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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
139/1997

第139話 あえての結果(3)

「・・・・・・・・・お前に語る理由はない。ただ、そうだな・・・・・・・真意を確かめるためとだけ言っておこう」

「真意だと・・・・・・・・・?」

 スプリガンの言っている言葉は意味不明であった。それもそうだ、そもそも主語が抜けているので、いったい何の真意を確かめに来たのかアイティレには分からない。

 アイティレが鋭い目でスプリガンを見つめる中、スプリガンは突如としてアイティレに背を向けた。

「な・・・・・・・!?」

 アイティレはスプリガンの行動に驚いた。スプリガンはなぜ自分の前に現れたのか、結局わからないまま、そのまま姿を消そうとしている。

(っ・・・・・・逃がしてなるものか!)

 アイティレが日本にやって来た真の目的は、スプリガンと接触し、その身柄を拘束もしくはスプリガンという存在を抹消するためだ。まさか日本に来て、こんなに早くスプリガンと出会うことが出来ると思っていなかったが、このチャンスを逃してはならない。

「・・・・・・・・・・・」

 アイティレは無言で右手の拳銃をスプリガンの背に向けた。そして何のためらいもなくその引き金を引いた。

 バンと音がした時には、銃弾はスプリガンの無防備な背へと向かっていた。

「――ふっ!」

 だが、スプリガンは超速的な反応で提督の放った銃弾を()()()

「っ!?」

 アイティレが目を見開いている間に、銃弾はぽちゃんと音をたてて田んぼへと落ちていった。

「・・・・・・・・・存外卑怯な奴だな」

「卑怯? 悪を滅するのに卑怯などといったものはない」

 アイティレは驚きから立ち直ると、スプリガンにそんな風に言葉を返した。確かに銃弾を蹴るなどといった、離れ業には驚かせられたがそれだけだ。

 自分が悪を前に撤退する理由などにはかけらもならない。

「――スプリガン、闇の力を扱う者。『提督』の名を以て、貴様を拘束、または滅する」

 そして『提督』の宣誓により、今まさに熾烈な闘いが幕を開けようとしていた。








(ちっ、ソレイユの懸念の方が当たってたか・・・・・・・・・!)

 提督の不敵な宣誓を聞いた影人は、自分の認識の甘かったことを痛感した。

 先ほどの背を向けた行為は、提督の行動を確認するためのものだったので、咄嗟に反応できたが、あれは銃弾が単発だったから出来たことだ。次はできないだろう。

(まあ、いい。切り替えるさ。そっちがその気なら乗ってやるよ)

 影人は内心ニヤリと笑みを浮かべる。そうだ。これでいい。自分が正体不明、目的不明の怪人を貫くなら、光導姫とも適度に戦った方が自分の正体は気づかれない。ソレイユはあまりいい顔はしないだろうが、自分としてはそれくらいしたほうが性に合っていた。

(得物はやっぱり拳銃か。しかも双銃・・・・・・・・ならこっちもそれで行くか)

 影人は脳内にある映画のシーンを思い浮かべると、言葉を紡いだ。

「闇よ、双銃と化せ」

 イメージを具現化する言葉により、影人の両手に闇で拵えられた拳銃が姿を現す。スプリガンはそれを『提督』と同じポーズで構えた。

 そしてそれはスプリガンからの挑発であった。

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