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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第1章 誕生編

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第21話 報告

 牛魔王を倒すと決意したその日の昼。俺は敵の情報を得るため団長ゼロを操作し、女王マルメロのいる玉座に来ていた。


「突然の謁見失礼します。シトローン殿、二足歩行の牛頭巨獣に心当たりはありますか?」


 女王の横にいた近衛兵シトローンの目つきが鋭く変わる。


「……ミノタウロスか?」


 ミノタウロス、ゲームとかでよく聞く名前だな。牛頭のモンスター。イメージと合致する。


「恐らく。翠玉(すいぎょく)色の体毛を持つ巨獣です」


「私が知っているのは水底を思わす深い青色だったが」


 緑を青と言っちゃうタイプか? まぁいいや。


「ともかくその巨獣の情報が欲しい。何か弱点はないですか?」


「……ない。圧倒的速度、膂力(りょりょく)、戦闘センス、五感の鋭さ。どれを取っても人では太刀打ちできぬ」


 やっぱりそうか。でも何かあるはずだ。糸口を見つけるためさらに口を開くも、シトローンが女王に振り返り(さえぎ)られた。


「陛下、やはりこの者達には任せておけません。私が隊を率いて出ます」


 おいおい。鎧兵でも無理なのに人間じゃ不可能だろ。


「しかしじゃな」


 女王が眉間に皺を寄せて困り顔を浮かべる。


「私にはこう見えて多少の人望があります。国中の騎士団から精鋭を集めれば奴を倒す僅かな光明が見えてくるはずです」


「ううむ」


「時は待ってくれません。それでは」


 玉座から去ろうとするシトローンに、俺が立ちはだかる。


「無駄死にするだけですよ」


「引け小僧。経験では私が勝る」


 静止も聞かず、ゼロの肩を押し退けて出ていった。


 シトローンが去った後、女王に視線を送ると、ゆっくりと語りだした。


「……シトローンは昔、巨獣狩りの騎士団団長だったんじゃよ。無敵、とは言えぬが一度狩りに出れば必ず戦果を持ち帰る英雄じゃった」


 鋭い目つきに筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)な体と、確かに死線を潜り抜けてきたような容姿だとは思っていた。


「当時、聖騎士団に最も近い存在じゃった。前王である(わらわ)の兄も、次の遠征から帰ったら教皇聖下に提案してみようという話をしておった」


 女王が一度深く息を吐いた。


「じゃが、その遠征で悲劇が起きた。発端は団員の一人が『今回は少し遠くへ行かないか』と提案したこと。度重なる戦功が気を大きくしたのじゃろう。シトローンは二つ返事で許可した」


 女王が続ける。


「そして未開の地の先で出会ったのがミノタウロス。騎士団は一瞬で壊滅したが、死神のイタズラかシトローンだけは息を吹き返しおったんじゃ。想像じゃが、その後あやつの見た光景は地獄だったじゃろう」


 自分だけ生き残るって辛いよな。団長なら尚更。


「それから一人帰還したシトローンは巨獣狩りから足を洗い、前王の死後も妾の近衛兵として国を守ってくれておるのじゃ」


 そんな過去があったのか。それなら自分で行きたくなるのも頷ける。


「シトローンの事は悪く思わんでくれ。国を想うあやつなりの戦い方なんじゃ」


「分かります。……ですが犠牲は出したくない。我々で説得してみようと思います」


 策というほどではないが説得する方法は考えている。今までのシトローンとの会話にヒントはあった。


「何から何まですまぬな」


「いえ、お気になさらず、とは素直に言えませんね。ただ、陛下の思惑通りこの国が好きになってきました。ですから必ず全て救済してみせます。聖騎士団アインの名にかけて」


 優しく笑う女王マルメロ。あどけない少女のようで癒される。


 さぁ急ごう。シトローンを死なせるわけにはいかない。俺は騎士団No.8の老兵ダークを彼の元へ向かわせた。

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