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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2015/2029

第2015話 文化祭と提督3(1)

「・・・・・・さて、今日もやるか」

 文化祭2日目の朝。影人は今日も空き教室で、悪の魔法使いメイジ・オブ・マスクの格好になっていた。今日も昨日のように、勇者たちを迎え撃たなくてはならないからだ。

「しかし・・・・・・思っていた以上に人気だったな。この出し物。昨日もかなり忙しかったし」

 まだ勇者たちも来ない時間なので、影人はイスに座った。昨日、最初の客である陽華と明夜を皮切りに、ほとんど引っ切りなしに勇者という名の客(あるいは客という名の勇者。正直、変わらないのでどちらでもいい)が来た。おかげで、影人は昨日で1日のババ抜きを行った回数を楽々と更新した。

 魔王城である2年7組も大盛況だったらしい。2年7組の生徒たちは大成功だと大いに喜んでいた。クラスメイトたちは、今日も気合い十分で出し物に励むだろう。

「・・・・・・まあ仕事だ。勇者どもはしっかりと蹴散らしてやるよ。だけど、今日は出し物以外がちょっと忙しいんだよな・・・・・・」

 影人は小さくため息を吐いた。影人は今日は昼過ぎから休みだ。影人の代わりにはクラスメイトがメイジ・オブ・マスクを演じてくれる。そのため、本来ならばゆっくり出来る時間なのだ。

 だが、今日は前年と同じでシェルディアが風洛高校を訪れる。影人は今回もシェルディアから案内役を仰せつかったため、休み時間はシェルディアと共に文化祭を回らなくてはならない。

(別に嬢ちゃんと一緒に文化祭を回るのが嫌なわけじゃない。ただ、注目を集めるのが嫌なんだよな。嬢ちゃんの見た目は十二分に人目を引くし)

 影人が内心でそう呟く。とても夏祭りでオリジナル曲を熱唱した人物とは思えない心意気である。こいつにとっての注目を集めるとは、いったいどのような基準なのだろうか。謎である。

「・・・・・・やべえ逃げてえ。でも、逃げたら嬢ちゃんに殺されるしな。はあ、腹括るしかねえのか」

 天井を仰ぎながら影人はそうぼやいた。他の者から見れば贅沢に過ぎる悩みにしか聞こえないが、常人とはかけ離れた前髪野郎からすれば、本気で悩むべき事案であった。

 そして、そうこう考えている内に文化祭の2日目が始まる時刻となった。影人はイスから立ち上がると、教壇に立ち、教室入り口に対し背を向けた。勇者という名の客が来るまで、メイジ・オブ・マスクは基本的にこの体勢で待つ。それが、真性厨二病の前髪の役に対するこだわりであった。ああ、気持ち悪りい。

 すると、約十数分後。ガラッと影人のいる教室のドアが開かれた。同時に影人は勢いよく振り返った。

「くくっ・・・・・・よくぞ来たな。ようこそ、勇者よ。魔王軍四天王最強と謳われるこの我・・・・・・メイジ・オブ・マスクの棲まう『暗闇の図書館』へ。せいぜい、歓迎しようではないか」

 聞こえた足音の数は1人分。そのことを加味しながら、影人は昨日ですっかり口に馴染んだセリフを放った。

「やあ帰城くん。その姿とても似合っているよ」

 影人のいる教室に入って来たのは、とてつもないイケメンだった。爽やかなイケメンスマイルは、特に異性を魅了することだろう。そのイケメン、香乃宮光司は影人に向かって軽く手を振った。

「っ、香乃宮・・・・・・いや、光の勇者か・・・・・・!」

 光司の姿を仮面越しに確認した影人は、ツゥと額から一筋の冷や汗を流した。現れたのは、恐らく最強の勇者だった。

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