第117話 邪神樹攻略戦1・イエティ戦
ニートンにアイデアを貰いながら邪神樹攻略の策を立てた。それから数日後。
俺とニートンは邪神樹南側に位置する雪山に来ていた。そこは他の山よりかはなだらかで、俺本体でも登れそうだ。
しかし、白いゴリラ型巨獣イエティと、狼型巨獣フェンリルにより登山難易度は格段に上がっている。
「じゃあ行ってくる」
「戦勝報告を待ってるドン」
ニートンと別れ、進軍を開始する。
雪山を少し登ったところで、目の前にイエティ群が現れた。
仲良しのフェンリル群はいない。鼻のいいヤツらは“木鎧兵”の発する激臭で有名な花である“ラフレシア”の臭いで東側へ誘導した。
二つの群れは共存している感じがあったので、分断した方が勝算が高いと判断したのだ。
さぁて、時間との勝負だ。フェンリルがコチラに合流する前に片をつけるぞ。
「聖騎士団アイン、突撃!」
“鎧ユキヒョウ”に乗せた鎧兵部隊を突撃させる。召喚獣をユキヒョウにしたのは雪道においては馬よりは早くて小回りも効くと考えたからだ。まぁ、単に他に思いつかなかったんだけど。結果的に上手く行っているからよしとする。
「ゴァ!」
額にバツ印のあるイエティの野太い声を合図に、敵の群れが一斉に雪玉を投げてくる。そんなものでやられる鎧達ではないぜ……と言いたいが、玉と言っても大岩のようにデカいブツに耐えられるわけもなく、兵達はバラバラになった。しかも中には岩やフンが入っていた。陰湿だぞ!
「ウキキキ!」
イエティ達は嬉しそうに手を叩いて笑っている。いじめっ子かてめぇは!
プンスカしながらも必死に鎧兵を操作して何とか距離を詰めようと試みる。しかし、思ったよりも近づけずに苦戦していた。斜面での戦いは下側が圧倒的に不利だからだろう。だが、地形の不利は空を飛ぶ鎧コウモリでカバーだ。
天高く飛ばしていたコウモリを急降下させる。雲に穴を開け、怒り狂う黒い龍のごとく奇襲。
「ゴァ!」
イエティ達は音ですぐに気づき、雪玉で迎撃してくる。無駄に投擲技術が高く、コウモリ達は中々たどり着けない。統率もとれている。やるな。
でも、そんなのは折り込み済み。敵が上空に気を取られている間に俺は策を進めていた。
「今だ!」
俺が叫ぶと、イエティが居る斜面の遥か上部で爆音が鳴り響いた。密かに火鎧兵を雪山の上へ回り込ませていたのだ。
雪山で爆発——当然起こるのは雪崩。雪の波がイエティを襲う。
「ゴァァ!?」
気づいて焦るも遅い。次々と群れが呑まれていく。もちろん俺の部隊も巻き添えを食っているが問題ない。無限に召喚できるもんね。
敵も味方も全員飲み込み、辺り一面新品のキャンバスのようにまっさらになった。
山風の吹き荒ぶ音だけが場を支配する中、雪の一部が盛り上がり、イエティのリーダーが頭を出した。あれで生きてたか。さすがだな。だが、もう詰みだ。
上空から鎧コウモリ五体に吊るされた火鎧兵が近づいていた。コウモリは非力で、通常は鎧兵を運べないが、木鎧兵で作ったツルで五体以上を結ぶことで運搬に成功した。移動速度が遅く、あまり戦闘での運用は向いていないが、こういう緩急をつけたい時は役に立つ。
パラシュートのようなシルエットの落下傘兵がイエティの顔面に目掛けて落ちていく。
「お疲れさん」
爆破。敵は呪詛を吐くような叫びを上げて暴れるも、やがて動かなくなった。
「第一関門クリア」
次はフェンリルだ。俺は鎧兵を補充して準備に取り掛かった。




