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【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第4章 世界攻略編

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第110話 隠れ里ダアト2・したたかな女

 黒髪の美女シラユッキにどこかへ連れて行かれる最中、『あなたもしかして“日本人”ではないですか?』という突然の彼女の言葉に俺は一瞬にして頭が真っ白になった。


「日本人、とは?」


 俺は(かろ)うじて言葉を絞り出した。


「そうなりますわよね。私、知ってますわ。アナタがた鎧兵の中身がないこと」


 汗が体中から吹き出す。


「数が百人以上いたこと、首が飛んでも動いたこと、液漏れなどなど。執事の調査でわかりましたわ」


 え、あの七人のポンコツ執事達が仕事した!?


 彼らは羊より役に立たないと思っていたのに。油断した。


 俺が別な点でショックを受けているとは知らず、シラユッキは話を続ける。


「私の予想では聖騎士団の中身は一人。多くても二人くらいだと思いますわ。でなければあれだけの統率力を発揮できないでしょうし、人が多ければ秘密も漏れるはずですわ」


 ……鋭いな。


「それが事実だとしたらシラユッキさんはどうするんですか?」


「私の知っている“世界の真実”をお話ししますわ」


「真実?」


「えぇ……と、その前に到着しましたわ」


 目の前には横長の建物があった。瓦屋根、障子(しょうじ)、縁側なんかがあり、どう見ても日本家屋だ。


「ここは?」


「この里を作ったとされる人の家ですわ。異世界転移あるいは転生した日本人のね」


「転移に転生だって……!」


 頭が混乱する。俺が動揺する中、シラユッキが構わず話を続ける。


「さて、最終確認ですわ。お顔を拝見させていただけませんか? それであなたが日本人だと分かれば世界の真実をお話ししますわ。魔法のこと、転移転生のこと、巨獣のこと、分かること全てですわ」


「…………」


 顔を見せることは心臓を握られるようなもの。トマティナやオイチは例外として、これ以上秘密を知られるのはマズイ。ただ、世界の真実は知りたい。


 迷う。でもやはり人生において虎穴(こけつ)に入らずんば虎子(こじ)を得ずで、どこかでリスクを負わなければ何も得られない。ここを逃せば世界平和にかなり遠回りすると思う。


 ……うん、賭けに出るか。


「……わかった。少し待っていてくれ」


 少しして、俺本体を連れてきた。


「それじゃあ、行くぞ」


 辺りを警戒し、恐る恐る、ゆっくりと兜を脱ぐ。新鮮な空気が(あら)わになった顔を()でる。汗でおでこに張り付いた前髪を手でかき上げ、シラユッキと目を合わせた。


 彼女は眉をわずかに上げた後、優しく笑った。


「素敵な面立ちですわ。私の持っている原初の日本人の絵と特徴が一致していますの。他にもお仲間がいたりしますか?」


「秘密だ」


 自衛のためにも言わない方がいいだろう。


「ふふ、賢明ですわね。それではこちらも約束通り真実を語るとしましょう。……あ、その前に移動しましょうか。ここは日本人の家ではなかったのを思い出しましたわ」


 ペロッ、と舌を出していたずらに笑う。


 予防線を張ってたか。(したた)かな女だね。


 それから俺達は再び移動した。途中、隠し通路のような道を通って、何度も角を曲がった先にそれはあった。


「ここが本当の日本人の家ですわ」


 さっきと同じく平屋だ。違いがあるとしたら池があり、鹿威(ししおど)しが風流を押しつけて来ていることくらい。


 飛び石を渡り、玄関の引き戸を開いて中に入る。


 内部も畳や障子などがあって和を感じさせるが、よく見ると所々に幾何学(きかがく)模様が刻まれており、異世界の技術も使われているのが分かる。


 俺は警戒しながらも鎧を解除して、『お邪魔します』と言いながら靴を脱いで家へと上がった。


 通された和室に鎮座(ちんざ)している囲炉裏(いろり)の前にシラユッキさんと向かい合わせで座る。


「まず何から話しましょうか。そうですわね、私が何者なのか、からにしましょう」


 彼女はゆっくりと話し始めた。

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