第402話 夏だ、補習だ、クソッタレ1(1)
1億と2000年ぶりのギャグ回である。
終業式を先週の金曜日に終え、夏休みに突入した東京郊外にある都立風洛西高校。今日は終業式から2日経った7月22日の月曜日。本来ならば、勉強に熱心な生徒は夏の講習を受けるため、部活動を行なっている生徒たち部活動をするため、それ以外の生徒は滅多な事がなければ学校には来ない。
だが、それらの理由以外で学校に来る生徒もいる。――そう、例えば補習とかである。
「――やあ、諸君久しぶりだ。また君たちとこうして会えて俺は嬉しいよ」
2年生のとある教室、時刻は午前8時50分。教壇に立つメガネを掛けた生徒が、バラバラに座っている5人の男子生徒たちを見渡しながら、そう言葉を述べた。
「だが、だがだ! なぜ君たちや俺はここにいるのか!? 今は夏休みだ! しかし俺たちは部活をするでも講習を受けるでもなく学校に来ている! なぜだ!?」
メガネを掛けた生徒――男子生徒Bが、バサリと両手を広げ、座っている5人の男子生徒たちにそう問いかけた。その口調には、夏の暑さのような熱がこもっていた。
「・・・・・・・・B、それは俺たちが禁忌を犯したからだ。今になって、いや、本当はあの中間試験の時に廊下に立たされた時から思っていた・・・・・・俺たちは勇者じゃなかったんだ。俺たちは・・・・・どうしよもない愚者だったのさ」
Bのその問いかけに、前から2列目の席に座っていた男子生徒Aが、フッと悲しげな表情でそう答えてみせた。Aのその答えに残りの男子生徒たちも悲しげな表情で頷いていた。
「A ・・・・・・」
Aの悲しみから悟ったような声音を聞いたBは、一瞬他の生徒たち同様少し悲しげな表情を浮かべた。
「つーか誰がBだこら!? 俺はそこらのモブか!? 俺にもちゃんと『天才』って名前があんだよ! 親から祝福を受けて俺は生まれてきたんだよ!」
だが、Bはなぜか唐突にキレた。
「いや知らねえよ!? そもそも俺お前の名前知らなかったし! つーか天才って名前マジかよ!? 失礼だけど親御さん正気か!?」
なんか急にキレたB、もとい天才にAも先ほどまでの悲しい表情はどこへやら、ふっつうーに「は!?」といった顔でツッコミを入れた。
「そうさ! 名字が天で才が名前だ! 正直小学校高学年くらいから、俺の親マジかよって俺も思ってたわ! 強気過ぎだろってな! しかも結局俺はアホだ! メガネ掛けてるからって頭賢いわけじゃねえぞ! ちなみにお察しの通り、俺のあだ名はずっと『天才(笑)』だ! こんちくしょうが!!」
ドンッと教卓を叩いた天才(笑)。なんか溜まっていたのだろうか。登場2回目にして色々とぶっちゃけた天才(笑)。とりあえず天才(笑)って書くの面倒だから、やっぱBでいいや。




