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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第2章 新天地編

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第36話 いつまで経ってもポンコツ

「聖騎士団アイン、突撃しないぞ!!」


「うおおおお?」


 俺こと“有塚(ありづか)しろ”ピチピチの二十三歳が率いる聖騎士団アイン(全部俺)が正式に認められて三ヶ月が過ぎた。


 相変わらず鎧兵を召喚する不思議な力、仮称“ワンオペ”を使って巨獣を倒したり、大樹の上に住むマルクト王国民と交流したりしている。


 もちろん正体は誰にもバレていない。兜の下を見たがる人は後を立たないけど、どうにか誤魔化せている。


 んで気になる冒頭のやり取りは何かって? ただの発声練習と、加工音声が正常に稼働するかのチェックだ。点検大事よね。


 それで今何してるかと言うと、マルクト王国の周囲にある森で巨獣狩りをしている。王国を乗せている神樹セフィロトの各部位は巨獣達にとって毒であるものの、一瞬で殺せるものではない。なので追い詰めたり、極限まで空腹になれば登ってくる可能性は高い。そのため定期的に下に降りて間引いているのだ。


 そして現在、巨獣の中でも比較的小型な虫巨獣と戦っている。


 ダンゴムシ型の巨獣、“ンゴロンゴロ”だ。世界遺産のンゴロンゴロ保全地域とはなんの関係もない。名付けた奴がゴロンゴロン転がる様子から命名したんだろうね。この世界はなぜか日本語が通じるし、日本語由来でもおかしくない。


 ともかくこれでしりとりで“ん”が付いても一回は救済されるな。何言ってんだ俺。


 気を取り直し、正面のダンゴムシに焦点を合わせる。敵は小さめといっても大きな岩くらいはある。


「ごろごろ」


 猫みたいに鳴いていてかわいい。猫なら許したんだけどな、敵は動くものを見ると突進して殺そうとしてくる害獣なので許しません。


 さぁて、いっちょ揉んでやりますか。


 聖騎士団団員No.0、黒鎧の団長“ゼロ”を前に出した。


 クックックッ、あれから成長した鎧兵達を見せてやろう。今や一対一でも余裕で勝ててしまう——


「ぐわあああ!」


 ——訳はなく、敵の突進によりゼロは床にこぼしたチョコチップみたいにバラバラになって死んだ。相変わらず一対一だとボコボコにされてしまうのである。いや、十対一でも無理だろう。


 まぁつまり、何もしなければ全く強度は上がっていなくて、いつも通り踏まれたら部屋の隅に溜まったホコリみたいに圧縮されるし、噛まれたら枯れ葉みたいにパリパリ割れて死ぬ。哀れなポンコツ一団なのだ。


 しかーし! 俺の魔法“ワンオペ”は百体の鎧兵、否、今や“五百体”の鎧兵を同時に召喚できるのだ!! もはやこんなデカいハナクソみたいな虫ケラ一匹なんて余裕綽々よ!


「ほーら、こっちだぜ虫野郎!」


 騎士団No.1の赤鎧“ファイア”が闘牛士みたいにマントをヒラヒラさせる。ファイアとかいう名前だから火の魔法が使えると思うじゃん? 使えないんだなぁこれが。


 ファイアはンゴロンゴロがタックルしてきたとこをヒラリとかわした。敵は岩にぶつかりストップ。


「よし、今だ!」


 止まったところをみんなでポカポカ殴って倒す。数こそ正義! 


 勝ち確定でニヤニヤしていると、突然、地鳴りがとどろいた。


「なんだなんだぁ?」


 音源を見ると、ンゴロンゴロの集団が転がってきていた。ひえぇ! 許してくれぇ!


