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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第1章 誕生編

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第24話 一人百役の利点3・あの方再び

 貧民街の者達が暴動を起こしたと聞き、俺は操作を近くの鎧兵に切り替えて現場へ向かわせた。


 王城のすぐ北側にある貴族街(一番街)に小さな火が上がっていた。騒動の中心を覗くと、貧民らしきもの達と衛兵が言い争っている。


「下がれ! 無礼者!」


「黙れ! 水を寄越せ! お前ら貴族どもが隠してんだろ!」


 やはりこうなったか。ただでさえ貧富の格差でいがみ合っている両者なので、ちょっとしたキッカケで争いが起こることは容易に想像できた。しかし、早過ぎる。もう少し待って欲しかった。


 にしても水が惜しい時に火なんて馬鹿げている。早く止めないと手遅れになるな。ただ、相手は貧民街の人間。どちらかというと貴族側である聖騎士団では火に油の可能性が高い。女王や近衛兵シトローンに鎮圧を頼んでも同じだろう。


 しかし希望はある。貧民街の奴らとちょっとした繋がりのある“あの方”を使えば穏便に治められるかも知れない。


 今、あの方——騎士団No.99ポテトはちょうど近くにいる。さすがポテトさん。いつも良いところに居るぜ!


 正面のモニターをポテト主観に切り替えて急いで走らせる。クリーム色で表面にドリルを付けた鎧を揺らしながら駆ける姿は圧巻だ。当社比。


 まぁ身長二メートルあるので周りから見ても威圧感が凄いだろう。すれ違う人々も軒並み驚いている。あと黄色い声援が多い。人気どうなってんだよ。


 それはともかく豚鼻の中年キャロブゥはどこだ。アイツは貧民街でそこそこの立場のはず。奴の鶴の一声で場が収まると思うのに。各地に散らばっている鎧兵の映像に切り替えるも見つからない。こうなったら。


 ポテトさんが一番街に到着した瞬間、オリジナル装備である回天聖槍(ドリルスピア)を抜いて刃の部分を高速回転させた。そうする事で歯医者の削る音みたいなのが辺りに響くのだ。お陰でこちらに注目が集まり、一部の人の目が丸くなった。


「あ、あの方は!?」

「ぽ、ポテトさんだ!」

「えっ!? あの巨獣を一人で何十頭も倒したというあのポテトさん!?」


 いや一人じゃ無理だぞ。噂に尾鰭(おひれ)付きまくりじゃねぇか。


「……おい、そこのお前」


 威圧感のある低音ボイスを出した。もちろん俺の声を加工したものである。


「は、はひぃ!」


 ポテト信者の一人が緊張した面持ちで返事をした。


「キャロブゥはどこだ」


「えとえと、四番街だと思いますが……」


 うーん、やっぱそうか。ここは一番街だからちょっと遠いな。が、その時。


「てめぇら勝手に何やってやがんだ!!」


 ちょうど豚鼻のキャロブゥが登場した。ナイスタイミング。すぐにポテトと目が合う。


「あ、貴方は……ぽぽぽぽぽぽぽぽポテトさぁん!?」


 何個ぽ言うんだよ。ちょっぴり元気なハトかよ。


「……お前がキャロブゥか」


「きゃっ、名前呼ばれちゃった」


 乙女かよ。オッサンがきゃっとか言うなよ。


「まずはくだらん暴動を止めろ」


「は、はい!!」


 キャロブゥが貧民と貴族側の衛兵の間に割って入った。何やら話し込んだ後、ポテトの方を指差した。


「あれが伝説の……!」

「近付くものをあの聖槍で穴だらけにしたり」

「鼻を伸ばして獲物を突き刺したり」

「背中から無数の棘を射出するという……!」


 俺は新種のハリネズミかよ。


「ポテト様! 場を鎮めて参りました!」


 キャロブゥが福の神みたいにニッコニコで駆け寄ってきた。ご利益(りやく)はなさそう。


「よくやった」


「はい!」


「……いいか、二度と小火(ぼや)なんて起こさせるな。水の無駄だ」


「はい!!」


「窃盗や略奪もするな。犯罪は全部だ」


「はい!!!」


「俺が国を救うまで大人しくしていろ」


「はい!!!!」


 うーん、素晴らしきイエスマン。


「ひとつでも破ったら命がないと思え」


「それも悪くないかも……!」


 構ってちゃんかよ。クソ、言葉選びミスったな。信者は盲目だから困る。


 ともかくこれでしばらくは暴動が起きないはず。


 っぱ、ポテトさんよ。

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