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きみはオーパーツ

作者: カンタロウ


 朝礼が始まる前、教室の隅っこでロボット工学の本を読んでいる僕の所にあるクラスメイトが寄ってきた。


「15歳の誕生日おめでとう。聖くん」


 彼女は闇白みつき。頭に大きな赤いリボンをつけているためか、見た目ではクラスの中で浮いているが、持ち前の不思議な発言により友達が多くいる。


「よく覚えていたね。僕の誕生日を」


「まっクラスメイトだからね」


 得意な顔して、人差し指を立てた。

 しかし、その後、不意に闇白は猫のポーズをする。


「キミは今から猫になるよ」


 そんなことあるはずがない。

 僕は彼女のこうしたところが苦手で今まで避けてきたのだが、やはり会話するべきではなかった。

 席を立った瞬間、足元に居るゴキブリが目に入り思わず


「にゃーーー!!」


 と我ながら恥ずかしい雄たけびを上げて、驚いた。

 闇白の言った通り猫になった。


「ねっ言ったでしょ」


 笑いながら今度は、教卓の上に立ち、みんなの注目を集める。


「今からここに隕石が落ちてくる」


 また始まったか、と笑いながら彼女を茶化し始めるクラスメイト達。

 しかし、そんなことお構いなしに

 

「じゃあ、皆お元気で!」


 と、前方の入口から勢いよく彼女は飛び出した。

 僕は興味が湧いて、彼女の後を付いて行く。



 闇白が向かった先は、学校の屋上だ。

 彼女は、深呼吸した後なにかを決めた顔をした。突然、背中から巨大なロケット砲を出し、天に向かって数発の弾を発射したのだ。

 その後、胸がパッカリと開き、そこから砲台が現れた。闇白は、天空に向けて右から左へと上半身を捻りながら光線を出し続ける。


「ロボットかよ」


 その一言は空に消える。  

 闇白は後ろへと転換し、耳元に指をあてた。


「H.Z.R-015。隕石の破壊、完了しました」


 通信に夢中になっている彼女の背中に1つの黒い小さな影が目に入った。


「危ない!」


 咄嗟にそう叫んだ。

 彼女は、僕のほうに振り向いた後、ニコッと笑い黒い影に貫かれた。

 僕は闇白の元へと駆け寄り、上体だけを起こして開いた穴を確認する。そこには電子基板とケーブルが破壊され、火花を散らしている。


「先生は必要ないよ」


 彼女の言葉と悟った表情に、僕は助からないと実感した。

 闇白はロボットだからこそ、色々とそぐわない点がなんとなく理解できた。


 僕は、彼女の不思議発言を消させないように言った言葉が


「キミはオーパーツだね」


 だった。

 闇白は微笑み


「そうですね。博士」


 と、闇白は静かに返した。


 

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