんて特に強そうだしな。


 そして嫌というほど転がっている雑魚巨獣の死骸を使って実験して説の立証に成功したというわけだ。


 火薬庫が壊れてスライムボム改がほぼない現状、これはかなり助かる。


 そうして雑魚巨獣を始末していると、いよいよ三体のゾンビが神樹近くまで接近してきた。


 赤ゾンビにも矢を当てるが効いている様子はない。さすがにゾンビ本体には無理か。


 肩を落としていると、赤ゾンビの背中から新たに二本の腕が生えた。


「ゲッ、四本腕かよ!」


 剣も生やして、回転切りで()ぎ払われた。斬撃と突風で鎧兵が百体ほど吹き飛ばされた。


「無双ゲームしてんじゃねぇぞ!」


 敵が後ろにステップして下がる。そして今度は盾持ちの青ゾンビが前に出てきた。


 スイッチしてんじゃねぇぞ。ネトゲみたいな立ち回りしやがって。


 盾を前に構えて突撃してくる。ブルドーザーのように土を削りながら鎧兵を吹き飛ばしていく。


 一方で大砲持ちの橙ゾンビに動きはない。様子を見ている訳ではなく、それは俺の立ち回りに関係している。


 俺の部隊は常に大砲の射線から隠れるように剣盾ゾンビの裏へ居るよう立ち回っていた。


 敵が嫌なのはフレンドリーファイア、つまり“仲間への誤爆”だろう。


 だからこうして剣盾の(かげ)へ潜んでいる。難しくはあるが、こっちは数だけは居るし、トマティナ達がサポートしてくれるので何とかなっている。


「グルル……」


 橙ゾンビは立ち位置を変えては大砲で狙いを定めるのを繰り返しているが、俺の立ち回りが上手くて中々発射できないでいた。


 その間に別働隊が大砲ゾンビへ接近。


「まずはお前からだ」


 その一言を合図に俺の部隊が一斉に飛び掛かった。

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