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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
174/1999

第174話 それはとても簡単なことで(2)

「よくご存知で。ふふっ、あなた私に興味がお有り? ならお目が高いわ。 そう、私こそ魔法を扱う女、即ち『魔女』。己の魔道を探究する者よ。私は現在10の魔道を極めているのだけれど、いま私が研究している11の魔道は――」

 何が嬉しかったのか、ペラペラと再びドヤ顔で話し始めたキベリアを見て影人は「こいつがチョロくてよかった」と内心息を吐いた。ちなみに炎の騎士はペラペラと1人話し続けている主人の方をジッと見ていた。その様子は「え? 自分どうしたらいいんすか?」的な感じだ。こんな時だというのに、少し可哀想だと影人は感じた。

(とりあえず、まずは今こうしている間にも俺に干渉してくる何かをどうにかしなきゃならない。だが、どうする?)

 当然のことながらこのような事態は影人も初めてだ。まずどうすればこの意志が消えるのか影人には何も分からなかった。

(1番ヤバイのは、力が使えない事だ。今の俺に想像してる余裕なんてない)

 そう、実はそれが1番この事態を最悪にしている原因だった。影人の力はまず脳内で想像することが前提となっている。そのイメージを言葉に出す事によって、影人は闇の力を行使している。

 だが、今の影人はそもそも何かをイメージする余裕がなかった。思考までならまだしも、イメージにまで集中力を及ぼせば、自分は確実にこの綱引きに負ける。

(力が使えない事がこいつにバレれば終わりだ。そんな条件で俺はこのよくわからない空間から脱出して、こいつを撤退させなきゃならない。・・・・・・今まで1番のムリゲーだな)

 思わず挫けそうになるが、自分はそれをやらねばならない。それがスプリガンとしての自分の仕事だ。

「――であるから11の魔道はまだ私も明確な概念を定めきれていないの。――ああ、またつい話し込んでしまったわ。私の悪い癖ね。じゃあ戦いを再開しましょうか」

 どうやらキベリアは満足したようで、再び敵意を影人へと向けてきた。主人が戦いを再開する宣言をしたからか、炎の騎士も燃え上がる剣の矛先を影人へと向けてくる。

(・・・・・・時間稼ぎは終了か。意識の綱引きは依然五分。さあ、どうする俺?)

 意識を悪意に飲み込まれないように強く保ちながら、内心冷や汗をかく。力を使えない状態で、自分はどう生き残るか。

「2の水、しずみし貫者かんじゃへと変化する。3の雷、たける弓士へと変化する」

 キベリアの魔法により、その周囲に水で出来た槍を持つ騎士、雷で肉体を構成された弓を持つ騎士が出現した。

「ふふっ、あなたは何で死ぬかしらね?」

「・・・・・・・・・やってみろ。俺は死なない」

 精一杯の強がりで影人はそう言ってみせた。

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