第107話 遠距離恋愛
ワシ型巨獣グリフォンを倒して周囲の安全を確保した後、俺は休憩に入っていた。
「あのドラゴンなんだったんだろうなぁ」
グリフォンにトドメを刺した謎のドラゴン。もし戦うことになったら嫌だな。
「まぁ今はいいか。それより寂しいから彼女に連絡してみよーっと」
俺は王都に残しておいた鎧兵にアクセスしてトマティナとオイチに連絡を試みた。
「おーい、居るかー?」
「——あ、シロ? 無事?」
トマティナが鎧兵の目の前にひょっこりと顔を出した。相変わらずの声色に安心する。
「こっちは無事だ。そっちはどう?」
「変わりないわ。一人居ないせいで少し肌寒いけど」
かわいい言い回しだねぇ。
「あはは、俺も寂しいな」
「今はどこにいるの?」
「コクマー岩壁群にいる。宝玉を一つ手に入れたよ」
「すごい! 順調ね!」
「うん、次は新天地カーナへ向かうつもりだ。そこで休憩がてらみんなの様子を見てくるよ。その時にまた連絡する」
「無理はしないでね」
笑いかけてくれる。癒されるなぁ。直後、オイチがトマティナの背後に映り込んだ。
「ごきげんようシロ様」
「オイチも変わりないか?」
「大丈夫ですわ。ただ、シロ様のナニが恋しいですけれど」
ナニやめろ。相変わらず下品な女だな。
「はいはい。それよりもう一度占ってくれないか? 念のため確認しておきたい」
実は出発前に一度占って貰っていたのだが、念には念をだ。
「いやらしい映像を送ってくれたらいいですわ」
うぜぇ。変質者かよ。
「そんなものはない。いいから占え」
「仕方ありませんわね。その罵倒をオカズに今日はお姉さまとどうにかしますわ」
どうにかってなんだよ。何もすんなよ。
オイチが真剣な顔、いや、うさん臭い表情で占い始めた。
「むぅ、むむむ! パァーッ!」
いや、何だよそのクソみてぇな掛け声は。今までやってなかっただろ。
「それでは、わたくしの側にいる鎧兵の手を前に出してください」
うん? なんだろ、まぁやってみるか。
「次に人差し指を前に」
言われた通り、指を出す。
「そのまま前へ進むと……あひん」
なんだその腑抜けた声は。
「わたくしの乳首ですわ」
「土に帰れ」
もしコイツが現代にいたら性犯罪で捕まっていただろうな。
「コホンッ、占い結果は……“五感”ですわ」
「前回と同じか」
「そうですわ。股間ではないですわよ」
俺が言おうとしてグッと堪えたことを平然と言うんじゃないよ!
にしても五感か。視覚とか聴覚とかだよな。うーん、あまりピンと来ない。
他にもヒントが欲しいところだが、オイチの占いはそこまで万能ではない。また占っても同じ結果だろう。ケチな能力だよな。と、オイチに言えばご褒美になってしまうので黙っておく。
その後。二人と適当に雑談して。
「最後にシロ様に大事な報告がありますわ」
オイチが真剣な面持ちでこちらを見る。
「なんだ?」
「今日、下着を穿いてませんわ」
どうでもいいわ!
「……そうか。穿けよ。風邪ひくぞ」
コイツは何も分かっていない。エロは供給過多だと萎えるんだよ。
俺は生ゴミを見るような軽蔑した視線を送った後、通信を切った。




