第488話 守護会議(前編)3
(この席順はランキングで決まっている。3位の剱原さんがあの位置なら、あの銀灰色の男性はランキング5位の『凍士』、その横の黒髪の男性はランキング6位の『天虎』という事になる。・・・・・・・どちらも、僕よりも強い最上位の実力者だ)
ゴクリと唾を飲み込みながら、光司は真剣な視線を『凍士』と『天虎』に向ける。両者とも刀時と同等の戦闘能力を持つ守護者と聞いた事がある。
「おう光司、会議初参加のお前があいつらのこと気になるのは分かるが、また後で話したり紹介したりする機会はあるから、そう真剣に見つめんなって」
「っ・・・・・・は、はい」
2人を見つめていた光司の肩にポンと手を置き、ラルバはそう言った。ラルバにそう言われた光司は、その視線を2人から外し頷いた。
それから3分ほど、午後3時になると新たに光のゲートが3つほど出現した。
「・・・・・・・・・」
1つ目のゲートから出てきたのは、黒髪にカーキ色のマントを纏った少年だった。マントから覗く肌の色は少し薄めの褐色。顔は鋭いといったような印象を抱くもので、表情は無感情なものであった。
「・・・・・・定刻通りだな。一流は時間は寸分の狂いなく守るものだ」
2つ目のゲートから出てきたのは、黒に近い茶髪のダークスーツを着た男だった。見たところ、歳の頃は18くらいだろうか。頭には赤色の筋が入った黒の帽子。胸元には黄色のネクタイを締めている。一言で言うなら、大変失礼ではあるがギャングや殺し屋といった見た目である。
「構えて狙ってバンバンっと。ここに来るのも久しぶりだ」
3つ目のゲートから出てきたのは、ライトブラウンの髪色の男性だった。男性にしてはかなり髪が長く、括った毛が胸元にかかっている。ポニーテールを首にかけて前に持ってきたような髪型だ。服装は無地のTシャツに軽いベストにジーンズといったシンプルなものだった。
「ハサン、エリア、ショット、久しぶり。お前らもよく来てくれた。とりあえず自分の席に座ってくれ。会議は少し遅れてくるって言ってたプロトが来てから始めるから」
カーキ色のマントを纏った少年、ダークスーツの見た目が危険な香りのする青年、ライトブラウンの髪の長い青年を順に見ながら、ラルバはいま現れた3人にそう告げた。ラルバの指示を受けた3人は、「・・・・・・了解した」、「男神の指示を受諾しよう」、「オッケーす」と言葉を述べるとそれぞれ自分の座るべき席へと向かった。
「よう『傭兵』。元気でやってたか?」
刀時の右横、ラルバから2つ左横の2番目の席についたカーキ色のマントを纏った少年に、刀時がそう話しかけた。少年と会うのは刀時は1年ぶりだ。
「・・・・・・・さあな。お前のいう元気の基準がどうかは知らないが、俺は生きてここにいる。それを元気というのならば、俺は元気だ」
「そ、そうかい。まあ、お前の仕事上は確かに生きてたら元気か。見たところでかい怪我もなさそうだし。つーか、悪かったな。ちょいとお前に対してデリカシーがなかった質問かもだった」
少年の守護者とは違う仕事を知っている刀時は、頭を掻きながら申し訳なさそうに少年に謝罪した。そんな刀時の謝罪を受けた少年は、チラリとその赤みがかった茶色の瞳を刀時に向けた。




