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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第3章 王都防衛編

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第82話 急襲2・ウェアラット戦

 二人の彼女の協力もあって何とか巨獣の群れの“第一波”を(しの)ぐことに成功した。


 汗をまともに(ぬぐ)う暇もないまま、群れの第二波であるビーバー型巨獣ウェアラットが押し寄せてきた。


 第一波の死体を乗り越えて進んでくる。もうこの周辺の罠は全て破壊されてしまった。(ゆえ)に鎧兵のみでどうにかするしかない。


「シロ、奥のウェアラットの動きがおかしいわ」


 見ると、死体の山に乗ったウェアラットの一匹が頬を膨らませて口から毒霧を吐いた。


「チッ、煙幕みたいなものか」


 臭そうな息吐きやがって。口臭ケアしてから出直して来い。


 俺が敵に悪態をついていたその時。神樹の側面が突如爆発した。


「なんだ!?」


 神樹にわずかに穴が開いていた。原因を探るため周囲を見回すと一匹のウェアラットの背中に大砲みたいなものが二門ついており、そこから煙が出ていた。ビーバーの癖にオシャレしてんじゃねぇぞ。にしても遠距離攻撃はやっかいだな。早めに処理しないと。


「トマティナ、大砲のヤツやれそうか?」


「やってみる。神樹の根元が手薄になるからカバーお願い」


「わたくしが補助しますわ」


 オイチが言った。


 (とどこお)りなく話が進む。物分かりのいい仲間がいるのは本当にありがたいな。


 そんな感謝の余韻に(ひた)る暇もなく敵の攻撃が来る。別のウェアラットが木にぶつかり幹を(かじ)り始めた。くっそ余裕がねぇ。タワーディフェンスゲームはもうやりたくないんだがやるしかねぇよな。


 オイチが敵の集団を引きつけている間にトマティナの部隊が大砲の敵へ接近。


「キィキィィ!」


 ネズミっぽい甲高い声を上げて両肩から大砲を出して撃ってきた。


「面白い武器だけれど、射線が丸わかりね」


 トマティナは部隊を二つに割り、まるでダンスでも踊るようにかわした。


 操作うまいなぁ。もしかして俺より上手いのでは? ……まずい、俺がたまたま魔法を得ただけのボンクラだとバレてしまう……!


 そんなことを考えている間にも、せっせとトマティナがスライムボム改を撃って敵の頭を爆破して殺していた。


 さらに攻撃していると、気になる行動をしている個体が目に入った。死にかけの仲間に向けて触手のようなものを伸ばしてぶっ刺していた。なんだ? 吸収でもしてパワーアップか?


 しかし俺の予想とは違い、刺された方のウェアラットの傷がみるみる内に再生、回復していく。


 なるほど、注射を刺して回復かぁー。お医者さんごっこしてんじゃねぇぞクソが!


 回復タイプもいるとか本格的にヤバくなってきた。


 焦っていると、木にぶつかる音。


「今度はなんだ!?」


 見ると、誰もいない。ただ足跡だけがあり、現在進行形で木が削られているのが見えた。


「透明の巨獣だと!?」


 足跡や木の削り方から見てコイツもウェアラットだろう。毒霧、大砲、回復、透明と、コイツら最近のゾンビ作品並みに能力多彩過ぎるだろ。ゾンビは歩くだけにしろ、クソが!


 悪態をつきながら毒霧タイプと回復タイプに兵を差し向けた。


「キィィ!」


 そこに透明タイプが助けに走ってくる。鳴きながら来たら姿を消してる意味ないぞ。足跡や足音、舞い上がる砂煙などでも位置がバレバレだ。所詮はクソネズミだな。


 敵の位置を見切り、スライムボム改を打ち込んで殺害。


 さらに毒霧と回復タイプを討伐。所詮は支援型であり雑魚だった。


 これでめんどくさそうなヤツは殺したが、まだウェアラットの進撃は続いている。


「……うん?」


 ふと、目の端に(いびつ)なものが映る。ウェアラットの背後に一頭の知らない巨獣がいた。人型だが全身が藍色(あいいろ)のヘドロっぽい液体に(おお)われていて、沼の底から()い出たような見た目をしている。両腕だけが異常に太く、足の三倍はある。


 明らかに異質。俺は嫌な予感がして、ソイツから目が離せなかった。

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