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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2011/2013

第2011話 文化祭と提督2(1)

「・・・・・・こんなもんでいいだろ」

 姿見で自分の姿を確認した影人はポツリとそう呟いた。鏡に映る影人は黒いローブを纏い、顔は目元を隠す黒いマスクを装着し、手には黒い木の杖を持っていた。その見た目はどう見ても不審者、いや変質者、まあ百歩譲って悪の魔法使いに見えた。

「今の時間が・・・・・・10時15分か。出し物が始まるのが10時半からだから、まだ少し時間はあるな」

 スマホの画面を見た影人はイスに腰掛けた。先ほど、現生徒会長である光司の宣誓を以て文化祭は開幕した。開会式は去年とほとんど変わらない喧騒だったので、今年の文化祭も大いに盛り上がるだろう。

「しかし・・・・・・文化祭でRPGとはな。よく考えついたもんだぜ」

 影人が自分の格好を見下ろす。2年7組の出し物は、名付けて「体験型RPG」だ。題目としては「勇者たちの冒険〜魔王を倒して世界に平和をもたらせ〜」である。その題目の通り、勇者一行(1人参加の場合は勇者のみ)が魔王を倒すというストーリーで、お客側が勇者一行、出し物をする側が魔物の役割を演じる。

 ちなみに、魔王役は魅恋である。そして、影人は魔王軍四天王の悪の魔法使い、「メイジ・オブ・マスク」役だ。正直、この役割に対して、前髪野郎の厨二病は疼きに疼き、役作りはそれはそれはしっかりと出来ている前髪野郎である。恐らくだが、ぶっちぎりで役にのめり込んでいる。

 形式としては、まず2年7組で客が参加の受付をし、そこで魔王軍四天王がいる場所の地図をもらう。勇者一行となった客はその地図を頼りに四天王たちを撃破し、最後に魔王と対決するといったものだ。魔王城である2年7組のドアは、四天王が魔法の障壁を張っているので、四天王を倒さなければ魔王城の扉は開かない、という設定だ。

 ただ、この出し物は、とても教室1つだけでやれる規模ではないので、いくつかの空き教室を使っている。影人がいるのもそんな空き教室の1つだ。文化祭の時にいくつも空き教室を使うのは中々申請が通らないものだが、魅恋を始め2年7組の生徒たちが熱意と共に事前申請を行った結果、教室を借りる事が出来た。文化祭に懸ける学生の思いは凄まじいなと、影人は改めて思った。

「俺のところに勇者一行が来るのは魔王戦の前・・・・・・最低でも最初の勇者が来るのに30分はかかる。ちょっと暇だな。仕方ねえ。大丈夫だとは思うが最終チェックしとくか」

 影人はまず自分の衣装と小道具をチェックした。破損箇所はない。

 次に教室の内装を見渡す。ここは魔王軍四天王が1人「メイジ・オブ・マスク」が棲まう「暗闇の図書館」という設定だ。そのため、ダンボールで作った本棚がたくさん設置されている。そんな本棚を怪しく照らすのは、紫色の暗い照明だ。内装も問題はない。

「失礼します。あ、帰城さん。衣装似合ってますね」

 影人が諸々の最終チェックを行なっていると、海公がやってきた。海公は一般の魔物役で、頭にツノ付きのカチューシャを装着していた。

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