第81話 急襲1・巨獣の群れ
俺が毒の霧について調査と、女王への報告をしていると、突如として神樹下部北側の毒霧内からモンスターの群れが現れた。
「俺が直接ヤツらを止める! 二人は時間を稼いでくれれ!」
「分かったわ。気をつけて」
俺は頷き、急いで兜を被った。
北側へ向けて馬を走らせつつ、モニターで巨獣の様子を確認する。モンスター達は全て白目を剥いて正気を失っているように見える。少し前に戦ったゴブリンやリザードマンと同じくゾンビ化しているようだ。
敵は罠を回避、あるいは破壊しながら移動している。間違いない、意識して避けている。やはりゾンビ化が関係しているのだろうか? ゾンビを操る何者かの仕業か? 今は確信がない。
数分後、トマティナ達が時間を稼いでいる間に神樹上部北の端にたどり着いた。枝の隙間から下を覗くとイノシシ型巨獣オークが突進してきていた。
「チッ!」
俺はキーボードを操作して下の鎧兵を動かした。
鎧兵の波がオークの突進を受け止める。
「こちとら数だけは揃ってんだ! 負けるかよ!」
敵の口を無理矢理こじ開けて中に入り、内臓を破壊しようと試みる。
しかし、口から粘液型巨獣スライムが現れて阻止された。そういやコイツら共生関係にあったんだったか。クソがよ!
スライムは通常の青色ではなく紫色をしている。コイツもゾンビ化しているのか!?
スライムの粘液攻撃が飛んでくる。鎧兵達はあっという間に絡め取られた。敵は通常のヤツより動きが早く、荒い気がする。
「この程度でやられるか!」
鎧兵に持たせておいたスライムボム改を爆発させて相手の心臓を破壊した。
一息つく間もなく、次々とオークや他の巨獣が突進してくる。さすがの俺も捌き切れず、遂に巨獣が神樹へぶつかった。神樹は枝や樹液など、どこを取っても巨獣にとって毒で出来ているが即効性のあるものではない。敵は体が爛れても動きを止める気配がなく、登ってこようとしている。
「コイツら痛覚が機能しなくなっていやがるのか……!」
まさにゾンビ。そして今まで巨獣を毒で遠ざけてきた神樹の天敵と言ってもいいだろう。
大樹型巨獣ドリアードがツルを神樹に刺す。
さらにヘビ型巨獣サーペントが木の幹を這うようにして登ってくる。
二足歩行の牛型巨獣ミノタウロスも追従するように登る。
あーうぜぇ! タワーディフェンスゲーム苦手なんだよ!
「任せて!」
トマティナが声を発して援護してくれた。
「シロ様は鎧兵を量産してくださいまし!」
「よし! わかった!」
オイチに言われた通り鎧兵の増殖に集中する。
二人の彼女は、俺が出した鎧兵を操作して神樹上部からダイビングさせた。ソイツらが登ってきている巨獣に直撃する。しかし敵は怯むことなく登り続けている。
だがこちらは百体も千体もいるからな。さすがにそれだけ乗れば耐え切れないはず。
オイチが鎧兵達を滝のように落としていく。
そして遂に重さと衝撃に耐えられなくなった巨獣が神樹から手を離して落下した。さらに下の巨獣も巻き込んで地面に折り重なるように倒れ込んだ。
「やったわ! オイチはそのまま鎧兵を落とし続けて! 私は下に落ちた巨獣を始末するわ!」
「了解ですわお姉さま!」
トマティナは、下に叩きつけられてもなお生きている巨獣の体内に鎧兵を潜り込ませて殺し始めた。
俺が兵を増やし、オイチが神樹の下に落とし、トマティナがトドメを刺していく。
それを繰り返すこと数分。見事な連携で劣勢だった局面をひっくり返すことに成功した。
……よし、どうにか凌いだ。しかし、これはまだ“第一波”に過ぎない。
「次が来ますわ!」
続いて現れたのはビーバー型巨獣ウェアラットの群れだった。




