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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2009/2010

第2009話 文化祭と提督1(3)

「うるさい。ぶっちゃけなきゃやってられないんだよこっちは。あー、早く仕事終わって酒飲みたい・・・・・・」

 紫織は遠い目をしながらそう呟いた。本当によくこんな人が教師になれたなと、去年から付き合いのある影人は思った。言えば殺されるので口には出さないが。

「って事で、さっさとホームルーム終わらせるぞ。まず秋のイベント1発目は文化祭だ。お前らは去年は劇をやっただろうが、2年からはクラスで出し物をしなきゃならない。参考までに教えとくが、去年私が担当したクラスはコスプレ喫茶をやった。言葉通り、生徒たちがコスプレをして喫茶店をやる出し物だ」

「あっ、知ってる。私去年行った」

「私も私も。ね、魅恋」

「うんうん。あれよかったよね。色んなキャラのコスプレがあって楽しかった。祭りって感じだった!」

 紫織の説明を聞いた女子生徒たちがキャッキャと盛り上がる。クラスの人気者である魅恋も去年のことを思い出し、明るく笑った。

「あー、そういえばそんな出し物あったな」

「悟◯とかル◯ィとか、メイドとかアイドルとかもいたな。でも、1番印象に残ってるのはアレだわ。シ◯ア」

「分かるわ。あれは凄いインパクトだったよな・・・・・・」

「あんな目立つコスプレ、俺無理だわ」 

 一方、男子生徒たちはそんな会話を行なっていた。去年の文化祭に現れた赤い◯星は、風洛高校の一種の伝説になっていた。

「・・・・・・」

 去年にシ◯アのコスプレをした当人である前髪は、無言で男子生徒たちの会話を聞いていた。

「というわけで、クラスの出し物を決めるぞ。基本出し物は私に迷惑がかからなきゃ何でもいい。ただ、文化祭は毎年9月のケツにやる。だから、そこまでに間に合う出し物にしとけよ。じゃあ、あとは適当に決めろ。私は寝る」

 紫織は生徒たちに仕事を投げると、教室の左端に移動しパイプ椅子に座った。そして、ジャージのポケットからアイマスクを取り出すとそれを装着した。そして腕を組むと、すぐにいびきをかき始めた。有言実行の速度が尋常ではなく早い。

「よーし、そういう事みたいだからみんなで決めちゃおうぜー! じゃ、私がみんなの意見をどんどん黒板に書いてくから、よろよろー☆」

 紫織の代わりに魅恋が教壇に立った。魅恋は人気者としてのリーダーシップを発揮すると、クラスメイトたちに意見を求めた。

「はいはい! 執事喫茶!」

「文化祭といえばメイド喫茶だ!」

「メイド喫茶なんてテンプレ中のテンプレだ! 時代はVtuber喫茶だ!」

「喫茶店だけが文化祭の出し物じゃないでしょ!? 私はお化け屋敷がいいと思う!」

「ロマンが足りないから教室全体を迷宮にしようぜ!」

 途端、クラスメイトたちから意見が溢れ出す。魅恋は「ちょ、一気に言うなし!?」と慌てながらも、チョークを黒板へと奔らせた。

「はっ・・・・・・去年と変わらねえな」

 その光景を見た影人は自然とそう呟いていた。この光景も、出てくる意見も去年の影人のクラスメイトたち――現在の3年生たちと何ら変わりがない。まあ、Vtuber喫茶だけはさすがに出てこなかったが。

「・・・・・・高校生が考えることはいつの時代も一緒か。ある意味健全だな」

 前髪野郎は少しのノスタルジーを感じつつ、フッと笑った。もはや恒例の前髪スマイルである。気持ちが悪い。あと、去年の事なのに格好をつけて「いつの時代も」と言うとこも気持ちが悪い。というか、存在がキモい。

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