第503話 光導会議(後編)1
「光導会議は例年通り様々な議題を話し合っていく会議ですが、今回は最も大きな議題から話し合いましょう。すなわち――今年になって現れた謎の人物、スプリガンについてです」
会議を始めるとソレイユは第一声に円卓に着く者たちにそう伝え、言葉を続けた。
「スプリガンを私たちの敵と認定するか否か。皆さんにはそれに関する意見を述べていただきたいのです。なお、ここで議論した結果は光導姫サイドの総意として、ラルバとの話し合いで伝えるつもりです」
スプリガンに対する光導姫側の総意。それをこの場で決定し、全体の意見の判断材料とする。それこそが今回の会議の最大の目的だ。
「スプリガンね・・・・・・そいつに関しては雇い主様の手紙で知らされたが、本当にそんな奴いるのか? 別に疑うわけじゃねえが・・・・・・・・・・」
ソレイユから議題を聞かされて1番初めに発言したのは菲だった。菲はイスの背もたれに寄りかかり、両手を頭の後ろで組みながら、どこか懐疑的な顔を浮かべていた。
「いるぞ『軍師』、私は奴と何度か邂逅した事がある」
「うん。アイティレの言う通り、スプリガンは実在するわ。私も会った事があるから」
そんな菲の言葉に、実際にスプリガンと邂逅した事のあるアイティレと風音がそう言葉を発する。アイティレと風音から、スプリガンは確かに実在するという事実を聞いた菲は「マジかよ」と眉を寄せていた。
「はい、2人の言う通りスプリガンは確かに実在します。・・・・・・私は皆さんにスプリガンに関する手紙を書きましたが、それ以降のスプリガンについての情報も先にお教えしておきましょう」
ソレイユはほとんど多くの光導姫が知らないであろう、スプリガンのレイゼロール戦以降の情報について話した。最上位闇人キベリア、冥の撃退。そして敵対宣言の事もソレイユは包み隠さずに伝えた。スプリガンを敵と認定されたくないソレイユにとっては、正直あまり伝えたくはない情報だったが、仕方がない。敵対宣言の場にはアイティレと風音もいた。もしソレイユが言わなくとも彼女たちがその事を伝えるだろう。
どちらにせよ、スプリガンの敵対宣言の情報は伝えなければならない。そしてその上で、スプリガンが敵と認定されない結果をソレイユは望んでいるのだ。はっきりと言えば、ソレイユが望む結果はかなり望み薄だ。だが、それでもソレイユはその望み薄な結果を願うしかない。それしか、ソレイユには出来ないから。
「・・・・・・・・・・なるほど。件の人物、スプリガンはそのような発言を・・・・・」
ソレイユから判断に必要であろう全ての情報を聞かされた光導姫たち。そしてソレイユの話を聞き終え、そう声に出したのはランキング6位『貴人』のメリーだった。
「では、その話を聞いた上での私の意見を述べさせていただきますわ。私の意見は・・・・・・・・スプリガンを敵と認定しない意見です」
「「「っ!?」」」
メリーの発言に、スプリガンと邂逅した事のあるアイティレと風音は驚いたような表情を浮かべ、ソレイユですらも驚いたような顔になった。
「・・・・・・『貴人』、敵対宣言の事を聞いてまで、お前がスプリガンを敵とは思わないその理由は、いったい何だ?」
すぐに、アイティレがメリーにその理由を尋ねた。アイティレはスプリガンの敵対宣言の事を聞けば、この場にいるほとんど多くの人物たちは、スプリガンを敵だと認定すると思っていたからだ。認定しないにしても、それはファレルナくらいだと思っていたのだが、まさかメリーの口からその言葉を聞くとはアイティレは思っていなかった。