「こんな、ところで……!」

「あわわ、死にましたー!」

「うぇい?」

「あらあら、うわああああ!」


 ああ、俺の騎士団員達が設定しておいたクソ断末魔を叫びながら破壊されていく。


「チキショウ、許さねぇ(棒読み)」


 当然、鎧達は待ち時間0秒で俺本体の元へ無限に復活できるので悲しくはない。


 俺本体は今、大樹の上にあるマルクト王国郊外のマイホームで(くつろ)いでいる。最近買った腰に優しいソファが気持ちいい。


「あ、あたいがこんな屈辱を……!」

「ふむ、しかし、あるいは——」


 あ、マズイ。ニヤニヤしてたら鎧兵がどんどんやられていってる。


 ちょっと今日は実験しようと思ってたんだ。みなさんご存知の策、鎧兵が咀嚼(そしゃく)されている間に口の隙間から攻撃用の兵を潜入させて内臓を破壊する“自己犠牲アタック”だけでは今後の戦いに不安があるので別の策を考案してみた。


 ということでちょっと鎧兵を改造してみた。


「第五十分隊、突撃!」


 ヒョロガリの鎧兵が前に出る。


 改造体その一、スピード型。極限まで軽量化することで移動速度を上げることに成功したのである。


 ダンゴムシの突進。


「バカめ、当たらぬわ」


 かわした。お、結構使えそうじゃん……って思うだろ? 残念ながら風に弱い。ダンゴムシが横切り、突風が吹いた。


「あーれー」


 兵達は糸の切れた凧みたいに飛んでいき、木に引っかかった。助かってよかったね。よくねぇよ。


 改造体その二、パワー型。今度は腕を太くしてみた。


「フンッ!」


 転がってくるンゴロンゴロを両腕で停止させる。というのは嘘で、そんなことできる訳もなく、そのまま土へと還った。下半身も鍛えないとダメね。


 ならばパワー型弍式でどうだ。足のみを太くしてみた。しかし、これも瞬殺。コケたら最後、倒れた二足歩行ロボットのオモチャみたいに手足をバタバタさせるだけだった。


 それならパワー型参式だ! 手も足も頭も体も太くした。ほぼ球体である!


 よし、こっちも転がってタックルだ! ……あれ? ダンゴムシみたいにうまく回転しない。それなりの馬力がいるらしい。エンジンのない車なんてただの箱って訳だ。


「ぐわああ!」


 容赦ないダンゴムシの体当たり。ビリヤードみたいに反射していったら楽しかっただろうけど、そうなるには強度と大きさが足りず、残念なことにせんべいみたいにプレスされた。


 改造体その三、ディフェンス型。今度はいろんなものを犠牲にして強度を上げることに成功した。


 一番犠牲にしたものはスピード。なので、硬いけどほとんど動けなくなった。お地蔵さんには使えそうだね。あ、屋敷に飾ってインテリアにするのもいいかも。古城にあるような鎧人形的な感じで雰囲気でてオシャレだと思う。うん、そうしよう。


 そんな現実逃避をしていると、ンゴロンゴロが突撃してきた。


「ストライーク!」


 ダンゴムシの回転アタックにより、ディフェンス型はボウリングのピンみたいに吹き飛んだ。硬いっていっても巨獣の前では無力でした。クソッ!


 続いて、ディフェンス型エロ式。胸部装甲を厚くしてみた。ぐへへ、これで巨乳だぜ。……ったく小学生みたいなことして馬鹿みたい。何歳だよ。二十三歳です。


「うふーん!」


 もちろん瞬殺された。鎧で遊んではいけません。変態お兄さんとの約束だよ。誰が変態だよ。


 仕方ない。最終手段だ! 合体! スクラム! 鎧達はラグビーのスクラムでも組むように並んだ。


 そしてダンゴムシ達はネットに引っ掛かる魚のように止まった。


 キター! やっぱり数の暴力よ。百体近くいたらいくらバカデカくても止められるというわけだ。


 よし、この気を逃すな! くらえーポカポカアタック!


「ポカポカ!」

「ポカポカ!」

「ポカポカ!」


 擬音を喋らせながらぶん殴るのが最近のマイブーム。かわいいだろ?


 そしてあっという間にダンゴムシ達は全滅した。やっぱり数の暴力よな。


 よし、この戦術を“キャッチ&ポカポカアタック”と名付ける! 我ながら完璧なネーミングセンスだな!


 そして、ふと、丸まったまま死んだダンゴムシを見てある事を思い出した。


 そういえば、白髪のお婆さん“ビーチ大司教”がミノタウロスの体内から出てきた巨大な玉と似たものを後八個集めて欲しいとか言っていたなぁ。どうしようかなぁ……ま、いっか! 強制じゃないし、国から本体出したくないし! 引きこもりライフさいこー!

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