第49話 隊長会議2・ポンコツどもの戯れ言
十体の鎧兵が着席して、ようやく会議が始まろうとしていた。
金髪碧眼の若き女王マルメロが口を開く。
「さて、全員集まったようじゃの。周知の事実と思うが、マルクト王国に原因不明の無数の灰が降り始めたのじゃ」
窓の外を見ると、神樹の葉の隙間を抜けてチラチラと灰が降っていた。
「推測じゃが、遥か北西にあるらしいゲブラー火山からのものと思われる」
遊牧民族族長代理テンソも同じ推測をしていた。火山灰は数百キロ遠くまで飛ぶと聞くし、神樹や巨獣のように色んなものが大きいこの世界ではなおのことだろう。
「ただちに影響はないが、長引くことになれば神樹が枯れるかも知れぬ。そこで早急に対策を立てようと思うのじゃが」
視線が団長ゼロを中心とした聖騎士団隊長達に集まる。
やれやれ、やっぱり俺がどうにかするしかないよな。やれやれ系主人公のようにめんどくさがりながらも頑張りますか。やれやれ。
でもその前に隊長達をしゃべらせて遊ぶか。本来それがやりたかったし。死地に行くんだからそれぐらいのワガママいいよな。
「ファファファ、このノウミソに任せたまえ」
いかにも人体実験とかしそうな隊長ノウミソにしゃべらせる。ピンクの鎧だが兜が脳みそなのでキモい。デザイナーの顔が見たいよな。俺だよーん!
「ひぇ……」
「なんとおぞましい」
「きも」
きもって酷くない? かわいい女の子に言われてたら泣いてるところだぞ。まぁキモいけど。
「ふむ、王手だな」
続いて王将と書かれた将棋の駒型の兜を被ったショウギ隊長にしゃべらせた。いかにも戦隊モノで序盤に死にそうな敵っぽい見た目だ。
「王手?」
「どういう意味だ?」
「脈絡がない」
あ、まずい。将棋よくわからなくて適当にしゃべらせてしまった!
「王の手ということか? つまり巨獣の腕を引きちぎり王へその腕を差し出すということだな!」
誰か知らないけどお前マッドサイエンティストだろ!
「キャハハ! 巨獣どもはアタシが皆殺しにしてあげるっ」
続いて女隊長ダイヤに高飛車感を出してしゃべらせた。やっぱ女幹部は生意気ぐらいがいいですわよ。
「え、そういうタイプなのか」
「派手さだけが取り柄って感じだな」
「臭そう」
臭そうやめろ。たしかに悪の女幹部とか臭そうなイメージあるが。個人の感想です。
「皆さん、お静かに」
騒がしくなって来たので音楽騎士小隊隊長ピアーノに腕のミニ鍵盤で音楽を奏でさせて周囲をなだめた。曲はラーメン屋の屋台引きがチャルメラで吹いてそうな定番のやつだ。
「ほう、耳に残る良い音色だ」
「不思議とヨダレが出てくる」
「なんだかお腹かが減るぞ」
気のせいだろ! 絶対そんな効果はない!
なんか萎えたしここまでにしとくか。他の隊長はクールキャラということにしとこう。ポテトさんを殺人狂っぽいキャラから寡黙なキャラに変えた時のように、もしもの時はキャラ変できるし。
話を終わらせるため団長ゼロを操作して拍手をするように手を一回叩かせた。
それを合図に周囲が静まり返る。くぅー、この場を支配している感が気持ちいいー!
「お騒がせしました陛下。後はお任せください。この聖騎士団アインが調査及び解決してみせます」
「うむ、頼んだぞ。わらわ達もできるだけ手助けしよう。国の為なら協力は惜しまん、なんでも言ってくれなのじゃ」
さて、現実逃避はここまでだ。頑張りますかね。
その後、今後のスケジュールなどを煮詰めた。そして会議が終わり、各々部屋から退出していく。
やはり隊長格は人気があるのか廊下で色んなお偉いさんに話しかけられてちょっとめんどくさかった。
小一時間相手した後、ようやく解放されて帰りの廊下を歩いていると、聖騎士団小隊長達の説明をしてくれていた貴族の息子と父親が立ち話をしているのが見えた。
「ところで父上、隊長さん達はどうでしたか?」
「そうだな……個性があっていいんじゃないか?」
あまり興味がなさそうだ。まぁ仕方ない、この隊長会議の楽しさは俺みたいな中二病少年(二十三歳)でなければ分かるまい。
「ただ息子よ、一言だけ言わせてくれ……彼らは——」
少し息を溜める父親。
「——とんでもなくカッコいいぞ! こんなにワクワクしたのは子供の時以来だ!」
急にテンションフルスロットルになってんじゃねぇか!
「ですよねですよねぇ父上ぇ!」
「後でもっと詳しく聞かせてくれ息子ぉ!」
「わっかりましたぁ!」
うーん、申し訳ないけどなんか引くわ。でもまぁ親子仲がよくなるならいいか。
たださ、一個だけいいかな?
……息子ぐらい名前で呼んでやれよ!




