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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第2章 新天地編

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第40話 邪教と聖教3・ゼロ対ポテト

 マルクト王国四番街の地下。なぜか対決することになった黒鎧の団長ゼロと、クリーム色鎧のNo.99ポテト。


「対決方法は我がマルクト王国に伝統的に伝わる決闘方法“メンコ”なのじゃ!」


 え? メンコ? あの丸か四角の札みたいなやつを床に叩きつける遊びの?


 俺が疑問に思っていると、白と黒の信者達が準備を始めた。床に正方形の敷き物と、丸や四角、小判型や人型などのメンコが目の前に並べられた。


 まさしく俺の知っているメンコだった。


 いやいやもっとなんかあるだろ。剣で直接戦うとか、馬に乗って狩猟とかさ。そうでなくともチェスとかポーカーとかカッコいい盤上ゲームあるじゃん? なんでよりによってメンコなんだよ。


「おお、メンコとな!」

「素晴らしい! まさに二人の戦いにぴったりだ!」


 なんか言葉の響き的に気が抜けるなー。まぁ伝統なら仕方ない、頑張るか。


「“聖域”は“積み”を採用。攻撃ルールは無差別方式。勝敗は、それぞれ五回打つ間に取ったメンコの数が多い者の勝利とするのじゃ」


 いや分かんない分かんない。誰か助けてくれぇ。


 困っているとポテトの横に占い師クズヨさんが走り寄ってきた。


「ポテト様、お困りのようですわね。わたくしが説明いたしますわ。……まず“聖域”とはフィールドのことですわ」


 さっき敷いていた敷き物のことか。聖域なんてカッコつけやがって。好きだけど。


「“積み”とは数枚のメンコを積み重ねた山をひっくり返すルールのことですわ。ただ、ここでは積み重ねた山のみを指して言っていますわ」


 めんどくさっ。適当に並べたのをひっくり返すやつにしてくれよ。


「攻撃ルールの“無差別方式”とは、場のメンコをひっくり返す、聖域から外に出す、自分のメンコを場のメンコの下に差し込む、そのいずれかが成立したらメンコを取ることができるというルールですわ」


 ようするに相手のメンコに嫌がらせしたらいいんだな。


「なるほど、理解した。説明ありがとう、助かったよ」


「お礼にキスしてくれてもいいですわよ」


 しねぇよ! 俺の蜂型鎧兵ブンブンを(けな)しやがって許さねぇからな! いつかお尻ペンペンしてやる! そしてピーをピーしてピーして二度と逆らえないようにしてやるからな! 自主規制。


 ゼロの方への説明は女王マルメロがしてくれた。


「よし、双方準備が整ったようじゃな。それでは始めるぞ。先行はゼロからじゃ!」


 さて、とりあえず思い切り叩きつけてみるか。


「へいへいへーい、ピッチャービビってるぅ!」


 聖教側からヤジが飛んできた。煽ってんじゃねぇぞ。底辺野球部かよ。どこにピッチャーがいるんだよ。


 気を取り直して、ちょっと気合い入れてみるか。


「はぁぁぁ!」


「おお! ゼロ様から邪悪なオーラが出ている!」


 そんな機能はない! 出てたとしたら(すす)だろ。


「うぉぉぉ!」


 裂帛(れっぱく)の気合いと共にメンコを思い切り床に叩きつけた。だがしかし、場のメンコはわずかに浮かんだだけで、ひっくり返ったり、ポイントに繋げることはできなかった。


「ドンマイドンマイ、切り替えて行こう!」


 邪教の一人が手を叩いて鼓舞してきた。部活のキャプテンかよ。


「次はポテトのターンなのじゃ」


 うーん、メンコって意外と難しいな。


 あ! そういえば俺が異世界転移する前、亡くなった爺ちゃんがメンコやってたの見たことあったな! たしかあの時は足をメンコのすぐ横に置いて構える感じだったよな。


 さっそくポテトに構えさせた。それを見た豚鼻中年男のキャロブゥが驚いたリアクションを取っていた。


「……ッ! さすがポテトさんだぜ。初見のはずなのにもう理想とされる構えをとってやがる……! この順応性こそが聖騎士団の殿(しんがり)を任せられる秘訣……!」


 そうなのか? コイツらポテトの一挙手一投足全部肯定するから合ってるのかわかんねぇわ。


 とりあえずやって見るか。カーソルをターゲットの横当たりに合わせて……おりゃ!


