知る余地なし担々麺
友達の友達の友達の友達に、料理上手な女性がいる。
そんなことを言われて、流れるままにここに辿り着いた。
その料理上手な女性の部屋らしいのだが、少し不気味だ。
地下みたいな場所で、壁は全部黒だし、窓はもちろんない。
「担々麺が絶品なんだよ」
「へえ、そうか」
こんな場所で食べる担々麺は、もう辛くないはずがない。
そして、王道でシンプルなはずがない。
そもそも、担々麺という料理を、まだ一度も口にしたことがない。
でも、友達や友達の友達たちが絶賛するのだから、ハズレは無さそうだ。
「実はね、普通の担々麺じゃなくて、温かくて冷たいんだよ」
「それにね、スープは少量で緑色してるの」
「あとはね、麺の食感がとにかく凄いんだよ」
「麺はかなりの幅広で、透明に限りなく近いの」
「ああ、あと高級食材のあれが乗るんだよ」
「この担々麺は、肉も大豆も小麦も卵も使ってないんだ」
「それに、自分で育てたもので、ほぼ全ての食材を賄ってるからね」
どんなに知ろう知ろうとしても、迷宮に迷い込むばかりだ。