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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第1015話 知らない場所(3)

「疲れたし喉も渇いた・・・・・・・・ついでに金もスマホもねえし・・・・・はあー、文明人は文明の利器なしだと何にも出来ねえな・・・・・」

 草原にドサリと倒れ込みながら、影人は大きなため息を吐く。まだ無人島に流されなかっただけましと思いたいが、このままでは危険だ。主に生命維持活動的に。もう少し休んで体力が回復したらまた町を探すべく歩こう。影人はそう決めると、少しの間心地よい風を感じながら草原に寝そべり続けた。

 ――どれくらい経っただろうか。あまりの心地よさに、更に歩いた疲労も手伝って、影人はいつの間にか前髪の下の両目を閉じていた。この場所は冬ではないのか、春のような気分の良さがある。そのため、影人は瞳を閉じてしまったのだった。

「――おい、見てみろよ。前髪が長い不気味な奴がいるぞ。何だこいつは?」

「変な見た目をしているから奴隷じゃないのか? 見せ物的な方の。だが、奴隷にしては色々と妙だな。見た事もない服を着ているぞ」

 そして、突如として影人の耳に人の話し声が聞こえて来た。

「っ!」

 その話し声を聞いた影人はハッと両目を開き体をを起こした。急に影人が体を起こしたため、話をしていた人物たちは、少し驚いたように影人から一歩距離を取った。

「あ、す、すいません。俺は別に怪しい者じゃないです! ただ、少し休憩してただけで」

 影人は立ち上がりパタパタと両手を振りながら、影人から距離を取った2人の人物に取り敢えずそう弁明した。その2人の人物はどちらも男性で、片方は金髪の、もう片方は黒髪の髪で、2人とも彫りの深い顔立ちだった。どちらも年の頃は20〜30歳ほどか。どう見ても外国人、とりわけ西洋人であろうが、テンパった影人は日本語でそう言った。きっと伝わらないだろうなと、影人は言葉を発した後に思った。

「? 何だ、何と言っている?」

「分からん。どうやら異邦人のようだな。しかし、言葉を介さないとなると奴隷ではないのか? もしくは他の都市ポリスの奴隷か・・・・・」

 男たちはやはり日本語が分からなかったようで、影人には理解できない言語で何かを話し合っていた。英語ではない、という事くらいは影人にも分かったが、男たちが正確に何語を話しているのかは、ただの高校生である影人には全く分からない。

(というかこの人たち・・・・・・・・何か変だ。格好が余りにも簡素過ぎやしないか?)

 男たちの言葉がわからない影人は、男たちを観察してみた。男たちの服装は、上半身は半袖より少し長めのゆったりとした白い布の服で、下半身は長めのスカートのような格好で足元はサンダルのようなものを履いている。どこか現代的ではない。まるで何かのコスプレのようだ。影人が抱いた違和感は、そのようなものだった。

「どうする、このまま放っておくか? それとも俺たちのポリスに連れて行くか?」

「そうだな・・・・・・・・せっかくだ。連れて行こう。何せ珍しい異邦人だ。()()()()()()、高く付くだろう」

「確かに。なら、売上は折半しよう」

「ああ」

「っ・・・・?」

 男たちは笑みを浮かべながらそんな言葉を交わしあった。影人には変わらず言葉の意味は分からないので首を傾げる事しか出来ない。

「よし、来い異邦人。お前を俺たちの都市に連れて行く」

「どうせここにいても、飢え渇き死するだけだ。ならば、お前に労働をくれてやろう」

 男たちはニコニコとした顔で指をどこかに向けながら、影人の肩を掴んだ。

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