第83話 急襲3・藍色ゾンビ
俺はウェアラットの大群の猛攻を防ぐ中、藍色のヘドロに包まれた人型巨獣、仮称“藍色ゾンビ”を発見して冷や汗をかいていた。
ヤツはどう動く? 先制攻撃を仕掛けるべきか……?
そんなことを考えていると藍色ゾンビが動き出した。両腕を足の三倍くらい膨らませ、近くにいたダンゴムシ型巨獣ンゴロンゴロを掴む。直後、思い切り振りかぶった。
「おい、まさか……!」
予想通り、腕をしならせてダンゴムシを神樹上部へ向けてぶん投げてきた。ボールが枝や葉を散らす。一度は乗らなかったものの、何度も繰り返す内に遂に上に乗せられてしまった。
「まずい。でもダンゴムシ程度なら……!」
待機させていた鎧兵をダンゴムシへ向かわせた。敵一頭につき、およそ鎧兵十体で処理できる。コイツだけなら簡単に処理できるが、ゾンビが他の個体を今も投げ続けて増やしてくるので地味に負担が大きい。
「供給が間に合わねぇ……!」
鎧兵は俺を中心として半径五メートル以内に召喚できるのだが、一度に召喚できるのはせいぜい十数体だ。これでは圧倒的に間に合わない。
俺が必死に処理している間に藍色ゾンビは次の行動に移っていた。ヘビ型巨獣サーペントの死骸をプロペラのようにぶん回し始める。刹那、それを投げてロープを括り付けるかのごとく枝に引っ掛けた。
「ヤバい! ゾンビが登ってくる! トマティナかオイチ! 援護できるか!?」
「無理よ!」
「こちらもダメですわ!」
二人は神樹に齧り付いているウェアラットの処理で忙しいようだ。
クソ、俺がやるしかない!
自動操縦に切り替えた鎧兵にダンゴムシの方を任せる。
その間に複数の鎧ケンタウロスを召喚してヘビのロープを切るべく枝の先へ走らせた。不安定な足場のせいで数体のケンタウロスが落下した。それでも何体かの兵がロープ付近へとたどり着く。
「いっけぇぇ!」
持っていたクロスボウから爆弾付きの矢が放たれた。ロープに直撃して爆破。神樹の毒で脆くなっていたので簡単に破壊できた。しかし、藍色ゾンビは落下直前に神樹の幹へと飛び移り、指を引っ掛けて登ってきていた。
「チキショウ、猿かよ!」
敵は神樹の毒で指や足が爛れているが、お構いなしに上へ向かっている。
まずいまずいまずい……!
俺は慌てて鎧兵をけしかけた。だが、藍色ゾンビが思った以上に早くて中々落とせない。さらに敵はロッククライマーのごとく器用に片手でぶら下がったりして回避している。
そして。
「やばい……! 登られた……!」
藍色ゾンビは枝をかき分けて、遂に人類居住区域に到達した。
前代未聞の展開に俺の汗は止まらなかった。




