表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マインドウォーカー  作者: ラーメン
柊ナノ救出編
35/35

二十九話・滅びの者


【T市・教会監獄】──本隊side──


「…“全力”をテメェに打ち込むッッ!!」

「ッ!!」

「【漢の一撃(ロストブレイク)】!!」


加賀は右手に一身に力を込め、赤眼の男“ホーライ“に打ち放つ─────。


「…ッ!?」


加賀の拳はホーライの面前まで迫っていた。


「わ、私は…まだッ…!死にたく…ッ。」


…そしてその拳は頬を掠って───


「…ありません、よ。」

「ガハッ…。俺様の攻撃が…ッ。てか…俺の足がッ…。」


…すらいなかった。

むしろ、その攻撃が迫る前に足で加賀の“脚”を狙い、意図的に攻撃が当たらないように仕向けていた。


「…ふふ──」


そしてその瞬間、加賀に突き刺したホーライの片手を思いきって抜き取り、身動きが自由になるホーライ。


「グハッ…。」


加賀は壁に埋まったまま、痛みに耐えきれず吐血する。


(笑ってる…?嘘だろォ…?これだけの攻撃を受け──。いや…アイツは全部()()きってるんだッ。)


「……。」


ホーライは空に目線を向け、ぼそりと言葉を呟いた。

その目は赤く光り、不敵な輝きを放っている。


「…ホロス…様。これで私が生きる意味を…教えてくれるんですよね。…ふふ。」


彼は悦に浸るかのように、自身の顔を手でなぞり始める。


(何を言ってんのか分からねぇ…だけどどうすりゃ勝てるんだ…ッ。)


ホーライは思い出したかのようにきれいに輝く赤い眼を加賀に向け、話しかける。


「…どうしました?もうお終いですか?」

「……。」


(……コイツに…ッ!)


圧倒的な戦闘力と判断力を兼ね備え、それに加えて管理者の能力(ちから)を奪う『奪取』、手から炎を突出させて対象を焼き切る『炎斬』を持つ“最強格”とマインドウォーカーの中で呼ばれている彼に対抗する策など加賀は微塵も持ち合わせていなかったのだ。


──だが、加賀は諦める事を知らなかった。


(…いや策とか作戦とかじゃない。俺は一人じゃねぇ。ヤツら(仲間)がいる)


(ヤツらの為にこんなとこでくたばってっちゃ……)


加賀は拳を握しめ、声を張り出す。

痛みを声に、苦しみを力にして───。


「…まだ…だッ。」

「まだ…?負けず嫌いも此処までくると滑稽です。」


ホーライはそう言うと、その場から半歩下がり、燃え盛る掌を加賀に向ける。

赤眼をより一層輝かせ、顔に笑みを浮かべる。


「かかって来いよ。教会ッ。殺せるなら俺様を殺してみろよッ──」


ホーライの掌は赤く燃え、熱が指先にまで集中する。

そして指先から溢れ出る火の粉は宙に舞い、空気に燃え広がる。


「派生能力“炎舞(えんぶ)”」


彼は言い放ち、指先から炎熱を加賀に向けて放射した。



【?市・“とある暗がり”】─四帝会議─


“とある暗がり”にて黒く光る棺を中心に四つの椅子が置かれ、そこには三人の選ばれしエゴロストが座っている。


「…まだ集まんねーの?ホロス遅いなぁ。」


黄色のコートを着ており、金色に輝く眼を持つ金髪のエゴロストが豪華な椅子に座り、耳に掛けているイヤリングを触りながらそう言った。

…そしてその言葉に反応するかのように青いコートを身にまとう紺色の髪色をし、指輪やネックレスを付けている眼鏡の派手なエゴロストが言葉を発する。


「あの人はそういう性格だ。…それよりもッ!ワタシの“眼鏡”を見てくれッなんて美しいのだろう…ッ。」

「なにがいいんだよその…なんだっけ?め──」

「あぁ…!ヒトはやはり芸術的だ…ッ。」


金の眼をした金髪のエゴロストは不満そうに、黒く光る棺を見つめて話し始める。


「…なぁ“イグニス”。父さん(ギーベル)はどんなやつなんだ?」

「さぁな。お前らはどう思う。“ゲネシス”、“カオス”。」


イグニスは怪訝そうに残りの二人に問いかけた。

その問いに“カオス”という青いコートのエゴロストは座っている足を組み始める。


「…ギーベル様は…このヒトがいるセカイのハカイが目的だ。ワタシは直接聞いたことがある。」

「破壊…ねぇ。」


イグニスは燃える自身の茶髪を撫で、そう言う。


「俺は人間はそんな悪くねーんじゃあねェかなって思ったりするんだ。」

「……ふーん。でも俺には関係ないし。」

「…イグニス、だがそれをホロスに聞かれたら───」


イグニスはカオスのその言葉に反論しようとした時、白髪のエゴロスト“ホロス”が其処にいた。

ホロスはいつもの白いコートを身にまとい、ポケットに両手を突っ込んだまま声に出す。


「──何を駄弁(だべ)っている。」


ホロスは無表情でそう言って場を制する。

その眼は仲間に向けるものではなく、蔑むような、そんな目であった。


「…よぉ。」

「ホロスおっそいぞ~。待ちくたびれた~。」

「……。」


イグニスはホロスに視線を送ると、一方のカオスは気まずそうにホロスへの目線を外した。

そんな静寂の中、一人のエゴロストが口を開く。


「……んで今日の話のテーマはなに?いつもの会議と一緒?一緒なら俺外に出たいんたけど?」


ゲネシスがそう言って、椅子にもたれかかり気だるそうにそう言った。


「……定例会議は、今回は行わない。」


その話に対してイグニス以外の二人は仰天し、声を荒げる。


「ホロス……?何を言っているんだ!?」

「えー!やったな!今日の仕事終わりだろ!?」


カオスは怪訝そうに言い、ゲネシスは嬉々として言葉を放つ。


それに対し、ホロスは四帝に捨てるように吐いた。


 「……ギーベル様を甦らせる。“チェンジ“の力でな。これは決定事項だ。」


 その日、人にとっての“悪魔“が誕生しようとしていた。


 ──そう、ギーベルという“滅びの者“が。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