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エッセイ

12pt あげるっ!

 個人的に。

 ポイントはあげたくない方です。

 お返しを期待しているようで、いらいら、もやもや、するからです。


 もちろん「お前らには……お前らには……ポイントなんて絶対にやらん!」なんてことではありません。

 あげたければあげるし、あげたくなければあげません。


 それと。

 もらえるものはもらいます。

 ご覧のページを、一番下の方までスクロールしてください。

 そこに『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』『☆☆☆☆☆』って書かれてるじゃろ?

 そこの『☆』をな、『★』に塗り潰してほしいのじゃ。

 これが『小説家になろう』の『評価システム』じゃ。

 『★』一つごとに『2pt』、五つで最大『10pt』入れられるのじゃ。(『pt』は『ポイント』のこと。)


 更にっ! ここでうれしいお知らせじゃ。

 ご覧のページの、上の方と下の方に『ブックマークに追加』と書かれておるじゃろ。

 それを押すとな、追加で『2pt』入るのじゃ。


 10pt + 2pt = 12pt


 小学生でも分かる計算じゃ。


 更に更にっ! ここまで全部無料じゃ。(通信料などはご負担ください。)


 ポイントを一杯、いーっぱい入れて、作者を『応援』するのじゃ!


 …………————…………————…………————…………


 ————…………————…………————…………


 ……☆……♭……——♪ ……★……♯……


 ……………………。


 …………『応援』って、なんでしょう?

 ポイントを入れて、感想を書いて、作者とキャッキャウフフすること?


 そんなわけがねえ。


 ……いえ、もちろん、そうした交流を促進するための機能、という側面はあります。

 作品を書いて、わくわくしながら投稿して、それが数字で評価されて、感想も付く。

 理想的な流れです。


 現実はもっと過酷ですが。


 まず作品が読まれません。

 『小説家になろう』では、毎日数千もの『作品』が投稿されます。

 普通に埋もれます。

 お前の『作品』はマジで誰にも読まれません。

 お疲れ様でした。


 ……と、ここで出てくるのが『ポイント』、それに『ランキング』です。

 たまたま誰かの作品が読まれます。

 読んだ人が『ポイント』を入れます。

 入った『ポイント』の多い順に、作品が並べられます。

 その上位百件くらいが『ランキング』として、『小説家になろう』の目立つ場所に掲載されます。

 みんなが読みに来ます。

 読んだ人が『ポイント』を入れます。

 入った『ポイント』(以下略)


 お分かり頂けただろうか。


 作品が読まれて良かったね!

 これでみんなハッピー!


 そんなわけがねえ。


 ……『たまたま』読まれて『ポイント』が入った作品はいいでしょう。

 問題は『たまたま』読まれない作品の方です。

 たまたま読まれず、ポイントが入らない。

 たまたま読まれて、『2pt』とか『4pt』とか『6pt』とか入れられて、ランキングにかすりもしない。

 誰も読みに来ない。

 お疲れ様でした。


 ……大事なことなので、もう一度言いますね。

 『ポイント』が入らず、『ランキング』に載らない『作品』は、永遠に読まれない。

 作品を書いて、わくわくしながら投稿して、それが数字で評価されず、感想も付かない。

 よくある流れです。


 『小説家になろう』における、『ポイント』と『ランキング』の重要性。

 『ポイントを入れて作者を応援』することの意味。

 『ポイント』。

 『応援』。


 ポイントの獲得に必死な人がいます。

 その背後には、こうした事情があるわけです。

 以上が『応援』の意味です。


 ここで拙文の冒頭に話を戻します。

 『ポイントはあげたくない』けど『もらえるものはもらい』たい。

 それはなぜ?


 要するに『ポイント』って生臭いものなんです。

 ヒナちゃん(『小説家になろう』を運営している『株式会社ヒナプロジェクト』のこと)の言うような『応援』とか『評価』とか、そんな(中略)断じてねえ。


 お金です、お金。ランキングの掲載料です。

 『なろうマンション』の家賃です。一杯持ってる人(作品)が、いい部屋に入れます。


 お金あげるから、お金ちょーだい……という意味になるから、あげたくないなぁ。でもあげちゃうけど。

 お金はあげないけど、浄財は頂きます。


 明け透けに言ってしまうと、こういうことです。

 世知辛い。

 楽しくない。

 知ってるー♪

 でも事実です。(あと個人的には世知辛いのも楽しくないのも好きです。)


 『評価』と『無料』ということについて話します。


 『評価』という概念は、『小説家になろう』の中では、ほとんど意味を持ちません。


 ……何を言ってるのか分からない?


 つまりその、システム的には考慮されない、ということです。


 ……もっと分からない?


 お金に色がないように、ポイントにも色がない、と言えば分かるでしょうか。


 ……例え話をします。

 あなたは芸能事務所に所属しています。事務所の名前は『ヒナプロ』です。

 あなたはアイドルを目指しています。

 ある日、事務所に所属する全員に、投票券が『無料』で、『12pt』分、配られました。

 この投票券、何回投票してもなくならない、魔法の投票券です。

 投票する相手は、自分自身を除く、事務所の仲間全員です。

 同じ相手に複数回投票することもできますが、その場合、その複数回の中で、最後の投票だけが有効とされます。

 多くの『ポイント』を集められた人には、プロデビューのチャンスがあります。


 事務所の仲間は一杯います。

 正直、知らない人の方が多いです。

 投票券自体は『無料』ですが、一々投票するのも面倒なものです。

 あなたの時間は有限であり、あなたはアイドルオタクとか評論家などではありません。


 あなたは誰に、何ポイント、投票しますか?

