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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1291/2159

第1291話 蘇る影なる少年(1)

「『死者復活の儀』を・・・・・・? まさか、あなたは自身を封じた人間を蘇らせる気なのですか・・・・?」

「ああ、そうだ」

 不可解そうな顔で女にそう聞いて来た男。女は男の言葉を首肯した。

「・・・・・・私にはあなたの深慮は分かりかねます。なぜ、自分を封じた忌々しい人間を蘇らせるのか・・・・・・」

 男が意味が分からないといった顔になる。普通に考えれば男の、『物作り屋』の反応は当然といえば当然だった。女が蘇らせようとしているのは、いわばかつての敵。そんな敵を生き返らせるなど、リスクは多々あるにせよメリットは何もない。

「ははっ、簡単だよ。『物作り屋』、単純明快なるただ1つの答えさ。吾が影人を生き返らせるのは・・・・・・愛ゆえにだよ」

「は・・・・・・・・・・・・?」

 女の答えを聞いた男はポカンとした顔になり、しばらく固まっていた。まさか、女の口からそんな答えが飛び出してくるなど、夢にも思っていなかったからだ。

「ん? 何だ、お前は愛を知らないのかい『物作り屋』。それは実にもったいないな。生を損しているぜ」

「いや、確かに私は愛なるものは知りませんが・・・・・・私が心底驚いたのは、あなたの口からそんな言葉が飛び出した事ですよ・・・・・・」

 男は未だに驚いているようにそう言うと、ジーンズのポケットから美しい銀の指輪を取り出した。そして、それを右手の人差し指に装着する。

「・・・・・・まだ色々と衝撃はありますが、理由は分かりました。それでは、あなたとあなたの愛する人間の感動の再会を邪魔するわけにも行きませんので、私はこれで失礼します」

「ああ、悪いがそうしてくれ。また後日に連絡するよ」

 女が笑顔で男に手を振る。男は軽く肩をすくめると、

「『行方の指輪』よ、我の行先を示せ。我の行先は、我の住処なり」

 男がそう言葉を唱えると、男の指輪がボゥとした光を放った。すると、男の体は徐々に黒い粒子と化していき、やがてこの場から完全に消え去った。転移したのだ。

「ふむ、邪魔者も消えた。では儀式を始めるか。なあ、影人。あともう少しだからな」

 男が転移して消えた後、女はそう呟きながら右手に持っていた容器の中にある影人の魂の残骸を見つめ、暖かな笑みを浮かべた。












「――吾という存在の名の元に、死者の復活を希う。復活を願う者の名は、帰城影人。今は死し、その存在を世界から消された人間なり」

 神社の参道の真ん中で、女は儀式を始める言葉を唱えた。参道の真ん中には、女の力で創られた、透明の祭壇が設置されている。祭壇の周囲には、複雑な陣が刻まれている。

「死者と関わりのある供物を捧げる。その供物の名は『帰城影人の魂の残骸』。帰城影人その者だけを示す供物である」

 女が祭壇中央部にある平台に、影人の魂の残骸を捕らえた容器を供える。儀式に必要な「死者と関わりのある物」が設置される。

「以上の供物を捧げ、吾は宣言する。『死者復活の儀』を執り行うと」

 女はそう唱えると、自身の体から神力を迸らせた。それは上位の神としての、しかも最上位の『空』の神力だ。その力の質、量ともに圧倒的。レイゼロールは、長年溜め続けて来た莫大なエネルギーを使用し2度目の「死者復活の儀」を執行したが、女はそんな事をせずとも圧倒的で、莫大で、凄まじい力を有していた。

 ちなみに、今回はあくまで人間を復活させるだけなので、それ程力は消費されない。レイゼロールが1度目の「死者復活の儀」で、力を蓄えずに儀式を行えたのはそのためだ。2度目の儀式で莫大なエネルギーが必要だったのは、復活の対象が神だからだった。だがまあ、女からすればその莫大なエネルギーもその身1つであがなえるのだが。その事実がどれだけ『空』の力が凄まじいか物語る。

 女が迸らせた神力のエネルギーが、祭壇周囲の地面に刻まれた方陣に流れ込む。方陣は透明の輝きを放った。

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