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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第1013話 知らない場所(1)

 ファレルナとゼノを助けるために、黒いひずみへと吸い込まれた影人。今や歪みは完全に閉じ、影人は真っ黒な暗闇の中にいた。ただ、この歪みの中は凄まじい風、いや流れのようなものが吹き荒れ、影人は上下左右も分からずにただその流れに身を弄ばれていた。

(っ・・・・・! 嵐のど真ん中にいるみてえだ。全身が揉みくちゃにされて脳がシェイクされてやがる!)

 力を使う意志など抱けないレベルの流れに、影人はただ流されるしかなかった。

(く、そ・・・・・ダメだ・・・・・・・意識が・・・・)

 流れの激しさに意識が混濁してくる。意識を手放してはいけないと分かっていながらも、影人は自分の意識が精神の奥深くへと吸い込まれていくのを感じた。


 そして、影人の意識は完全に閉ざされた。影人は暗闇の中、流れに身を任せ暗闇の底へと消えた。














「・・・・・・・・・・っ?」

 眩しい。最初に感じたのはそんな感覚だった。どこか心地よい暖かさを感じながら、影人は両目を開けた。視界には長い前髪が掛かっている。意識を失っていたので、変身は強制的に解除されたのだろう。

「俺は・・・・・・・・・って、どこだここは・・・・・・?」

 仰向けに倒れていた影人はヨロヨロと立ち上がり、長い前髪の下から周囲を見渡した。周囲には木々や林しか見えない。どうやら、影人はどこかの森の中にいるようだ。

「というか、俺はあの黒い歪みに吸い込まれたんだよな・・・・・? 確か吸い込まれれば2度と元の世界には戻れないって事だったが、どう見てもここは地球に見える。何だ、いったい何が起きたんだ?」

 状況が飲み込めない影人はブツブツと独り言を言いながら現在の状況を整理しようとした。幸いというべきか、周囲に影人以外に人の姿はないので、いくら独り言を呟いても、奇異の目で影人を見る者は誰もいない。まあ、この頭がパッパラパーな前髪は、周囲に人がいようがいまいが気にしないだろうが。

「つーか、今どうみても昼だよな? 俺が戦ってた時は夜だったし、それも謎だな・・・・・・・ああ、そうか。ソレイユとイヴに聞けば何か分かるか」

 空を見上げ新たな疑問を抱きながらも、影人はその事に思い至った。影人は早速、まずはソレイユに向けて念話を試みた。

「おい、ソレイユ。取り敢えず返事してくれ」

 影人が肉声に出しながらソレイユにそう語りかける。しかし、いつもならすぐに反応するソレイユが、なぜか今回は何も言葉を返してこなかった。

「ソレイユ? おい、おい・・・・・クソ女神!」

 いくら待っても返事がなかったので、影人はソレイユがキレる言葉を吐いてみた。普段ならこの言葉を聞いた瞬間、ソレイユは秒でキレる。ソレイユがこの言葉に反応しない事はあり得ない。

 しかし、ソレイユからの反応はやはりなかった。

「どうなってやがるんだ? なら、イヴは・・・・・イヴ。返事をしてくれ」

 影人は混乱しながらも、次にイヴに念話を試みた。

「・・・・・・・・・・・・・・・イヴ?」

 だがソレイユ同様、イヴも影人の声に応えはしなかった。

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