 繰り返しますが、投票券は『無料』です。


 よく考えてくださいね。


 ……もう一つ、例え話をします。

 今度はもっと分かりやすいやつです。

 ここに『作品』が三つあります。


 A.童話王に、僕はなる 〜外れスキル【非モテ】から最強へ〜

   評価人数: 0 人  評価ポイント: 0 pt


 B.サンチョ・マンサー 〜小太りのおじさんを無限召喚して戦います〜

   評価人数: 1 人  評価ポイント: 2 pt


 C.【おろかな】僕と【じゃあくな/うるわしの】彼女

   評価人数: 2 人  評価ポイント: 12 pt


 言うまでもなく、上記の三作品は実在しません。

 ちなみに、現実の作品の評価人数などは、このサイトの小説検索画面などで確認できます。


 それで……筆者からの質問は、こうです。


 A、B、Cの中で、どれが一番面白く()()()()ですか?


 ……Aは評価不明です。面白さを判断するための材料がありません。

 ただ、人気にんきがないことだけは分かります。


 Bは、一人が、無料で入れられる『12pt』……じゃなかった、この例では『★』の分だけなので、『10pt』中『2pt』しか入れていません。

 『無料』のものをケチるには、それ相応の理由が必要です。

 Bは面白くない可能性が高いです。


 Cは、少なくとも一人以上が『6pt』以上を入れています。

 他の二作品よりは、面白い可能性が高いです。


 ……次の例です。


 D.普通科高校のモブ高生

   評価人数: 51 人  評価ポイント: 288 pt


 E.アンダー道路 〜カタコンベのアンデッド家族〜

   評価人数: 12 人  評価ポイント: 104 pt


 F.一億個のレンガを積んだ私は、気付いたら最強のダンジョンマスターになっていた

   評価人数: 5 人  評価ポイント: 40 pt


 D、E、Fの中で、どれが一番面白そうですか?


 『評価ポイント』だけを見れば、Dが一番です。

 しかしながら、『評価人数』も考慮に入れると、Eが一番面白そうな感じがします。

 Fも悪くはないですが、単純に不人気です。


 仮に上記の三作品がランキングに載る場合、上からD、E、Fの順に並びます。


 ……次の例です。これで最後です。……本当です。


 G.転生したら幼馴染が悪役令嬢だった件 〜ありふれた万能スキルでハードモードの異世界を手段を選ばずスローライフしますが、何か?〜

   評価人数: 2,483 人  評価ポイント: 21,624 pt


 H.槍の聖女のやり過ぎ無双 〜戦史オタクの私が異世界で軍師をやってます〜

   評価人数: 1,268 人  評価ポイント: 10,752 pt


 I.アジサイ離宮のぐーたら女官

   評価人数: 678 人  評価ポイント: 5,976 pt


 G、H、Iの中で、どれが一番面白そうですか?


 ……どれも大人気だね! 良かった良かった!


 …………どれが一番面白いかなんて、分かるわけがありません。

 強いて言えば、『評価人数』と『評価ポイント』、両方が高いのであるから、きっとどれも面白いのだろう、ということです。


 これが『ポイント』の正体であり、ひいては『ランキング』の正体でもあります。

 世間一般では、こういうものを『評価』とは呼びません。

 『人気投票』と呼びます。


 『無料』の『12pt』の中で、この作品の『評価』は幾つだろう、などと考えるのは無意味です。

 これはそもそも『評価』ではないし、何ポイント入れようが、入れまいが、あなたの懐はまったく痛まないからです。

 作者からすれば、素直に『応援』してくれない、面倒な読者でしかありません。

 ただ、『2pt』でも『4pt』でも、もらえないよりはマシなので、にこにこしているだけです。


 筆者は読者にどうしてほしいのか。


 別に。

 何も。


 そんなわけはありませんね。


 なるべく多くの『ポイント』を入れてもらいたいに決まっています。

 けれども、別に何も強制しませんし、強制する方法もありません。

 やること(やらないこと)は同じです。

 『☆』を幾つ『★』に塗り潰すか、です。

 ただ、『評価』ではなく『応援』だと思ってください。

 それは、読者が、その作品を、どのくらい『応援』したいのか、ということで決まります。


 一杯応援したい……12pt あげるっ!


 別に応援したくない……ポイントはあげません。


 考えてみるのも、楽しいものです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったら応援したいですね。そもそも読んでいない作品が圧倒的に多いですし、気に入った作品くらい投票(?)してモチベになったらこっちも嬉しいです。
[良い点] 12ptあげるっ! ……こんな感じで合ってるでしょうか? (^_^;) アイドル事務所のくだりや、『ポイントは家賃』という所など、なるほどと思わされました。 ポイントとは、評価とはなん…
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