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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第2章 新天地編

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第50話 豚鼻キャロブゥと眼帯オレンジャ

 会議の終わった後、俺はすぐに準備に取りかかった。


 時間は二週間しかない。というのもテンソたち遊牧民族の子供や老人を新天地に残してきていて不安なので時間はあまり取れないのだ。


 とりあえず予定している道順にそって先行部隊を走らせている。


 同時に豚鼻中年のキャロブゥに呼び出されていたので、No.99ポテトを彼のいる貧民街へ向かわせていた。


 道中、頭上の神樹セフィロトの半透明の葉を見上げると、心なしか元気がないように見えた。


 神樹ちゃんさぁ、まさかもう弱ってんじゃないよな? 水が湧いたりエレベーターが付いてたりするんだから防壁みたいなの出してよー。


 俺の文句が聞こえるはずもなく、神樹は風の向くまま気の向くままユラユラと揺れているだけだった。


 そんな余所見(よそみ)をしていると、紫のローブを着た女性にぶつかりそうになった。その人物は占い師クズヨさんだった。


「あら、偶然。いえ、運命かしら」


 待ち伏せだろ、ストーカー予備軍め。


「すまないが急いでいる。またな」


「待って。またあなた達を占ってみたの」


 占いか……クズヨさんの占いは当たる、というより何かしらのヒントになることはある。偶然だろうが一応聞いておくか。


「上、右、左、右、右、左、ジャンプ、と出たわ」


 なんだ? 必殺技のコマンドか? クズヨさんの自爆コマンドだとありがたいが。


「よく分からないが覚えておこう」


「あとこれ、私の家の場所が描いてある地図よ。いつでも来てね。準備しておくから。うふふ」


 なんの準備だよ。こえぇよ。


 警戒しつつ、クズヨさんと別れた。


 それから少し歩いてキャロブゥのいる貧民街に着いた。


 彼の家の前に来た瞬間だった。何かが割れるような音が響き、家の中から眼帯の青年オレンジャが転がり出てきた。


 口元を見ると、血が流れていた。


「てめぇ、何しやがる……!」


 オレンジャが(にら)みつける先には貧民街のボス、豚鼻のキャロブゥが立っていた。


「話してわからねぇようだから殴っただけだ」


「へっ、殴ったって変わらねぇよ。オレは必ず新天地に行くぜ……!」


「ここまでのバカとはな。もういい、勝手にしろ」


「ケッ、アンタも行けば分かるだろうに。ブタは空を見上げられないってのは本当のようだな。貴族の犬として、ここで一生ポテトポテト言っとけよ」


 おい、ポテトさんを煽りに使うなよ。


 俺の気も知らずオレンジャはどこかへ行ってしまった。


 取り残されたキャロブゥがこちらに気付く。


「……ああ、ポテトさん。嫌なとこを見せちまったっすね」


 キャロブゥは、いつものような推しと会った乙女のようなはしゃぎ方はしなかった。


「……大丈夫か?」


「えぇ、喧嘩はいつもっすから。それより今日は来てくれてありがとうございやす。ささ、汚いっすけど中に入ってくだせぇ」


 家の中に入ると、本当に汚かった。


 立て付けの悪い椅子に座る。


「何か飲みやすか?」


「いや、いい」


 隙間から液漏れするからな。


「さすがポテトさん。毒を警戒して他人が出した飲食物は無闇に摂取しないということっすね」


 勝手な妄想助かる。


「それで俺に何か用があったのだろう?」


「えぇ、さっきのオレンジャのやつのことでお願いしたいことがありやしてね」


「なんだ?」


「新天地への道中、オレンジャを守ってやってくだせぇ」


「もう止めないのか?」


「あの通り頑固者でしてね。言っても聞きやしねぇ。ふんじばってでも止めるべきなんでしょうが、アイツの気持ちも分かるんでさぁ」


 そう言って、キャロブゥはコップについだ水を一口飲んだ。


「……アイツはあの通り片目が見えなくて何をやるにもハンデを背負っていて、仕事が中々上手くいかないんでさぁ。おまけに短気ときてるからどうしようもないやつでしてね。そんなろくでなしに人生逆転のチャンスが来たらそりゃあ飛びつくってもんでさぁ」


 俺にも少し気持ちが分かる。異世界転移する前の話だ。就活に失敗して未来が見えなくなっていた時、常に逆転の機会がないかと考えていた。


 宝くじ、ギャンブル、投資。なんでもよかった。仮にそういう美味しい話が舞い込んできたら飛びついていたかも知れない。それが危険なことだとしても。


「アイツには両親もいなくて、あっしが親代わりに育ててたんすけどね。ちょいと甘やかし過ぎたみたいでさぁ」


 眉を下げ、物憂(ものう)げな表情を浮かべるキャロブゥ。


「どうかオレンジャをお願いしやすぜ。もし、アイツが死んでしまってもポテトさん達を責めはしないんで安心してくだせぇ。そうなったらアイツとあっしの責任っすから。若気の至りで暴走したバカと、それを止められなかった親バカの哀れな末路と一笑に付してくだせぇ」


 コイツも色々と考えてんだな。伊達に貧民街のボスをしてないってわけだ。


「安心しろ。誰一人死なせるつもりはない」


 俺はもうこの国の一員で、国も国民も大好きだ。だから誰も悲しませたくない。


「さすがポテトさん。あっしの唯一神でさぁ」


 キャロブゥはニッコリと悪役みたいなフェイスで笑った。……うん、キモいな!


「ああそれと、オレンジャは竜が好きですぜ!」


 へぇ……どうでもいいわ!

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