第114話 暗黒迷宮ビナー3・デュラハン戦
ニートンの叫びに急いで向かうと、広い空間に首なし馬に乗った首なし騎士“デュラハン”がいた。銀色の鎧を着用し、幅広の黒い剣を右手に持っている。刃には黒い十字架があしらわれている。体の大きさを可変できるらしいが、今は人間大だ。
「ニートン! 大丈夫か!」
「た、助けてくれドン!」
敵はこちらに上半身を向けて一瞥するが、鎧兵を無視してニートンへ一直線に向かう。
「させるか!」
スピードのある風鎧兵を複数体向かわせて攻撃。
デュラハンは黒い刃の剣を振るい、鎧兵を両断した。さらに続いて飛び掛かる兵達も真っ二つにされていく。切っ先が見えない。なんで俺の鎧ちゃん達はできないの?
泣きべそをかいていると、敵は一度止まって、剣に血が付いていないのを見て不思議そうにしていた。なんか自分を持ってそうなヤツだな。
とにかく今は好機。
「立ち止まったことを後悔しな!」
雷鎧兵を雷撃に変化させて攻撃。静電気で実験しているような弾ける音が聞こえて命中。だが敵は青白く帯電しただけで平然としている。
むしろ剣に雷を集め始めて、跳ね返すように雷の斬撃を飛ばしてきた。
複数の鎧兵が黒焦げになりつつ、切断される。
えぇ、マジかよ。雷鎧兵を使った攻撃は必勝戦術かと思ってたのにもう打ち破られるとは。
内心そこそこガッカリしていると、敵が再び動き出した。腰を抜かして転がっているニートンの方へ向かう。
鎧兵よりイノシシの方がお好みかい? でもさせねぇよ。
「これでどうだ!」
火鎧兵と土鎧兵を合わせて砂の煙幕を張った。敵はこちらの位置を確認する時に上半身を向けたり、切った後に剣を眺めたりしていたので視覚に頼っているのではないかと判断した。目がどこにあるかは分からないが。
煙幕を張るとこちらも見えなくなるが関係ない。なぜならこちらには“数”がいるからだ。
俺は何体もの鎧兵を煙の広がっている範囲すべてに飛び込ませた。押し潰してやるぜ。
しかし、煙ごと鎧兵を吹き飛ばすように内部から何かが膨張していた。
巨大な黒い影が差す。敵は首なし馬だけを巨大化させたのだ。
当然、馬も可変自在か。
馬の上に立っていたデュラハンが飛び降りて再びニートンのいる方へ走る。
相当ニートンがお気に入りのようだが、俺がいる限り殺らせないぜ。すでに担ぎ上げて出入口へ移動している。
そこにデュラハンの凶刃が迫る。俺は鎧兵を盾にした。
「そいつはハズレだぜ」
敵が風鎧兵を斬ったと同時に突風が巻き起こった。人間大のデュラハンの体が浮く。
風鎧兵はこんなことも出来るんだぜ?
敵が後ろへ吹き飛んで距離が空く。その間にニートンの救出は成功。さて、仕切り直しか?
しかし、敵は予想に反して剣を納め、踵を返して違う道の奥へ消えてしまった。警戒しながら追いかけるも姿はない。デュラハンは大きさを変えられるので一応周辺を隅々まで探したが見当たらなかった。