 見事、一枚ひっくり返した。


「おお! さすがポテトさんだ!」


「ないっシュー!」


 バスケかよ。


「ゼロとは格が違うぜ」


 あ、そうか。俺からしたら二回目だけど、体面的にはゼロとポテトで一回ずつだもんな。これじゃゼロが無能になっちゃう。


 次はゼロのターン。彼にもポテトと同じ構えを取らせた。


「あ、ポテトさんのパクリだ」


 おいやめろ。構えなんて皆こんなものだろ。


 その一言を皮切りに聖教側の人間が騒ぎ出した。


「なんてゲスな野郎だ」

「それでも団長か!」

「正々堂々、自分の構えで戦え!」


 自分の構えってなんだよ。難癖ひでぇな。


 今度は邪教側の人間が騒ぎ出した。


「パクリだろうが勝てば良いのだ!」

「そうだそうだ! 人を殺しても勝てば良いのだ!」

「そうだそうだ! 金を払ってでも勝てば良いのだ!」


 おい、お前らもっとマシな擁護しろよ! 役立たずかよ!


 てかなんでこんなゼロさん不人気なんだよ。色か? 色なのか? 黒は敵、白は正義。そういうことなのか? いじめ良くないぞ!


 不満を垂れつつ、俺はゼロを操作してメンコを叩きつける。しかし、動揺したせいで失敗してしまった。くそ、やっちまったじゃねぇか。


 続いてポテトのターン。四角いメンコを一枚持つ。


「いいよー、キレてる、キレてるよぉ!」


 ボディビルかよ。ただメンコ持っただけだろ。


 メンコをまじまじと眺める。うーん、四角より丸とか人型とか他の形が良かったりするのかな?


 俺が考えていると、キャロブゥがまたしても驚いたリアクションを取った。


「あ、あの動き、間違いない……! メンコに神通力(じんつうりき)を込めているぜ……!」


 神通力ってなんだよ! そんな機能はねぇよ!


「キャロブゥさん、神通力を込めるとどうなるんです?」


「んなこともわかんねぇのか。あれをすることでなぁ、場のメンコを一掃できるんだよ!」


 そんなゲームみたいな特殊効果はない!


 俺は(あき)れながらメンコから視線を外した。


「お、どうやら込め終わったようだな——来るぜ、ポテト語録が」


 なにがポテト語録だよ。何か言わなくちゃならなくなっただろ。でも俺は大学時代演劇サークルに入っていて即興劇をよくやっていたから、無茶振りには多少慣れているし余裕だけどな!


 さて、なんて言おうかなー。うーん、ヨシ!


「ウシ!」


 あ、ヨシと言おうとして焦って間違えた!


 その言葉を耳にしたキャロブゥを中心に、聖教信者達がざわつき始めた。


「『ウシ』……なんていい響きだ。魂に染み渡る」

「たった二文字なのにこれほどまでに心を熱くさせるなんて」

「自然と流れた涙で前が見えない」


 コイツらバカだろ。


 バカらしいし、さっさと次に行くか。俺はメンコを持ったポテトの手を高々と上げさせた。


「か、風だ……! ポテトさんの周りに風が渦巻いている……!」


 んなわけねぇだろ! 俺は4DXの映画館かよ!


「本当だ……! 涼しく感じる……!」


 気のせいだよ! お前の体感温度とかどうでもいいわ!


 コイツらのリアクションにいちいち反応してたらキリがないし終わらせてやる。


「ハァ!」


 気合いの一息と共に、角度をつけたメンコをターゲットの山へ向かって薙ぎ払うように叩きつけた。


 頭で思い描いた通り、メンコの山を吹き飛ばして数枚のターゲットを聖域外へ飛ばした。


「うおおお! さすがポテトさんだぜぇ!」


 なんかすげぇ上手くいったな。ちきしょう、ゼロさんの時にやれば良かった!


 その後、ゼロさんの時はことごとく失敗し、ポテトの時は全て成功して終わった。……うーん同じようにやったつもりなんだけどな。なんだろ、身長か腕の長さ辺りが重要なのかな?


 そして結果発表へ。


「結果は、十対零でポテトの勝利なのじゃ!!」


「うおおお! ポ・テ・ト!」

「ポ・テ・ト! ポ・テ・ト!」

「ポ・テ・ト! ポ・テ・ト!」


 聖教側大盛り上がり。


 くっそ、ゼロさんで一枚も取れなかった。


 邪教の面々がゼロの周りに集まってくる。


「ドンマイっす。そのえっと、無能でしたけどよかったっすよ」

「雑魚のゼロさんにしては頑張ってた!」

「そんな弱いゼロさんが好き」


 (なぐさ)め方下手かっ! そんなんだから邪教なんだよ!


 でもなんやかんやちょっと楽しかった。くやしい。


 ただ、聖騎士団同士でやると、鏡に向かってジャンケンしてるみたいでむなしかったわ。精神崩壊しそうだし二度とやりたくねー。

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